広報誌 南東北

 

骨粗しょう症の治療薬②

骨形成を助けるビタミンK2製剤 副甲状腺ホルモン製剤

 今回は骨粗しょう症薬の「骨形成を助ける薬」を紹介します。骨形成を助ける薬としてビタミンK2製剤と副甲状腺ホルモン製剤があります。
 ビタミンKは血液凝固に役割を果たすが、生理的に重要なビタミンKはビタミンK1とビタミンK2に分けられます。このうちK2が骨の代謝に関わっておりK2製剤が、骨粗しょう症治療薬に使われます。ビタミンK2は、骨の骨芽細胞に作用することで骨の形成を促進します。同時に骨吸収を抑制し骨の代謝のバランスを整えます。このような作用をする医薬品としてメナテトレノン(商品名:グラケー)があります。
 副甲状腺ホルモンには、そもそも骨吸収を促進する役割があります。血中のカルシウム濃度を上昇させるために副甲状腺ホルモンが重要になります。副甲状腺ホルモンによる骨吸収促進は「持続的に副甲状腺ホルモンが分泌されている状態」で起こります。つまり常に副甲状腺ホルモンの濃度が高い時に骨吸収が促進されます。ところが、断続的に途切れ途切れに副甲状腺ホルモンを投与し、一時的にのみ副甲状腺ホルモンの濃度を高めるとその逆に骨の形成が促進されます。副甲状腺ホルモンには「前駆細胞からの骨芽細胞への分化促進」と「骨芽細胞の細胞死(アポトーシス)抑制」の作用もあり、この骨形成促進作用のみが引き出されたと考えられます。この副甲状腺ホルモン製剤による骨粗しょう症治療薬としてテリパラチド(商品名:フォルテオ)があります。

(薬剤科 中野洸大)

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