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カルシウム不足などが原因で骨がスカスカになってしまう骨粗しょう症。早期発見して早めに治療を始めれば改善できる病気です。将来後悔しないためにも骨粗しょう症の予防法を考えましょう。
人間には206本もの骨があり、家の柱のように身体を支える役割のほか、脳・内臓を守る働きや血液を作る働き、さらにカルシウムを貯蔵する働きがあります。
和食が海外で注目され、豊かな食文化ニッポンでは、不足な栄養素は無いと思われがちですが、例外なのがカルシウムです。カルシウムは骨を形成する上で欠かせないミネラルですが、日本人はカルシウムが最も不足しています。
そのため骨がガッシリしておらず、骨の中がスカスカ状態の人が多く、骨粗しょう症の人も多いことになります。
しかし骨粗しょう症対策はカルシウムさえ摂取していれば大丈夫と言うわけではありません。運動不足や生活習慣の悪化なども骨を弱く、もろくする原因となっています。
カルシウムは元々体内に吸収されにくいミネラルなので大量に摂れば、それがそのまま骨になると言うわけではありません。カルシウムを効率よく吸収するには、まずビタミンDが欠かせません。また骨をガッシリ強化するにはリンとマグネシウムが不可欠です。
骨密度(BMD)は、骨量とも呼ばれ、骨の密度と強度を表しています。骨の成分は、コラーゲンやミネラルなどで、骨代謝と言う仕組みにより毎日新しい骨に生まれ変わっています。しかし骨密度が減少すると骨が弱くなり、折れやすくなります。
骨密度がピークになる時期は個人差がありますが、低下し始める時期は男性が25~30歳前後、女性が20~25歳前後といわれます。女性の場合は、閉経を迎えるとエストロゲンという女性ホルモンが減り、同時に骨密度も大きく減少してしまいます。
確かに加齢とともに骨密度は減少していきますが、カルシウムを十分に摂取し、カルシウムの吸収を促す栄養素を食事に取り入れ、更に適度な運動を生活の中に取り入れることで十分な骨密度を保つことができます。
適度な運動は骨代謝を盛んにして骨を強くしてくれるからです。諦めてはいけません。
骨粗しょう症を予防するには10代前半の思春期に高い骨密度の骨を作っておく、若いうちからの対策が必要です。将来の骨粗しょう症予防に必要なのは、1日3度の規則正しい、バランスの取れた食事と適度な運動を習慣とすることです。
積極的なカルシウム摂取とバランスの良い食事が大切です。若いうちにしっかり運動することで強い骨が作られ将来、骨粗しょう症に限らず、多くの生活習慣病予防にもプラスになります。
また、たばこやアルコールなどの嗜好品は、生活習慣や骨粗しょう症に悪影響を及ぼすことが分かっています。カルシウムやビタミンD、ビタミンK、たんぱく質などを中心にバランスの良い食生活に心がけましょう。
骨を強く、筋肉を増やすためには日常的にウオーキングやストレッチ、エアロビクス、筋トレなどの運動も効果があります。ただし無理しないことです。
「もう中年だから」などと諦めてはいけません。こうした骨粗しょう症予防対策は、中高年になっても決して遅くありません。食生活に注意を払い、より良い生活習慣を取り入れて骨粗しょう症と骨折の予防を心がけましょう。