広報誌 南東北

 

アスペルガー症候群

 アスペルガー症候群は、知的障害が認められない広い意味での自閉症の一のタイプで最初に症例を報告した豪州のハンス・アスペルガー小児科医の名前にちなみ名付けられました。特徴は他者とのコミュニケーションに表われます。例えば相手の気持ちや立場に立って考え、発言することが苦手なため社会生活に支障をきたすケースなどです。言葉の発達の遅れがないのが自閉症と違うところで物事を認知する脳の機能とかかわっています。同症候群の原因は性格や育ち方の問題ではなく患者の脳に何らかの微妙な障害が起きている可能性が指摘され、先天的要素の強い疾患です。
 この症候群は、これまでまれな存在と考えられていたが、現在では日本人の約100人に1人が同症候群かそれに類似した病気を患っていると考える研究者もいるほどです。残念なことに今のところ同症候群を完全に治療する方法は見つかっていません。その一方でこの病気を患う方は成人にも増加、社会との軋轢からうつ病や不安障害といった二次障害を発症する人もいます。心理療法と並行してストレスのケア、症例に応じた抗うつ薬などの服薬治療が必要になる場合もあるようです。同症候群が疑われる場合は、できるだけ早めに認識し社会的な適応能力を高めるため本人だけでなく周りの人たちも協力する取り組みが必要です。病気のマイナス面だけを見るのではなく、その人の個性としてプラス面を活かしていく発想もこれからの社会にとって重要なようです。

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