広報誌 南東北

 

新年のごあいさつ 総合南東北病院理事長・総長 渡邉一夫

良質の医療・サービスを適正、迅速に グループ全社挙げ徹底した「16ゼロ作戦」


 新年おめでとうございます。原発事故から4年10か月が経過しました。まだまだ終息とはいえませんが、福島県でもやっと落ち着きを取り戻していることを実感できるようになりました。 多くの家族・子ども・医療従事者も県内に戻りつつあります。福島県が本拠地の南東北グループも今では、北は青森県から南は神奈川県まで運営地区を拡大、職員7000人、事業所約90施設となり、 全国有数の大規模な医療・介護・福祉を運営する企業として広く認知され、地域から信頼を得て社会に対する貢献を十二分に発揮しているものと確信しています。
 さて昨年も世界経済はギリシアの金融危機が再燃、EUが辛うじて支援の手を差し伸べて繋いでいる状況です。また石油の大暴落により多くの資金が欠落し、石油輸出国の経済が大幅に冷え込んでいます。 さらにこれに輪をかけて世界一の大国・中国の経済崩壊が始まり、連鎖的にいつ世界経済が脅かされるか分からない状況となっています。
 一方、日本経済においては復興・オリンピック需要により一時の不動産業・建築バブル状況で、2~3年後の建築需要が乏しくなることが懸念されています。 さらに日本の借金は日増しに増加しており、平成28年度の診療報酬改定も医療業界にとって厳しくなるのは間違いありません。このような厳しい状況下で引き続き患者・利用者さんに我々を選んでもらうためには、 いいものを安く、スピーディーに提供することに尽きると思います。
 ただ厳しいことばかりではありません。日本を訪れる外国人観光客が過去最高を更新し日本が注目されています。同じように日本の医療も注目を集め、メディカルツーリズムも盛んになってきています。 我々の病院にも多くの外国人が我々の医療を求めて訪れるようになってきています。さらに日本の医療機器の優位性が評価され、海外への輸出も始まってきています。 そんな中で我々もマレーシアから誘致を受けており、海外進出も近い将来、夢でなくなるかもしれません。
 国内では安倍改造内閣が〝一億総活躍社会〟をスローガンに「新第3の矢」を宣言。①戦後最大のGDP600兆円②希望出生率1.8③介護離職ゼロ―を謳っています。 具体策はこれからのようですが、介護職ゼロは2020年代当初までに在宅サービス・施設サービスを50万人分整備するとしています。 厳しさが増す介護・福祉の分野でも自分たちの努力と工夫次第でまだまだ活路を見出すチャンスが十分あるといえます。南東北グループも国の方針に沿いその一翼を担えればと考えます。 ちなみにゼロ作戦は国より我々の方が早かったようです。国もゼロ作戦をやることの意義を感じているのですから民間の我々がゼロ作戦に力を入れて取り組むのは当然ともいえます。 南東北グループはすでにゼロ作戦を展開しており、3年目の今年は保険診療・コンプライアンス違反や感染・食中毒、苦情、救急受け入れ拒否、褥瘡(じょくそう)、離職、個人情報漏えい・紛失など 16項目について全社的に徹底した「16ゼロ作戦」に取り組みます。

1月からBNCT治験開始 大阪・なんば駅ビルにクリニック新設

 南東北グループの現況と今後の取り組みですが①開設から3年5か月の新百合ヶ丘総合病院は、外来患者が1000人を超える日もかなりあり、稼働率が90%を超え黒字が定着してきそうだ。 増床を申請中で認可されれば550床になる。医療レベルをアップさせたい②総合東京病院は250床から増床を重ね451床が認められた。隣接地の開発工事にも着手、最終的に500床規模で充実した循環器センターの設置、 小児医療にも取り組む③夢のがん治療である南東北BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)研究センターで1月からいよいよ治験を始める。終了後1年程度を目指して治療を開始したい ④郡山市八山田の特別養護老人ホーム隣に200人規模の保育園を併設、子どもと障がい者、高齢者が一体で過ごせる施設建設を年内着工する⑤福島市に建設中の看護小規模多機能型居宅介護施設「結の学校」を4月に開設する ⑥南東北がん陽子線治療センター前に創薬・サイクロトロン研究所を開設、医療クリニックの外来ブースも増設する⑦福島県立医大内に5つの寄付講座を立ち上げ、医師・研究者が総合南東北病院に来てもらえるようになった ⑧東京・世田谷の梅ヶ丘駅近くに老健と障がい者・回復期リハビリ病院併設の施設を31年4月に開設する⑨大阪・なんば駅直結の駅ビルに東京クリニックをモデルにしたクリニックを開設する。 大阪進出第1号。PET2台、MRI3Tを備えた先端医療を展開する⑩海外での医療施設の開設を検討。マレーシアは具体化する可能性がある―などです。
 以上が直近の南東北グループの現況ですが、困難を断ち切り、さらに上に登り詰めるにはどうするか。2016年のスローガンは①南東北グループの各施設の組織力強化とグループの一体化 ②南東北グループの人材能力の開発と優秀な人材の抜擢③南東北グループの人材確保のノウハウの共有と協働④南東北グループの事務合理化の徹底した追及―です。 今年も南東北グループの理念である「すべては患者・利用者さんのために」をモットーに掲げ、使命感に燃え、奉仕の精神を尽くし、大きな目標に向かって昨年にも増してがんばっていきます。本年もよろしくお願いします。


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