広報誌 南東北

 

経蝶形骨洞下垂体腫瘍手術 2000症例執刀を達成 日本人医師初の偉業


 (一財)脳神経疾患研究所附属総合南東北病院の池田秀敏下垂体疾患研究所長=写真=が7月28日②に同病院で経蝶形骨洞下垂体腫瘍摘出手術を実施し、日本人医師として初めて2000症例執刀を達成しました。1989年12月に第1例を執刀して以来、足掛け26年目での偉業です。
 池田所長は東北大医学部卒で同大医学部脳神経外科医局長、広南病院下垂体外科部長、大原医療センター脳神経外科主任部長などを歴任、平成18年から現職。下垂体腫瘍の手術治療や同内分泌異常などが得意分野。スイス・チューリッヒ大、米国ハーバード大などにも留学しています。
 下垂体腫瘍とは、ホルモンの中枢である脳下垂体にできた腫瘍。手術には開頭手術と鼻からアプローチする方法があり、経蝶形骨洞手術は副鼻腔の一部でちょうど下垂体の前にある空洞を利用して行います。池田所長の手術は上口唇粘膜の一部を約1・5㎝切開し顕微鏡を使って経鼻的に行う手法。下垂体手術時間は6~8時間といわれるが、池田所長の平均時間は約2時間で技術的熟練度は抜群といわれ、しかも低侵襲の手術ということから学界でも高く評価されています。1000症例執刀には2004年11月まで15年、1001症例から2000症例までは10年での達成。2012年に135症例、2013年に最多の167症例を執刀しています。池田所長は「26年間緊張の毎日だった。スタッフに支えられての達成で感謝したい。何例やっても下垂体手術は奥深い。奥深さに共感できる人にこの技術を伝承したい」と語っています。

猛暑吹き飛ばすパワー全開 第23回総合南東北病院まつり

 23回目を迎えた「総合南東北病院まつり」は8月3日①午前10時から郡山市八山田の同病院立体駐車場で開かれ33・9度の猛暑の中、2000人を超す市民らでにぎわいました。入院中の患者さんや介護老人保健施設の利用者さんたちを励まし、地域住民との交流を深めようと毎年夏開いている恒例行事です。
 開会式で渡邉一夫理事長があいさつしたあと品川萬里郡山市長が市民を激励。さっそく県内外の南東北グループ病院・施設職員による「よさこいソーラン大競演会」が始まりました。5年目の今年は18チーム、約400人が参加し、迫力ある踊りを披露し詰めかけた市民を楽しませました。
 午後からは「みちのくボンガーズお笑いライブ」「仮面ライダー鎧武/ガイムショー&握手会」はじめ喜久田小児童のマーチングバンド、バルーンアート教室、花音コンサートなどが次々に繰り広げられました。バルーンアート教室はゴールドメディアや小児病棟でも披露され患者さん、利用者さんを喜ばせました。
 会場には救急車体験乗車や健康相談、PET・陽子線相談コーナー、職員たちが運営するジュース、焼きそばなどの模擬店、ぬり絵、ゲームコーナーも登場して大賑わい。親子連れの市民と職員たちが流れる汗をぬぐいながら夏まつりを楽しんでいました。


玩具すくいを楽しむ子どもたち

よさこい踊りを競う職員たち

候補絞り込めず先送り 医学部設置の構想審査会

 東日本大震災復興支援策として東北地方に1校だけ認める医学部新設を審議している文科省の構想審査会は7月30日、同省内で4回目の会合を開きましたが、候補団体を絞り込めず決定を次回に先送りしました。この医学部新設では、郡山市の総合南東北病院などを運営する(一財)脳神経疾患研究所が「国際復興記念大学医学部」(仮称)の平成28年4月開学を目指しているほか仙台市の東北薬科大と宮城県(公立宮城大)の3団体が申請しています。
 審査会座長の遠藤久夫学習院大経済学部長は、会合のあと記者会見、これまでの審議経過を説明しました。報道各社の報道によると6月から3回会合を開き、申請3団体から構想の説明を聴いたほか関係自治体、医科大学などから意見聴取。地域医療に支障のない医師確保策や卒業生の東北定着―などの面から各団体の構想が東北の医療課題解決に適切かどうか、計画実行性などを議論してきたそうです。
 しかし今回の会合でも選定の優先基準や各団体評価が委員によって異なり集約できず8月下旬に再度審査会を開き候補団体を決めるということです。

高校生が一日看護を体験 中通り13校の30人が実習


ベッドメーキングを体験実習する高校生たち
 県看護協会主催の「高校生の一日看護体験」が7月29日③に県内各地で行われ、総合南東北病院では中通りの高校生が看護師を体験しました。
 時代を担う高校生に看護業務の実際に触れ、生命や他人への思いやりの大切さを実感、看護師への理解を深めてもらおうと毎年実施しています。
 同病院の体験に参加したのは安達、光南、安積、郡山東、尚志、清陵情報、船引、あさか開成、日大東北、郡女大附属、白河旭、田村、帝京安積の13校の2・3年生30人。オリエンテーションで堀口ひろみ副看護部長が「看護業務を進路の選択肢に入れて体験してください」とあいさつ。白衣姿の生徒たちは病院内を見学したあと各病棟でプロの看護師の指導を受けながらベッドメーキングやリネン交換、患者さんの清拭、洗髪、入浴・食事・排泄の介助など実際の看護業務に挑戦しました。実際に患者さんと接した生徒たちは緊張した様子。担当看護師の指導に真剣な表情で実習していました。
 祖父が病気で倒れたとき何もしてやれなかったので人の役に立ちたい、と看護師を目指す女子生徒は「看護業務は医療だけでないことが分かった」「やりがいのある仕事と感じた」と目を輝かせて感想を語っていました。

7月の手術件数

 7月の手術件数は690件でした。内訳は眼科229件、外科88件、整形外科74件、脳神経外科65件、形成外科65件、耳鼻科48件、心臓血管外科33件、泌尿器科32件、呼吸器外科13件、婦人科13件、放射線治療科(陽子線)10件、歯科口腔外科5件、麻酔科5件、周産期センター4件、循環器科2件、消化器内科2件、放射線治療科(本院)1件です。

7月の救急車台数

 7月の救急車台数は499台。時間外の受診患者さんは1308人でした。

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