広報誌 南東北

 

医食同源の伝統医学⑤

医食同源の伝統医学
東北大学医学系研究科
高齢者高次脳医学講座
関 隆志
今回は、中国伝統医学の基本病態の血瘀(けつお)の症状と治療法についてご紹介します。

:血が滞った体質

 「血(けつ)」が滞った状態です。精神的なストレスなどによる気滞、津液が滞った痰湿、気が足りない気虚、極度の冷え、極度の熱、外傷などによっておこることが知られています。症状としては、痛み(場所が固定していて刺されるような痛みなど)、黒い顔色、皮膚がかさついて鱗状(サメ肌)、唇や舌に斑(おはん:色素沈着)、舌が暗紫色、舌下の静脈の怒張などがみられます。

の治し方

 血の流れを改善する食べ物の割合を増やしましょう。運動やストレス発散が、血の原因を取り去って、血の改善にとても役に立つときがあります。
 ツボは、下肢の「三陰交(さんいんこう)」や背部の「膈兪(かくゆ)」などがあり、血の原因や症状に応じて使い分けます。気滞が原因であれば、「太衝(たいしょう)」、気虚が原因の時は「足三里(あしのさんり)」などを加えるとより効果的です。

【血に効く漢方薬の例(適応症の例)】
 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん:血の基本の薬)、治打撲一方(ちだぼくいっぽう:急性の腰痛、打撲後の痛み)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう:便秘)―など。

【血に効く経穴の例】
 三陰交(さんいんこう)、膈兪(かくゆ)、太衝(たいしょう:気滞を伴うとき)、足三里(あしのさんり:気虚を伴うとき)―など。

【血に効く食品の例】
 里芋、小豆、黒豆、クワイ、ナス、ニラ、ハス、桃、アサリ、アワビ、カニ、黒砂糖、カラシ、酢、酒、バラの花―など。

【血によくない食品の例】
 血虚を伴わない血には、血を増やす食品はよくありません。血虚を伴う血の場合には血を巡らす血に効く食品と、血を補う血虚に効く食品が必要です。
三陰交(さんいんこう)
【見つけ方】内くるぶし上端に4本の手の指をあてた高さで、脛骨の後ろの縁にあります。

太衝(たいしょう)
 足の親指の中足骨と人差し指の中足骨の接するところ。2本の指の股から足首に向けて擦りあげて止まるところ。

足三里(あしのさんり)
 下腿の向う脛の骨の外側を足首の方から膝の方に擦りあげます。膝下で骨が太くなるのでそこに指が止まります。


三陰交(さんいんこう)

太衝(たいしょう)

足三里(あしのさんり)

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