7月29日の開院記念式典では、渡邉一夫理事長、笹沼仁一院長を
はじめ、脳神経外科医・福島孝徳先生や、ブラジルから駆けつけた
心臓外科医バチスタ氏、中国浦南医院・劉衛東院長らがテープカッ
トを行った。

新百合ケ丘総合病院が8月1日、川崎市麻生区にオープンした。これによって南東北グループの首都圏における高度な診療と快適な入院機能を備えた医療拠点が誕生したことになり、JR東京駅そばの東京クリニック、中野区の総合東京病院とともに充実した医療ネットワークが構築されることになった。

オープンを控えた7月28日には地域内覧会が開かれ、2500人を超える地域住民や医療関係者がつめかけ、翌29日には開院を記念して盛大な式典と祝賀会が開催され、各界から多数の関係者が出席した。

新百合ヶ丘総合病院がミッションとして掲げるのは救急、産科、小児科を含めた地域医療とがん、心疾患、脳神経疾患を中心とした高度専門医療。この二つを両輪として地域医療機関とも積極的に連携し、世界最先端医療の提供を目指す。

同病院は南東北グループにとってひとつの集大成であり、新たな飛躍へ向けたシンボルでもある。

折しも、南東北グループの中核施設、郡山市の総合南東北病院が国家的がん治療プロジェクト「ホウ素中性子捕捉療法」の臨床実施施設に決まるなか、すでに稼働する陽子線治療や、世界最大級のPET(ペット)センターを擁する南東北グループの一員として、新百合ヶ丘総合病院の今後の展開に大きな期待と注目が寄せられている。

〒215-0026 神奈川県川崎市麻生区古沢都古255

○お問い合わせ TEL.044-322-9991(代)

http://www.shinyuri-hospital.com/

○診療科:内科/外科/消化器内科/内視鏡内科/消化器外科/循環器内科/心臓血管外科/呼吸器内科/呼吸器外科/糖尿病内科/腎臓内科/透析内科/神経内科/脳神経外科/整形外科/産婦人科/小児科/泌尿器科/耳鼻咽喉科/皮膚科/形成外科/美容外科/麻酔科/眼科/放射線診断科/放射線治療科/救急科/歯科口腔外科/心療内科/リハビリテーション科

新百合ヶ丘総合病院は神奈川県川崎市北部の不足病床を補い、産婦人科・小児科を含む地域医療の充実と救急医療体制づくりに寄与することなどを目的とした川崎市の公募にあたり、南東北グループのひとつ医療法人社団三成会が選ばれ、川崎市医療審議会、川崎市の承認を得て開設の運びとなったものです。

新宿からおよそ25分、小田急線沿線の新百合ヶ丘に何だかすごい病院ができるらしい、という前評判は耳にしていましたが、377床の高機能病院とは一体どんな病院なのでしょうか。笹沼仁一院長自らが地域の人と接し、病院の施設や医療機器について説明する内覧イベントに参加するため、新百合ヶ丘総合病院を訪ねてみました。

小田急線新百合ヶ丘駅から新百合ヶ丘総合病院へ

新百合ヶ丘は新しい街。駅や周辺のビルにはレストランや商業施設が充実し、緑豊かな丘陵地には瀟洒なマンションや住宅街が広がっています。この夏の甲子園で三振の山を築いた松井裕樹投手を擁する桐光学園高校(神奈川県代表)はここから二つ目の駅。この周辺には昭和音楽大学や日本女子大学、明治大学などがあり、新興の高級住宅街としてのイメージとともに新百合ヶ丘は文化的な学園都市としての性格を持っています。

新百合ヶ丘総合病院は駅から歩いて15分ほどの小高い丘の上にそびえていました。駅からは直通の小田急バスを利用することにしましたが、病院では専用の無料バスで周辺地域の周回も始めているそうです。

バスに乗ると数分で病院敷地内へ。バスは坂を上り病院正面まで運行されていました。バス停のすぐ隣では病院のワゴン車が患者さんを乗せている様子なので、運転手さんに聞いてみると、「坂道が患者さんの負担にならないよう敷地内の入り口から4~5分おきに患者さんを無料送迎しています」とのこと。もちろん、車で来院する方のため230台の無料駐車スペースもありました。通院の便はかなり良さそうです。

病院に着いて驚くのは正面入り口の大きな回転ドア。付近にはボランティアの名札を付けた方が来院される患者さんをエスコートしていました。

院内に入ると広々としたホテルのようなホール。そこでも病院スタッフの方が丁寧な応対をしてくれました。

建物は地上6階、地下2階で、地上3階分は東側に長くせり出したつくり。その3階につくられたSTRホールが見学会の第一会場です。収容人員は250名。すでに近隣の人たち60名ほどが午後4時からの開催を前に着席していました。

新百合ヶ丘総合病院の概要 笹沼院長による病院概要説明


新百合ヶ丘総合病院病院見学会で地域の皆さんにPET―CTにつ
いて説明する笹沼仁一院長

十分な意見交換や交流ができるよう、それは少人数に限定した見学会でした。笹沼仁一院長の挨拶の後、会場が少し暗くなり、スライドを使った院長のお話が始まりました。

「新百合ヶ丘総合病院の特長は地域医療と高度専門医療の両立にあります。地域からの要望の強い産婦人科、小児科を備え、救急医療に力を入れること、つまり地域医療を担うと同時に、南東北グループが得意とするがん、心臓病、脳疾患、その他生活習慣病などの克服へ向けた高機能の検査、治療システムを積極的に導入しています」。

そのため、がんの早期発見や症状の的確な診断に向けて2台の『PET―CT』(さらに1台を追加予定)のほか、マルチスライスCTやMRI、アンギオ装置を備えているとのこと。いずれも最新の機器で、高精度の検査が可能です。「特に急性期を担う医療施設として心臓、脳疾患に関しては24時間緊急対応できるよう準備に力を入れて」きたそうです。

その後、参加者は院内施設見学へ。笹沼院長自らが案内役として気軽に参加者からの質問に応え、院長の周囲からは終始楽しげな笑い声が絶えませんでした。

左:64列マルチスライスCT

中:3.0T(テスラ)MRI

右:アンギオ(血管造影装置)


地域から信頼される基幹病院として院内の医療機器と入院環境を見学


PET-CT(ペット-シーティー)
新百合ヶ丘総合病院ではPET-CT 2台が稼働、さらに1台の導入を予定している。PET-CTは、がん細胞の活動状況を画像化するPETと形状をみるCTを重ね合わせ、精度の高い検査と正確な診断が可能となる。PETとは、ポジトロン・エミッション・トモグラフィー(Positron Emission Tomography)の略。使用する薬剤FDG(ブドウ糖に似た薬剤)の生成と合成を行うサイクロトロン、ホットセルも院内に備えている。PETは川崎市内では初めての導入となる。

一行はPET―CT、サイバーナイフなどの最先端医療機器を見学、特にPET―CTは川崎市内で初めて導入するということもあり、使用する薬剤や検査の流れなどについて次々に質問が出され、参加者は笹沼院長の説明に興味深げに聴き入っていました。

病棟見学では、個室重視の快適な入院環境や、とりわけ各ベットごとにテレビ電話もできるipadが備え付けられているのを見て驚きの声。産婦人科では出産直前に利用する個室がそのまま分娩室となり、妊婦さんの移動の負担を少なくした配慮に感心。家族の立ち会い出産も考慮された開放感のあるつくりでした。

その後、小児科外来と健診を担う予防医学センターを見学し、最後にエントランスホールで笹沼院長から挨拶が。

「がん、心筋梗塞、脳卒中という日本人の三大死因の克服を掲げて先進的な医療に取り組んできた南東北グループですが、地域からの信頼がなければ、民間の医療施設として前進することはできません。地域の皆様のご理解とご協力をぜひお願いします」とのことでした。

散会後、リプロダクションセンター(不妊治療)をぜひ見てみたいという女性参加者の申し出に、笹沼院長が気軽に案内を引き受けていたのも印象的でした。川崎市の北部医療圏にはこれまで分娩施設がなかったこともあり、産婦人科への地域の関心はとても高いのです。

帰りのバスが動き出して、ふと目をやると川崎市の救急車が病院西側に駐まっていました。

365日24時間対応の救急外来は南東北グループでは病院としての基本姿勢でもありますが、「患者さん第一」という理念が住民の皆さんに理解され、支えられることで病院も成長していくことをあらためて気づかされた一日でした。

新百合ヶ丘総合病院の病床数は377床。このうち個室は180床で、集中治療室(ICU)が10床。 写真は左から外来受診窓口が並ぶ外来通り、産科個室(分娩室)、救急医療センター。左は一般個室病床。

世界トップの総合病院を目指し著名な医師が集結

○ご挨拶


(医)三成会 新百合ヶ丘総合病院
笹沼 仁一 院長
Dr.Jinichi Sasanuma
○医学博士
●日本脳神経外科学会専門医
●日本脳卒中学会専門医
福島医療クリニック(現・南東北福島病院)開設時の院長経験などを通して、南東北グループ理事長室室長に就任、南東北医療クリニックや総合南東北病院PETセンター、東京クリニック、総合東京病院、東京総合保健福祉センター江古田の森など、各地の南東北グループ主要施設、関連施設の立ち上げに関わる。

新百合ヶ丘総合病院では患者さんを第一に、地域や日本全国、さらには海外の医療機関との連携のもと、最新の知見に基づく医療サービスの提供を目指していきます。

そのため、当院では先進医療機器の導入とともに、いわゆるセンター方式を導入し、各科の専門性を最大限にいかしながら、診療科の垣根を越えたチーム医療を実践します。

一例を挙げれば、スロベニア国立リュブリアーナ大学メディカルセンター客員教授で心臓外科の氏家敏巳先生による早期社会復帰を目指した心臓外科とリハビリテーションセンターとの連携など、患者様第一の視点から多角的かつ詳細に症例を検討、最適な治療方針と計画を策定し、QOL(生活の質)に配慮した低侵襲医療の提供を目指します。

開院当初の医師は総勢約50名ですが、脳神経外科では東京女子医科大学名誉教授の堀智勝先生や内科では特に肝臓の権威である昭和大学前消化器内科教授の井廻道夫先生、歯科口腔外科では現在日本口腔外科学会理事長を務める福田仁一先生、皮膚科では日本皮膚科学会前理事長の飯島正文先生にも参画していただきます。

ほかにもロボット手術では東京医科大学からの医師派遣や、東京理科大学との医工連携による臨床研究なども予定しております。

また、福島孝徳先生を中心として福島頭蓋底腫瘍センターを開設するなど、高度な専門医療の提供によって地域医療への貢献を果たしていく決意です。

皆様のご支援をお願い申し上げます。

渡邉一夫理事長、笹沼仁一院長とバチスタ手術で世界的に著名な心臓外科医バチスタ博士、その弟子にあたる氏家敏巳医師(新百合ヶ丘総合病院心臓血管外科部長)


高度専門医療を実現する多彩なセンター方式を導入

【新百合ヶ丘総合病院のセンター構想】

◉ 脳神経センター

◉ 消化器センター

◉ 心臓・循環器センター

◉ 呼吸器センター

◉ ロボット手術(ダヴィンチ)センター

◉ 筋・骨疾患センター

◉ 頭頸部センター

◉ 眼科センター

◉ 肝・胆・膵疾患センター

◉ PETセンター

◉ 血液浄化療法センター

◉ 福島記念 脳腫瘍・頭蓋底センター

◉ てんかん・不随意運動センター

◉ 顔面けいれん三叉神経痛治療センター

◉ 低侵襲脊髄手術センター

◉ 婦人科低侵襲手術センター

◉ リプロダクション(不妊治療)センター

◉ 皮膚疾患センター

◉ 口腔疾患センター

◉ 高度放射線治療(サイバーナイフ)センター

◉ 救急センター

◉ 予防医学(人間ドック・検診・脳ドック)センター