広報誌 南東北

 

危険ドラッグ

 乾燥させた植物に合成した化学物質の粉末や液体を混ぜたものの総称で、法的な定義はありません。乾燥ハーブと化学物質を混ぜた、いわゆる脱法ハーブのほか粉末・液体状のもの、錠剤なども流通しています。主な成分は大麻に似た合成カンナビノイド系(鎮静系)と覚せい剤に似たカチノン系(興奮系)の2種類。違法薬物と化学構造が異なるため薬事法の指定薬物対象から外れて国内では2007年ごろから「脱法ドラッグ」「脱法ハーブ」「合法アロマ」などの名で呼ばれてきました。
 使用すると麻薬や覚せい剤のような幻覚や興奮、陶酔などの作用を引き起こし、実際に吸引・飲用者による交通事故や死亡事件が増加。厚労省によると2012年に救急搬送された人は前年から10倍の469人にも増えました。昨年6月には東京・池袋で吸引後に男が車を運転して暴走し8人が死傷する交通事故が起きたのをはじめ危険ドラッグが原因と疑われる交通事故や事件での死亡例は99件にも上っています。
 このため警視庁は呼称を「危険ドラッグ」と改めました。厚労省によると薬事法では現在、1414種類が違法成分として指定されていますが、昨春の薬事法改正で製造や販売に加えて所持や使用も罪に問われるように改められました。ただ成分鑑定に時間がかかるなどの課題も多いため大阪府や愛知県など6都府県では同法で指定されたもの以外にも「指定薬物」にするなど独自の規制条例を施行しており、他の自治体でも条例制定の動きが広まっています。

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