広報誌 南東北

 

抗がん剤で必ず脱毛は誤解「がんサロンほっと」ミニ学習会


抗がん剤副作用の知識などを学んだ「がんサロン」

ウィッグの活用も工夫の一つのようです。
 抗がん剤はがんに対する有効な治療手段の一つですが、様々な副作用があることも知られています。その一つが脱毛ですが、一般的に誤解されている部分もあるようです。仮に脱毛が起きた場合でもウィッグ(かつら)などを上手に活用することで容貌の変化についての悩みも緩和されます。11月19日㈬に郡山市八山田の南東北がん陽子線治療センターで開かれた「がんサロンほっと」で町島由美がん化学療法認定看護師が「化学療法時の副作用とウィッグの活用法」と題して話したミニ学習会の内容をまとめて工夫の仕方などを考えます。
 なぜ抗がん剤治療を受けると髪の毛が抜けてしまうのか。それは抗がん剤の特性と深く関係しています。一般にがん細胞は正常な細胞と比べて分裂や増殖のスピードが速いため抗がん剤は活発な細胞を攻撃するように作られています。
 ところが正常細胞の中にもがん細胞のように分裂や増殖が活発なものも存在します。そのため抗がん剤からがん細胞と同じように攻撃されてしまいます。その代表例が、毎日髪の毛を作り出すため活発に活動する「毛母細胞」。この毛母細胞が抗がん剤の攻撃を受けることで脱毛が起こります。ちなみに抗がん剤治療を受けている患者の白血球や赤血球が減少するのは同じような理由で血液を作り出す骨髄細胞が抗がん剤に影響を受けるためです。
 ただ、抗がん剤治療を受けると必ず脱毛が起こると思われがちですが、実はそうではありません。たくさんある抗がん剤の中に脱毛の発生頻度が50%以上というものがいくつかあり、そのような薬を使用した場合に起こりやすくなります。また「抗がん剤の投与が始まるとすぐに髪の毛が抜けてしまい、もう生えてこないのでは」と心配する人もいますが、それも誤解です。
通常は抗がん剤の使用から2~3週間後に脱毛が始まります。ですから脱毛の発生頻度が高い抗がん剤を使うことがあらかじめ分かっていれば、治療開始前に自分に合ったかつらや帽子などを準備できます。また長髪の人は脱毛が始まると大量に抜けたような印象を受けるため、短く切っておけばそのショックを和らげる工夫もできます。一度抜けてしまった髪も抗がん剤の投与が終了して3~6ヶ月後から生え始め、1年ぐらい経つとほぼ回復するので安心してください。
 脱毛時の頭皮ケアですが、髪が抜けても皮脂などによって頭皮は汚れます。まずぬるめの湯でよく洗い流すことが肝要です。2分程度のシャワーで汚れの7割は落ちます。その後シャンプーをよく泡だてて、指の腹で優しく洗います。リンスは極力使用せず、ぬるま湯で十分にすすぎます。頭皮は濡れたままにせず、柔らかいタオルでよく乾かします。頭皮保護のため血行を促進するようなドライヤーの使用や頭皮マッサージは避けた方が良いです。
 脱毛による容貌の変化で生じる悩みを緩和する用具としてウィッグがあります。メーカーによって作り方や毛質、色、スタイルは様々で、値段も数千円台から60万円以上するものまであります。オーダー品は自分の好みに合わせることができ、つけ心地もよいですが、その分製作時間がかかり、費用も高くなります。最近の既製品は作りも良くなっており購入後すぐに使え、オーダー品よりも値段が安いという利点もあります。ウィッグは医療目的であっても公的保険は効かないため経済的な負担なども考慮して自分の状況に応じて選んだほうが良いようです。
 がん化学療法認定看護師は抗がん剤治療を受ける患者さんを支援する専門職です。気軽に相談ください。
 当院の「がんサロンほっと」は、今年で開設5年になります。患者さん同士や家族が交流を深め、がんの情報交換や気になること、困ったことを気兼ねなく話せる場として毎月1回、第3水曜日に総合南東北病院に隣接する南東北がん陽子線治療センター4階ラウンジで開催しています。参加は無料です。次回は年が明けた平成27年1月21日㈬で、テーマは「リンパ浮腫の仕組みとセルフケア」です。

ディオンディオンが昭和のヒット曲演奏 紙ふうせんオータムコンサート


市民を楽しませた「ディオンディオン」の演奏
 総合南東北病院のボランティア・紙ふうせん主催のオータムコンサートは11月15日㈯午後1時半から同病院北棟1階NABEホールで開かれ「ディオンディオン」の二人がアコーディオンとウッドベースの優しい音色で市民や患者さんたちを楽しませました。
 ディオンディオンは郡山市出身の岸邦幸さん(アコーディオン)と川上豪士さん(ウッドベース)が平成22年に結成したデュオグループ。同病院での演奏は初めて。
 今回は“昭和の叙情曲”をテーマに「木綿のハンカチーフ」や「ブルーライトヨコハマ」など9曲を次々と演奏しました。来場した市民の中には高齢者が多く、懐かしい昭和の時代を思い出しながら歌詞を口ずさむ人も目立ち、アコーディオンとウッドベースの音色に癒されたようでした。
ディオンディオンの演奏の後、「紙ふうせん」のメンバーたちが昭和のヒット曲を合唱。ボランティアと来場者が一緒になって「365歩のマーチ」「上を向いて歩こう」など3曲をホールいっぱいに元気な歌声を響かせました。

11月の手術件数

 11月の手術件数は564件でした。内訳は眼科170件、外科71件、整形外科62件、脳神経外科61件、形成外科54件、泌尿器科43件、耳鼻科30件、心臓血管外科26件、婦人科13件、呼吸器外科11件、放射線治療科(陽子線)10件、周産期センター3件、放射線科3件、歯科口腔外科3件、麻酔科2件です。

11月の救急車台数

 11月の救急車台数は460台でした。時間外の受診患者さんは1294人でした。

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