広報誌 南東北

 

ピロリ除菌薬

指示通りの服用が肝心 飲み忘れは除菌率低下も

 ヒトの胃に感染し胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどの原因のひとつとなるヘリコバクター・ピロリ菌。胃酸は強い酸性のため多くの細菌は生息できませんが、ピロリ菌はアンモニアを作って中和します。口からの感染と考えられ、日本人の半数以上が感染しているといわれます。
 この除菌には胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬と抗生物質を処方し7日間服用します。胃酸を抑える薬を飲むのは抗生物質の作用が弱められるのを防ぐためです。阻害薬、抗生物質は何種類かありますが、処方の薬、特にペニシリン系の薬にアレルギーがある方は、この方法では除菌できませんので担当医に相談ください。1回目がうまくいかない場合は違う薬を使って再度除菌療法を行います。
 除菌薬を服用中に柔らかい便や下痢、口内炎、味覚異常などの副作用が約10%の人に見られますが、症状が軽い場合はそのまま服用を継続。発疹や発熱、強い腹痛、血便など症状がひどい時は処方医に相談が必要です。自分の判断で服用を止めたり、薬を飲み忘れると除菌の成功率が下がります。そればかりか薬に抵抗力を持ったピロリ菌が現れることもあります。いずれにしても医師に指示された通りに薬を1週間きちんと飲み切ることが最も大切です。
 除菌が成功すると潰瘍の再発は極めて少なくなりますが、必ずしも良いことばかりではありません。除菌後に逆流性食道炎が発生、または憎悪する人が1割前後いるという例、また肥満やコレステロール上昇など生活習慣病の出現が危惧される病態の発生などの報告もあり要注意です。

(薬剤科 中野洸大)

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