人に言えない困った症状
「睾丸が腫れて痛い!」  
 

 
◆症状が改善するまで約2週間
 睾丸。その大きさはハトの卵大、容量は日本人の平均で15cc。男性ホルモンを分泌し、精子をつくるという重要なふたつの働きをもっています。
 ふつう、睾丸の数は2つ。ところが人によっては1つということもあります。これはいわゆる停留睾丸といい、通常ならシワだらけの袋のなかに入っていますが、出産のときにたまたま袋のなかに下りてこないで停留することがあり、原因はよくわかっていません。放っておいても3〜5歳くらいの間にたいていは自然に下がることもありますが、下がらない場合には、合併症としてヘルニア(脱腸)、不妊症、悪性腫瘍のほか、精神的に性的劣等感がおき、抑うつ症になったりもします。
 なかには、もともと玉がひとつしかない人もおり、単睾丸症といいますが、ペニスの発育不全、あるいはヘルニアを合併している場合があります。また、3つある人もおり、その大半は、左側の袋に2つ、右側に1つ入っています。
 この睾丸は、いろいろな理由から腫れたり痛んだりします。もっとも多いのが副睾丸炎。玉が腫れる場合には、たいていが副睾丸炎といえます。よく触ってみると玉そのものではなく、その脇についている副睾丸が腫れて袋までも赤くなっています。この副睾丸炎は副睾丸に細菌が感染しておこります。尿道や前立腺よりの逆行性感染が大部分です。
 性行為による感染源は淋菌やクラミジアトラコマチスで、尿道感染によるものは大腸菌、ブドウ球菌、緑膿菌などが原因菌になります。
 現在はほとんどみられなくなりましたが、結核菌性のものもあり、腎臓結核に続いておこります。急性期の2〜3日は安静が必要なので、入院加療を行います。陰嚢部を高い位置に保って冷やすとともに、強力な抗生物質、消炎鎮痛剤を投与します。痛みがひどい場合には、鼠蹊部への局所麻酔注射をすると効果があります。
 熱は2〜3日で下がりますが、症状が改善するまでには2週間ほどかかります。副睾丸部の腫れや硬さは1カ月以上かかって徐々に元に戻ります。
◆おたふくかぜで男性不妊になるってホント?
 俗におたふくかぜと呼ばれるのは流行性耳下腺炎。ムンプスウイルスの感染により、耳下腺が腫れて顔がおたふくのようになるためにおたふくかぜと呼ばれています。
 耳下腺の腫れる前に熱が出ることもありますが、無熱性もあります。1週間程度でよくなりますが、髄膜炎や膵炎、睾丸炎、卵巣炎などの合併症をおこしやすくなります。思春期で感染すると、耳下腺炎性睾丸炎の約30%は睾丸精管のいちじるしい萎縮をおこし、両側におこった場合には男性不妊の原因になることもあります。また発病後の急性期には陰嚢部の腫れ、痛み、発赤が強く、ときに陰嚢水瘤を合併することがあります。
 陰嚢水瘤とは、陰嚢が卵円形に緊張した形になり、痛みはありませんが、液体が溜まり陰嚢がすけてみえます。赤ちゃんや幼児に多く、針を刺して水を抜くと治りますが、成人になってからおこった場合には手術をしたほうが治癒の早道です。そのほか、睾丸に酸素や栄養を送っている血管が突然に詰まってしまい、腐ってしまう睾丸壊死という病気もあります。原因についてはよくわかっていません。いずれにしても睾丸が腫れたり、痛かった場合には、泌尿器科の治療を受けたほうが、のちのちの安心にもつながります。
 
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