広報誌 南東北

 

薬の一生②

効き目は血中濃度に比例 年配者は副作用に注意


 先月に続き薬が血液の中に入ってから出て行くまでの話です。血液中の薬を時間経過ごとに調べると、図のように濃度がだんだんと高くなりピーク後は減衰する山型曲線を描きます。多くの薬は血液中の濃度が一定以上になると効き目が現れ、それ以下になると効き目が消えていきます。
 この血中濃度曲線は、その薬がどのくらいの時間で効き目を現し、いつまでそれが続くかなど薬の体内での行動を表します。薬の種類によりグラフの形はなだらかだったり険しかったりと様々で、それが薬の特徴にも関係します。
 グラフの1番高いところが最高血中濃度(Cmax)、そこに到達するまでの時間(Tmax)は、薬の効き目のスピードを知る目安になります。最高血中濃度の半分に減るまでの時間が半減期(T1/2)で、半減期が長いほど薬は体の中に長く留まり、効き目が続くと考えられます。その濃度曲線の下の面積を「AUC」といい、これが大きいほど体の中で薬がたくさん利用されたと判断できるのです。薬の説明書には、これらのTmax、T1/2などの数値が必ず載っています。ただ注意したいのは、同じ薬なら誰でも同じ数値になるというわけではありません。説明書の数値は試験上の平均値です。個人差、体格差、子供や年配など年齢によっても大きく変わってきます。
 問題になるのは年配の方で、代謝の力が落ちているために薬の濃度の減り方が緩やかになり半減期は延長します。いいかえれば体の中に薬が溜まりやすく、副作用に注意する必要が出てきます。これらを参考にして皆さんの薬の用法・用量は決められています。

(参考:臨床で出合う薬の基本をマスターしよう 薬剤科 海老沼 加小里)

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