くらしの豆知識
団塊の世代の地域デビュー

◆700万人が定年退職する'07年問題
 「団塊世代の地域デビュー」といった言葉がメディアで躍っています。団塊世代とは、戦後、'47〜'49年のベビーブーム時代に生まれた人たちを指します。この人たち約700万人が'07年から定年退職し始めますが、それに絡んでいろいろ派生しそうな問題を「'07年間題」と呼んでいます。ビジネス社会の様々な分野で専門知識や技術を磨いてきたこの団塊世代の人たちを、社会でどう生かすかが'07年問題の核心です。ただ、定年後は仕事を離れ、趣味を楽しみ、ボランティア活動にいそしむ人も多いはずです。
 こうした人たちにいかにスムーズに地域に溶け込んでもらうかは社会的な課題でもあるわけです。団塊世代の人たちは“働き蜂”などと称されたように、仕事に打ち込むあまり、地域の人たちとの交流はほとんどなく、趣味もないという人も少なくないため、各方面で団塊世代を地域に受け入れる態勢づくりが進んでいます。
◆全国組織・地域創造ネットワークの活用を
 地域デビューする団塊世代の人たちの活動を支援するため、'06年5月、シニア関連団体によって「地域創造ネットワーク・ジャパン」という全国組織が設立されました。(財)さわやか福祉財団や神奈川ワーカーズコレクティブ連合会をど6団体による大ネットワークです。その傘下には計3000団体、30万人の活動者がいて、全国100カ所以上に設ける地域センターで、地域デビューする新人たちを人材登録したり、研修を行う活動をすることになっています。
 ホームページも開設していますので、団塊世代の人たちも、その前後の世代の人たちも大いに利用するとよいでしょう。
◆各団体のサポート活動が花盛り
 各団体の活動の一例を挙げると、神奈川県鎌倉市では'06年5月、行政と市民グループでつくる鎌倉団塊プロジェクト実行委員会が「地域デビューへのお誘い」と銘打った第1回目の集いを開き、約40人の定年前後の市民が参加しました。その中でまちのクリーン活動や外国人居住者に日本語を教える活動をしている先輩たちが、普段の活動ぶりを話し、仲間を募りました。
 東京都23区等で構成する特別区職員互助組合は年間5つのテーマで“退職準備セミナー”を開いています。「家庭経済」と「ボランティア」の2つが定番で、'04年から「田舎らし」も連続してテーマに加え、こちらには毎年300人が参加する大盛況ぶりです。
◆生涯学習も忘れずに
 定年退職者と切っても切れないのが生涯学習です。生涯学習という考え方は、すでに全国津々浦々に広がり、市町村を単位に、様々に取り組まれています。どこも多かれ少なかれ市民参加型で運営されでいますが、ほぼ100%市民運営の事例に、静岡市清水区の「清見潟大学塾」があります。
 講師は大学教授や家元などのほか、一事に打ち込んできた市井の研究者など様々で、「学んで教える」をキャッチフレーズに生き生きした学びが展開されています。
国民生活センター「くらしの豆知識2007」より
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