くらしの豆知識

食品に含まれるアレルギー物質
 
◆増加するアレルギー疾患
 「食物アレルギー」は、例えば、卵を食べてじんましんが出たり、そばを食べてせき込んだりなど、ある特定の食べ物を食べることによって起こります。近年、食物アレルギーを起こす人の数が増えてきています。
 増加の原因として、最近、卵や牛乳、肉類の摂取量が非常に増え、動物性たんぱく質と脂質の多い、栄養価の高い食事を取るようになったことが挙げられ、こうした食生活の変化が大きな要因だといわれています。
◆食物アレルギーの症状
 食物アレルギーでは、全身にさまざまな症状が現れます。特に多いのが、「じんましん、かゆみ、発赤、湿疹」などの皮膚症状です。
 そのほか、「嘔吐、下痢、腹痛」などの消化器症状や、「せき、ゼーゼーする」などの呼吸器症状が起きたりします。これらの症状は、多くの場合、原因となる食品を食べてから1時間以内に起こります。
 また、「アナフィラキシーショック」という強い全身症状が、食後15〜30分以内に起こることもあります。これは、血圧が低下して生じるショック症状のことで、皮膚などの症状に引き続いて、ぐったりしたり、意識がもうろうとなったりします。この場合、緊急に医療機関を受診する必要があります。
◆アレルギーを起こす食べ物
 アレルギーを引き起こす原因となる物質を「アレルゲン」といいます。
 アレルゲンになりやすい食品として、3歳以下の子どもでは、卵・牛乳・小麦が多く、成人になると、これら3つのほか、甲穀類・魚介類の割合が増えます。
 また、アナフィラキシーショックを起こしやすいアレルゲンとしては、ソバや落花生のほか、小麦や甲殻類などが挙げられます。

◆食品の成分表示の確認
 食物アレルギーの増加に伴い、'02年4月以降、重いアレルギー症状を起こしやすい食べ物が含まれている食品には、量に関係なく、原材料名を表示することが義務づけられました(表)。
 表示の義務・奨励が適用されるのは、箱や袋、缶など容器包装された加工食品の原材料と添加物についてです。
 食物の摂取により、強いアレルギー症状を起こす人は、加工食品を購入するときは、必ず表示をチェックするようにしましょう。

〈表〉 表示されるアレルギー物質
表示が義務づけられている5品目 表示が勧められている20品目
卵、乳、小麦、ソバ、落花生 アワビ、イカ、イクラ、エビ、
オレンジ、カニ、キウイフルーツ、
牛肉、クルミ、サケ、サバ、大豆、
鶏肉、豚肉、マツタケ、桃、ヤマイモ、
リンゴ、バナナ、ゼラチン
使用される物質が常識的に分かる食品は、表示しなくてもよい。
【例】  マヨネーズ、かに玉、オムレツ (卵の表示不要)
 アイスクリーム、チーズ、バター (乳の表示不要)
 しょうゆ、みそ (大豆の表示不要)など
◆食生活における注意
 食物アレルギーの場合、原因となる食品を食べないようにすることが基本です。
 ただし、個人の経験や素人判断ではなく必ず医師の診察を受け、原因となる食品を診断してもらったうえで除去します。その際には代替となる食品を取り入れて、栄養には十分気を配るようにしましょう。

国民生活センター「くらしの豆知識2006」より
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