広報誌 南東北

 

高度先端医療にも注目 あきらめず相談 セカンドオピニオン

 総合南東北病院が毎月北棟のNABEホールで開催している医学健康講座が今年度もスタートしました。1回目は4月10日⑤に渡邉一夫理事長が「難治性がんの治療」と題して講演した内容を要約し最新の治療法や予防法などについて復習します。
  日本人は2人に1人ががんに罹る時代を迎えています。30~40年前は5人に1人ぐらい。言い換えれば今は2人に1人は助かるともいえます。先進国の中で日本人はがん検診を受ける人が少なく、見つかった時は手遅れという例も多いようです。日本人の平均寿命は女性が世界一の86・41歳、男性が79・94歳と長寿国ですが、歳を取るとがんになりやすく、高齢のため治療ができない例もあります。
 例えば足の裏が黒くなったりする悪性皮膚がんの悪性黒色腫は治す薬がなく、手遅れの時は足切断せざるを得ないなどの難治性がん。皮膚科を受診し早く治療を始めれば切らずに済みます。元々治りにくいがん、手遅れによる難治性がんがあるが、とにかく専門医に診てもらうことです。
 先程検診率の話をしたが、わが国のがん検診受診率は男性の胃・肺・大腸がん受診率が3割程度、女性は乳・子宮がんを含め5つの受診率が2割台。特に乳・子宮がんの受診率は欧米の70%以上に比べると半分以下の低受診率が実情です。がんも肺、口腔・咽頭、食道がんなどいろいろあるが、胃がんの死亡は少なくなっているものの罹患率は依然トップ。乳がんや大腸がんも増えています。特に女性に増えています。食べ物が良くなったからでしょうかね。
 塩分を取り過ぎると胃がんになりやすい。酒を飲んで赤くなる人はアルコールを処理する酵素が少ないので飲み過ぎないようにした方がいい。たばこの煙もPM2・5(微小粒子状物質)で自分だけでなく副流煙により孫や子など家族や周りの人にも悪影響を与えます。喫煙は将来がんに結びつく可能性が高い。がんにならないことが大事だし、難治性がんにならないためにもまず禁煙です。
 がんの標準治療は手術、化学療法(抗がん剤)、放射線治療ですが、難治性がんでは化学療法と放射線療法の組み合わせなどが種々試みられています。陽子線や重粒子線などの粒子線治療もその1つで当院では切らずに済む身体に優しい陽子線治療を主体に難治がんの治療を行っています。従来のX線に比べて正常な細胞を壊さずにより強くエネルギーを当てられるため治る確率が高い治療です。陽子線の対象は消化管(食道は除く)や血液のがん以外のがん全て。多くても3か所ぐらいまでです。食道がんは転移しやすいが、化学療法との併用で効果が期待できます。上顎洞がんも陽子線をやりながら週に1度抗がん剤を投与する動注化学療法などが行われています。また進行舌がんも手術より動注陽子線治療がいいようです。
 こうした陽子線治療よりさらに期待されているのがBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)です。がん細胞に取り込まれやすいホウ素の特性を利用、エネルギーの低い中性子を照射する事で悪性の細胞だけをピンポイントでやっつける治療。正常な細胞を傷つけることなく入院せずに治療出来ます。現在、当院のがん陽子線治療センター西に「BNCT研究所」を建設中ですが、来年度から治験を行い国の認可を得たうえで平成30年度から治療を開始する予定です。サイクロトロンという加速器を使って病院で治療するのは世界で初めてです。
 難治性がんの治療について話しましたが、難治性がんになる前にまずがんの予防が大事です。検診に心がけてください。万一、難治性がんになってしまってもあきらめず複数の先生に聞く、相談する、セカンドオピニオンです。あとは陽子線治療など最新の高度先端医療に注目です。

口笛演奏で患者さんら魅了


 総合東北病院ボランティア・紙ふうせん主催の「ふれあいコンサート」は4月22日③午後2時から同病院本館1階のエスカフェで開かれ、美しい口笛で患者さんや市民たちを魅了しました=写真=。
 演奏に訪れたのは、西白河郡中島村在住の高木満理子さんで今回が3回目。高木さんは学生時代にテューバなど吹奏楽活動をしていましたが、小さい頃に父親から教わった口笛演奏に興味を持ち卒業後、日本口笛奏者連盟の高橋一真名誉会長や口笛国際大会で優勝経験を持つ分山貴美子さんらに師事。3年前に第5回日本オープンくちぶえ音楽コンクール2011で日本人最高の準グランプリなどを獲得。現在は県内外で口笛演奏活動を続けています。
 軽快な「口笛吹きと犬」で演奏を開始した高木さんは「さくら」「おぼろ月夜」「上を向いて歩こう」「ドレミの歌」など10曲余りを次々に披露。会場には患者さんや市民たち70人ほどが詰めかけ、病院のホールいっぱいに響く澄んだ口笛の音色に盛んな拍手を送り、口笛演奏の素晴らしさを満喫していました。

4月の手術件数

 4月の手術件数は594件でした。内訳は眼科176件、外科73件、整形外科70件、形成外科56件、脳神経外科55件、耳鼻科50件、泌尿器科35件、心臓血管外科25件、呼吸器外科15件、婦人科15件、放射線治療科(陽子線)8件、歯科口腔外科6件、周産期センター4件、循環器科2件、放射線科1件、放射線治療科(本院)1件、産科1件、麻酔科1件です。

4月の救急車台数

 4月の救急車台数は383台でした。診療時間外に受診した患者さんは1036人でした。

トップページへ戻る