高齢者介護に悩む家族

 「介護」について考えたことがありますか?介護は専門家や医師、看護師がやってくれるもの、施設があるから大丈夫、うちのおじいさん・おばあさんは元気だから考えていない…そんなふうに答える人が多いことに少々不安を感じずにはいられません。  

 人間はかならず「老い」ていきます。誰でも介護する側、される側になり得るのです。少子化問題というのは、単に子どもの数が少なくなった、では済まされない問題で、高齢者の支えになる若者の数が少ないということは、先々介護される側の数は増え、介護する側の数が少ないという問題を作り出すのです。  

 高齢者のおられる家族は「介護」という問題から目を背けない、高齢者が元気なうちから介護について話し合い、情報収集し、いざとなったら自然に受け入れられる態勢を整えることができれば、あわてたり、苦しみ悩むことも少なくすることができるはずなのです。  

 介護は決して楽なものではありませんが、介護について誤解しなければ家族の生活に悪影響を及ぼすものではないのです。
 
 86歳の母が認知症と下半身が弱って車椅子を使用している状態です。私たち夫婦は共働きでしたが、私は仕事を辞めなければいけなくなり、1日中の介護と、苦しい生活の中疲れ果てています。親の面倒を見るのは当たり前だと頭では思うのですが、なぜ私だけがこんなに苦しい思いをするのかと兄妹を責めたこともあります。逃げ出したくなりますが逃げられず、頭がおかしくなりそうです。
 
 親の介護の問題は深刻です。このようなケースのほとんどは、介護についての情報量が少なかったり、一人で抱え込んだり、悩むばかりで改善策を取れない人に多いと思われます。  
 まず「介護」について知識を身につけなければいけません。人は老いていく…自分ひとりではできなくなることも増えていきます。それは自然なことで、親がそのような状 態になれば放っておくことはできません。仕事をしていてもやめざるを得ない場合もあります。「介護」が生活の中に加わったときに、今までとは違う生活のサイクルになる ことを理解し、受け入れなければ「介護」が自分に害を与えるものと思ってしまい、全てを悪くとらえ、自分を被害者にしてしまいます。  

 そもそも、私たちは赤ちゃんの時は自分では何もできなかったのです。しかし、親の愛情でここまで育てられ、何でも一人でできるようになりました。その親が老いて介護 が必要になった時に「こんなはずじゃなかった」と途方にくれても仕方ありません。  

 まず、介護をするときの絶対条件として「愛」が必要です。介護される側は家族に愛されていなければならないでしょう。思いやりなくして介護はできません。その「愛」 は一方通行ではいけません。  そして、正しい介護の知識と、家族全員の協力があれば、介護にまつわる様々な問題を解決しやすくなります。  

 介護を家族で担う場合、介護者が「誰にも頼れないから」と、一人で何もかもを担いきろうという考えを捨てたほうが良いでしょう。家族や親戚、ホームヘルパー、地域の支援事業など、力を借りることも必要です。介護者が心身健康でないと良い介護はできないのです。介護者の休息は介護を続けるための重要な課題です。そのことを家族全員で理解するための「家族の話し合いの場」も必要です。どこをどう改善すれば介護がしやすくなるのか、不安や悩みを家族に打ち明け、改善策を見つけましょう。家族が他にいないという人も、地域の相談窓口や在宅介護支援センターなど、活用できることは試してみると良いでしょう。それには情報が必要です。地域の人と交流を持つことも大切です。
介護にあわてないために
 いざ介護が必要になった時あわてないためには、普段からのコミュニケーションがものをいいます。夫婦や親子で介護に必要になった時のことを前向きに話し合いをする姿勢が必要です。例えば「子どもが面倒を見てくれるだろう」とか、「嫁が世話をするのが当たり前だ」とか、「介護が必要になれば施設に入ればいいんじゃない」「誰の世話にもならない」など、元気なときには言いたい放題になりがちです。  
 お互いが元気なときこそ介護について考えてみる必要があり、いざ介護となった時にあわてなくて済むのです。介護は夫婦関係、親子関係の良し悪しが深く関係してくると 言えます。  
 高齢化社会といわれる中、施設や介護者の人手は少ないのが現実です。是非、皆さんも介護する側、介護される側を想像して考えてみて頂きたいのです。
     
 
 
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