人に言えない困った症状
「強迫性障害」
 いくら手を洗っても汚れているような気がして、手を洗うのが止められません。おかしいとは思うのですが、洗わないと不安でしかたがありません。
 不潔恐怖による洗浄強迫があるようです。自分でもばかばかしい考えや行為だと分かっていても止められず、それに抵抗しようとすると強い不安が起こる病態を、強迫性障害といいます。
★「強迫観念」と「強迫行為」
 強迫性障害は「強迫観念」と「強迫行為」の2つから成り立っています。
 強迫観念とは、ばかばかしいとはわかっていても、ある考えが浮かんできて困るというものです。
 強迫行為とは、これもばかばかしいと分かっていながら、ある行為を何度もくり返さざるをえないというものです。多くは強迫観念を打ち消すために強迫行為に及びます。
 強迫行為としてよくあるものは、不潔恐怖から何回も手を洗う洗浄強迫や、何回もものごとを確認する確認強迫があげられます。
★あなたは大丈夫ですか?
 強迫性障害には、自分で気にして自分で確認する「自己完結型」と、確認のために他人を巻き込む「他者巻き込み型」の2つのタイプがあります。後者の他者巻き込み型は女性に多く、未熟・依存的なタイプであり、一般的に重症です。
 強迫性障害になりやすい人には、潔癖、几帳面、きちんとしていないと気がすまない、完全癖、不全感、分かってはいるけれどやめられない、攻撃性が強い、他人を自分の思い通りに動かそうとする(操作性・支配性)、全能感、しつこい、くどい、こだわる…などの心理傾向が多くみられます。
★強迫性障害の治療法
 治療には主に、精神療法、行動療法、薬物治療の3つがあります。
精神療法
◆支持的精神療法
 まずは医師と患者さんが良好な関係を築くことが大切です。それから、強迫行為の回数などを減らしていきます。少しずつでも減らすことができれば、自信にもつながりますし、不安も軽くなります。
◆精神分析療法
 抑圧された不満の対象などを意識して、なぜ強迫性障害が生じるのかを考えていきます。症状の意味合いを探っていく治療方法です。
◆森田療法
 強迫観念と強迫行為を追い払おうとせず、あるがままに受け入れる姿勢をとります。そのままの状態で、生活と行動を正しく整えていきます。
 本格的な入院森田療法ではなく、森田療法的な治療態度がほかの療法とよく併用されます。
行動療法
 強迫行為の回数を次第に減らしていく療法です。達成できる目標を段階的に設定して、それを克服していくことで自信をつけていきます。ときには強迫行為を行わずにはいられないような状況にあえて身を置いて、それを行わないで対処できるように少しずつ訓練していく方法もあります。
 不安に憤れ、不安が軽くなっていくのを待ちます。
薬物療法
 現在ではSSRlが主に用いられています。
本来抗うつ薬ですが、SSRlのうちのフルボキサミンは強迫性障害への使用にも健康保険が適用されています。
 
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