広報誌 南東北

 

男性の貧血は要注意

背景に重大な病気かもあなどらず、ぜひ精密検査を

 貧血というと女性の20%が貧血患者といわれるほど女性に多く、そのほとんどが鉄欠乏性貧血です。それだけに中高年、特に男性は「だるい、疲れやすいのは歳のせい。貧血は自分とは無縁だ」と他人事のように思っている人が多いと思います。でも男性の場合は鉄欠乏性貧血患者は少なく、より重い病気のサインの可能性もあります。
 貧血は血液の赤血球の中にあるヘモグロビンという血色素が減少して起こります。ヘモグロビンは身体の組織に酸素を運ぶなど重要な役割を担っており、減少すると様々な組織が酸欠状態になります。その結果、顔色が悪い、全身の倦怠感、立ちくらみ、胸痛、動悸、息切れなど様々な症状を引き起こします。女性に貧血が多いのは、月経や婦人科系の病気(子宮筋腫、子宮内膜症など)で出血が多く、鉄欠乏性貧血になることがあるからです。しかし男性の場合は女性と違って、その背景に重大な病気が隠れていることもあり得るので要注意です。
 貧血の80~90%は鉄欠乏性貧血ですが、男性の場合は胃・十二指腸潰瘍、胃がん、大腸ポリープ、大腸がんなどによって体内で出血が起こり貧血することも考えられます。
 そうならないためにも貧血の症状がある人で40歳以上の人は必ず便潜血検査を受けるべきです。黒色のタール便は、食道や胃・十二指腸など上部消化管、赤褐色や鮮紅色の便は大腸、特に肛門に近いところからの出血が便に混じっていると考えられます。
 男性は「たかが貧血」と考えがちですが、命取りになるのでしっかり精密検査を受けるべきです。最近はインスタント食品や外食が増え、栄養のバランスが崩れた食生活の人も多いため鉄欠乏性貧血にならない上手な鉄の摂り方に気をつけたいものです。鉄分を多く含むレバーや赤身の肉、貝類、大豆、海藻などはもちろん、鉄の吸収率をたかめるため一緒にビタミンCを摂る工夫などもいいと思います。

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