健康の知識


子供の誤飲事故

 
 乳幼児には、食べ物でなくても、身のまわりの物を何でも口に入れる時期があります。
 事故の多くは、0〜1歳児に集中しており、特に生後6カ月を過ぎる頃は事故が急増しますが、4歳を過ぎるとかなり減少します。
 
●死亡事故も発生
 最も多かった事故は、たばこを飲んだり食べたりしたものです。以下、医薬品、ビー玉・おはじき等の玩具、洗浄剤が続きます。中には直径3cmのゴムボールを口に入れて窒息し、半年の植物状態の後に死亡という例もありました。
 また、誤飲により胃の中に生理食塩水を注入して胃の内容物を回収する胃洗浄や全身麻酔での内視鏡術で体内の異物の摘出など、幼い子どもにとってかなりの苦痛を伴う治療方法がとられたものもありました。
 
●事故を防ぐために
 たばこ、医薬品、洗浄剤などは子どもの手の届かない、床から1m以上の高さがある場所に収納しましょう。また、大人の手の親指と人差し指で作った輪の中に入る物は子どもの口に入り、のどを通る大きさの目安になります。その大きさの物は、できる限り片付けましょう。
 小さな弟妹がいる場合、兄姉には玩具などの片付けを言い聞かせましょう。
 また、ジュースなどの空き缶を灰皿代わりに使うなど、まぎらわしい使い方もやめましょう。
 飲み込んだ物によって、吐かせてもよい場合といけない場合があります。緊急を要する場合は、すぐ病院で診察を受けましょう。
 
 
 表 誤飲等の事故が起きたときの対処法
事故のケース 飲んでしまった物など 家庭での応急手当
気道
(のど・気管)
の異物
のど(咽頭〜喉頭)の異物:
玩具、こんにゃく入りゼリー、餅など
乳幼児の場合、手で支えるか子供をひざの上にうつ伏せにして、頭を低い位置に置き、肩甲骨の間を4〜5回平手でたたく。
年長児では、子供を後ろから抱きかかえて腹部を上方に圧迫する。
気管・気管支〜肺の異物(誤えん):ピーナツ、枝豆など 気道確保。
呼吸が止まった場合 人工呼吸と心臓マッサージを行う。
食道・胃内
の異物
タバコ すぐ吐かせる。ニコチンが体内へ吸収されやすくなるため、水や牛乳は飲ませない。
大部分の医薬品 吐かせる。吐かせやすくするために、水や牛乳を体重1sあたり10〜15ml飲ませても良い。
パラジクロルベンゼン、
ナフタリン、防虫剤など
牛乳は飲ませない。
水を飲ませて吐かせる。
除光液、灯油、ガソリン、
ベンジンなどの揮発性物質
何も飲ませない。吐かせてはいけない。
トイレ用洗剤、漂白剤などの
強酸・強アルカリ
牛乳、卵白を飲ませる。吐かせてはいけない。
食道の異物:硬貨、針状異物など 吐かせてはいけない。
ビニールチューブ、ひもなどの柔らかい異物 吐かせてはいけない。
ボタン電池 吐かせてはいけない。
上記にかかわらず、吐かせてはいけない場合 意識がないとき 吐かせてはいけない。
気道を確保する。
けいれんを起こしているとき
胃より下の
固形異物
硬貨、ボタンなどの円形異物 便中に排出されていないかどうかを確認する。
 ※吐かせる方法 舌の奥を指、スプーン、木のヘラなどで下の方へ押す。
 
 
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食生活の知識

 
サプリメントと保健機能食品


 
●サプリメントとは?
 サプリメントに法律上の定義はありません。健康食品、栄養補助食品などとも呼ばれ、それらに明確な違いはありません。一般に食品と医薬品との中間的なものと思われていますが、法律的には食品ですので「○○に効く」など効能効果を表示すると薬事法違反となります。
 
●サプリメントの問題点
 サプリメントは、栄養の補助として、あるいは健康増進を目的として利用されていますが、病気の予防や治療の補助のために利用している人もいます。しかし、必ずしもその効果が科学的に証明されているとは限りません。ですから、病気の治療を目的とした利用はお勧めできません。しかも、同じ名称のサプリメントであっても、その有効成分の含有量はさまざまです。食品だから安全と思われがちですが、発疹や下痢、肝機能障害等を起こしたとの報告もあります。特に、肝機能や腎機能などの低下した高齢者などに健康被害が出やすくなりますので、利用に際しては主治医に相談してください。
 人に勧められてサプリメントを利用する人もいますが、ほかの人に効いたからといって自分にも効果があるとは限りません。外国製のサプリメントには医薬品や有害成分が混入していることがあり、個人輸入は危険です。
 
●保健機能食品とは?
 最近は保健機能食品と表示されたものも多く出回るようになりました。これは厚生労働省により、栄養効果のあるもの、保健上の効果が科学的に証明されているものについてその表示が認められた商品です。
 保健機能食品には栄養機能食品と特定保健用食品とがあります。栄養機能食品は主としてビタミン・ミネラルを含む商品が対象であり、これらの成分が規定量含まれています。
 特定保健用食品はそれぞれの商品ごとに認可される食品で、おなかの調子を整える、虫歯の原因になりにくい、ミネラルの吸収を助ける、歯や骨の健康維持に役立つなどのほか、血圧やコレステロールや血糖値などが気になる人向けの食品もあります。
 
●特定保健用食品を利用する場合の注意点
 特定保健用食品には「血糖値が気になる人のために」「血圧が高めの人のために」などと表示されているものがありますが、これらは糖尿病や高血圧などの予防や治療を目的としたものではありません。あくまでも病気ではない人が利用することを前提としています。
 もし病気を持つ人が特定保健用食品を利用する場合には、まず主治医に相談したほうがよいでしょう。それらの中には医薬品の効果や副作用に影響する可能性のあるものがあるからです。
 また、たとえ特定保健用食品として短期的な効果は認められていても、5年10年といった長期的な効果や安全性が明らかになっているわけではありません。一般の食品より割高になりますので、自分にとって本当に必要なのかどうかをよく考えて利用してください。
 
 
国民生活センター 『くらしの豆知識2006年』 より

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