広報誌 南東北

 

PSA検査が命を守る

体への負担少ないPSA検査 前立腺がんの早期発見に高い確率

 日本人の前立腺がんによる死者は1950年に80人足らずでしたが、現在は1万人を超え、いずれは2万人に達するともいわれています。前立腺がんによる死亡リスクを大幅に減らす方法は「PSA(前立腺特異抗原)検査を定期的に受ける」ことです。
 前立腺は男性だけにある生殖器の一部。前立腺がんはこの前立腺に悪性の腫瘍ができることをいいます。ちなみに前立腺肥大は良性の腫瘍によって前立腺が大きくなる病気です。前立腺肥大が前立腺肥大症になることはあっても前立腺肥大や前立腺肥大症が前立腺がんにはなりません。
 前立腺がんは早期発見できれば高い確率で治療が可能です。ただ初期段階では自覚症状が乏しいため、がんが骨盤に転移して腰や下肢に痛みが生じるようになってから受診するケースが多く、死亡増加の一因ともなっています。
 PSAとは前立腺から分泌される糖たんぱくのこと。前立腺がんを発症すると血液中のPSAが増えるためPSA値により高い確率で早期発見できます。少量の血液を採取するだけの身体への負担の少ない検査法といえます。
 前立腺がんの発症者は欧米に多く早くからこの検査を導入。豪州では、検査開始20年で前立腺がん死亡者が60%以上低下。米国でも40%低下しているとの報告があります。
 前立腺がんは40歳代までは発症者が少なく、50歳すぎから患者が増加、年齢を重ねるごとにさらに増えます。前立腺がん組織の成長が時間をかけて成長する特徴があるからです。このため年齢を重ねるごとに数値の変化をみる必要があります。50歳過ぎたら1年に1回はPSA検査です。
 日本でもPSA検査を取り入れる自治体や健康保険組合が増えていますが、残念ながら全ての健康診断で実施されているわけではありません。健康診断の受診率が低いことも問題です。今後の日本では男性のPSA検査、女性の子宮頸がん検診ががん対策の柱になります。ほとんどの病医院で検査できるのでぜひかかりつけ医に相談してください。

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