くらしの豆知識
生活習慣病と内臓脂肪型肥満
 
◆肥満と生活習慣病の関係
 年齢を重ねることで発病しやすくなり、食生活、運動習慣、喫煙、飲酒、休養などの生活習慣が乱れることで、発病や悪化を引き起こす疾患のことを生活習慣病といいます。
 代表的なものには糖尿病、高血圧症、高脂血症や脳梗塞、狭心症、心筋梗塞などがあります。肥満は生活習慣病の主要なリスク(危険因子)ですが、その中でも、内臓に脂肪がつく内臓脂肪型肥満が、その発症に密接な関係があることが分かっています。

◆体脂肪のつき方と肥満の種類
 主に腹部から上に脂肪のつく「上半身肥満」と腰から下に脂肪のつく「下半身肥満」に分けられます。上半身肥満と下半身肥満の区別は「ウエスト/ヒップ比」で行われてきましたが、現在はウエスト周径(腹囲)を測り、わが国では男性85cm以上女性90cm以上を上半身肥満と判定します。
 上半身肥満はさらに腹壁の皮下に脂肪がつく皮下脂肪型肥満腹部内臓器官の周囲に脂肪がつく内臓脂肪型肥満に分けられます。わが国では腹部CTスキャンという検査法で脂肪のつき方をみて、内臓脂肪面積が100cm以上になると男女ともに生活習慣病が合併しやすいことから、それ以上を内臓脂肪型肥満としています。
 ただしCTスキャン検査法は気軽に受けられるものではないので、簡便な検査法として、ウエスト周径を測り、男性85cm、女性90cmが腹部CT検査による内臓面積のほぼ100cmに相当するので、それ以上であれば内臓脂肪型肥満と考えて良いのではないかとされています。

◆肥満の程度の判定
 肥満の程度の判定法は国際的にボディマス指数肥満係数とも呼ばれるBMI)で行われます。わが国ではBMI25以上になると生活習慣病になりやすいことが分かったので、BMI25以上を「肥満」と判定します。

◆内臓脂肪型肥満が注目される理由
 BMI25以上の肥満、上半身肥満、内臓脂肪型肥満のいずれも生活習慣病の危険因子です。この中で内臓脂肪が増加すると、糖の代謝異常、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病罹患とより関係が強いので、内臓脂肪型肥満が最も注目されています。日本人の場合、遺伝的な要因から普通の体形でも内臓脂肪が多いと、生活習慣病にかかりやすくなることが分かっていますので、たとえ肥満度(BMI)が正常範囲内であっても、ウエスト周径が基準値を超えている場合は注意が必要です。

◆内臓脂肪を減らすためには
 肥満の大きな原因は、食べ過ぎと運動(身体活動)不足です。皮下脂肪がつきにくく減りにくいのに対し、内臓脂肪はつきやすく減りやすいといわれています。食事療法と運動療法を続けると、内臓脂肪が先に減っていき、皮下脂肪は少しずつ減っていきます。
 内臓脂肪を減らすには減量以外では運動で効果があります。過食を避け、食事のバランスをよくし、運動を毎日少しずつでも続けることが大切です。

国民生活センター「くらしの豆知識2006」より
トップページへ