広報誌 南東北

 

がん治療中の食事 -抗がん剤治療の初期は小分け、こまめに においが強い食品、温かい料理は避ける-


栄養や食事のポイントを開設する吉田栄養管理士
 

食事の工夫を紹介するレシピ本
下痢症状には冷たいものを避ける 口内炎には薄味、豆腐・温泉卵がお勧め

 がんと闘っている患者さんにとって、体力を維持し感染症を予防する観点から栄養のバランスがとれた食事はとても大切ですが、治療の後遺症や副作用によって思うように食べられなくなることがあります。 しかし自分の受ける治療によって起こりうる問題への予防法や対策をあらかじめ学び、専門家や周囲の人の助言や協力を得ることで、上手に栄養を摂取することは十分に可能です。 去る5月20日(水)に開かれた「がんサロン」ミニ勉強会で総合南東北病院の吉田明子管理栄養士が話した「がん治療中の食事について」の内容から化学療法・放射線療法中の栄養・食事の要点をまとめます。
 副作用は、抗がん剤治療では全身に、放射線治療では照射した部分などに現れます。食の問題では吐き気・嘔吐、食欲不振、白血球の減少に伴う貧血、食べ物の通り道である消化管の炎症、 下痢、味覚の変化、口内炎・乾燥などです。抗がん剤による副作用の症状は出現時期が異なるため時期に応じて食事を変えていくことが栄養摂取の基本となります。 ただし、どの時点においても水分の摂取は必須。水分不足による脱水状態は生命の危険につながるからです。
 抗がん剤の副作用として初期に出る代表的な症状が吐き気・嘔吐です。この時期の食事を上手に摂るコツは小分けにしてこまめに食べること。 においが強い食品や温かい料理は吐き気を催しやすいので避けるか冷ましてから食べると良いでしょう。また油っこい料理は消化も悪いので症状が強いときは控えましょう。 十分に冷ましたご飯や喉越しの良い冷たい麺類を摂るようにし、食欲があれば栄養価の高い豆腐や温泉卵を添えるのもお勧めです。アイスクリーム、シャーベット、ゼリーなども試してみましょう。
 抗がん剤投与後数日から2週間後に腸の粘膜が荒れてくるために下痢症状も起こってきます。食事のポイントは消化管に刺激を与えないことです。 冷たいものは避けて消化の良いもの(常温の飲み物、お粥など)を少量ずつ摂取しましょう。症状に応じて医師から下痢止めを処方してもらうことも対策の1つです。
 口内炎も抗がん剤による副作用として多くみられる症状の1つです。耳や口、のどなどの頭頸部に放射線治療を受けている患者さんにも出現します。事前に口腔ケアを受けるとある程度の予防になりますが、完全に抑えることは困難。 この場合も極力刺激を避けた食事を心がけることが重要です。口当たりのよい、さっぱりとした食事にし、味付けは、だしを効かせて薄味にしましょう。お勧めは豆腐や温泉卵です。 調理の工夫としては、あんかけなどでとろみをつけると食べやすくなります。
 味覚の変化を訴える患者さんも多くいます。抗がん剤の影響で味を感じ取る細胞や神経がダメージを受けたり、唾液の分泌が抑制されて口内が乾燥することで、苦みや辛みだけが強調される、 全く味を感じられなくなる、といった味覚の変化が生じます。結果として食べ物のおいしさを実感できなくなり、食欲減退を招きます。うがいの回数を多くしたり、 飴をなめて唾液の分泌を促すなど口の中の乾燥を防ぐことが何よりも重要です。
 私たち管理栄養士は、副作用に合わせたレシピを紹介したり、療養中の食事内容に関する相談に応じるなどチーム医療の一員です。食事に関して聞きたいことがあれば、気軽に声をかけて下さい。
 当院では、患者同士や家族が交流を深め、がんの情報交換や気になること、困ったことを気兼ねなく話せる場として「がんサロン」を毎月1回開催しています。 会場は総合南東北病院に隣接する南東北がん陽子線治療センター4階ラウンジで参加無料。次回は8月19日(水)でテーマは「写真セラピー」です。


Aマイナスに格上げ、方向性は安定的 JCR脳神経疾患研究所の格付変更

 日本格付研究所(JCR)は6月12日、南東北グループの中核法人・脳神経疾患研究所の長期発行体格付を「BBBプラス」から「シングルAマイナス」に格上げ、 方向性を「ポジティブ」から「安定的」に変更しました。「Aマイナス」はJCRの7番目の格付。県内のJCR格付獲得法人は銀行や医療機関など6社でAマイナスは2番目です。
 脳神経疾患研究所は郡山市の総合南東北病院を軸に福島、宮城、青森、東京、神奈川の1都4県で8病院、83医療・介護施設などを展開している同グループ7法人の中核です。
 格付ランクアップの理由として先進医療への積極的な取り組みや各医療圏で強固な事業基盤の確立を評価。中核の総合南東北病院は激しい競争の中で集患力を維持している―などを挙げています。
 また平成24年に開設した新百合ヶ丘総合病院(川崎市)も患者数が着実に増加、全体としてキャッシュフローの安定度が増している。 さらに民間病院では国内初のがん陽子線治療センターを開設したのをはじめ世界の病院で初のホウ素中性子捕捉療法によるBNCT研究センターを建設、 来年早々の治験開始を目指すなど先進医療分野で順調に進捗、今後も積極投資が見込める。そのため借入金は高水準で推移するが、キャッシュフロー対比でみると一定の範囲内―との見方を示しています。


8月の医学健康講座

 総合南東北病院の8月医学健康講座は、8月21日(金)午後2時から同病院北棟1階NABEホールで開かれます。
 同病院の中澤誠小児・生涯心臓疾患研究所長(小児科)が「こどもの胸痛と失神」と題して講演します。中澤先生は子どもの心疾患などについて分かりやすく解説します。
入場無料。送迎バスは郡山駅午後1時発、病院同3時25分発です。

6月の手術件数

 6月の手術件数は721件でした。内訳は眼科225件、外科99件、形成外科63件、整形外科59件、脳神経外科55件、外傷センター47件、耳鼻科38件、泌尿器科37件、心臓血管外科32件、 放射線治療科(陽子線)18件、呼吸器外科13件、婦人科10件、周産期センター8件、歯科口腔外科6件、麻酔科4件、放射線科3件、小児心臓外科2件、呼吸器内科1件、消化器内科1件です。

6月の救急車台数

 6月の救急車台数は396台。時間外の受診患者さんは1142人でした。

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