くらしの豆知識
住環境で起こる健康被害

 私たちが居住する室内には、健康に被害を及ぼす様々な危険要素があります。
◆新築への引っ越しで体調不良に
 新築の一戸建てやマンションに引っ越すと、目がチカチカしたり、めまいや吐き気、頭痛、のどの痛み、倦怠感などの症状が現れることがあります。こうした症状をシックハウス症侯群といいます。建材や家具の接着剤や塗料に使われるホルムアルデヒドやトルエンなどの化学物質が室内に発散して引き起こすといわれていますが、影響の受けやすさには個人差もあり、実態はよく分かっていません。
◆何よりも換気が大切
 新築時は、建材などに含まれるホルムアルデヒドの濃度が高いと考えられます。リフォームや家具の購入時のほか、害虫駆除で使う殺虫剤・防虫剤も原因になる可能性があります。
 '03年の建築基準法の改正で、ホルムアルデヒドの使用が制限され、シロアリ駆除に使っていたクロルピリホスが禁止されました。その後でもこれらによる不調を訴える人は少なくありません。シックハウス対策としては、まず、窓を開けるなど換気を心がけましょう。内装材や家具などの表示を確認し、化学物質をできるだけ持ち込まないことも重要です。
◆ハウスダストでアレルギーに
 ハウスダストは、ダニの死骸や糞、塵、カビ、ペットの毛といった小さなほこりが、アレルギーの原因となります。中でもダニは、ぜんそくやアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎の原因として知られています。ダニを減らすには、湿度を下げることが効果的です。湿度を下げるには室内に風を入れ通気をよくし、換気をしましょう。枕の中身をプラスチック製にしたり、床をフローリングにすることも効果があります。ペットの毛やフケはアレルギーの原因になるだけでなく、ダニの餌となります。外で飼う、あるいは寝室に入れないなど、ペットを飼う場所を限定するなどの対策を考えましょう。犬や猫は週に1回程度からだを洗いましょう。
◆身の回りのアスベストに注意
 アスベスト(石綿)は、熱や腐食などに強く、断熱材や防音材として広く用いられてきました。しかし、アスベストの繊維を吸い込むと、30〜50年後に肺がんや悪性中皮腫を発症し、死に至る危険性があります。従来はアスベスト工場での労災のイメージが強かったのですが、最近は作業員だけでなく、その家族や工場周辺の住民にも健康被害が及んでいることが分かり、大きな問題となっています。
 アスベストはかつて、集合住宅や学校を含め、鉄筋や鉄骨の建物の天井、壁などに吹き付けられていました。吹き付けは'75年に原則禁止されましたが、建物は現在も残っています。アスベストがむき出しでなければ、室内にアスベスト繊維が飛散する可能性は低いと考えられます。ただ解体時にアスベスト繊維が飛散することは十分に考えられますので、注意が必要です。
 また、アスベストが露出した建物も少なくなく、毎日利用する建物にそのような状況がないか点検してみましょう。
国民生活センター「くらしの豆知識2007」より
トップページへ