広報誌 南東北

 

誤嚥性肺炎

 飲食物や唾液が食道ではなく気管に入ったとき口の中にあった細菌が気管や肺に流れ込んで起きる肺炎です。誤嚥(ごえん)は乳幼児が食べられない異物を飲み込んでしまう誤飲(ごいん)と誤解されたり、発音が似ていて混同されがちですが、違います。
 飲み物や食べ物を飲み込む動作を嚥下(えんげ)といいますが、高齢や脳の病気などの影響で嚥下機能が低下すると喉頭蓋の動きが低下し咳やむせる動作も鈍化。体力や抵抗力、免疫力の低下により細菌を駆除できず肺炎にかかる危険度が増します。再発する特徴があり、繰り返すうち耐性菌が発生し優れた抗生物質が開発された現在でも多くの高齢者が死亡する原因になっています。日本人の死亡原因は平成22年まで1位がん、2位心疾患、3位脳血管疾患でしたが、同23年には肺炎が脳血管疾患を抜き3位となり三大疾患となってきました。
 治療は肺炎の原因となる細菌を殺菌する抗生物質で治療します。胃液を肺の中に吸い込んで肺炎となったときはステロイドを短期的に用いたり、酸素欠乏になったときは酸素吸入を行います。
 再発予防には脳梗塞後遺症として使われるアマンタジンや抗血小板作用を持つ脳梗塞予防薬が有効で咳反射や嚥下反射を改善します。歯磨きや入れ歯の清掃・手入れで口の中をきれいにし雑菌を減らすと肺炎のリスクを低減できます。食後に一定時間(2時間)座ってもらって胃液逆流を防ぐことや高齢者の歯ぐきのマッサージで嚥下反射を改善することも予防になります。

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