高脂血症の人は
食生活の見直し+有酸素運動
  
 高脂血症とは、血液中にし「コレステロール」や「中性脂肪」などが多すぎる状態をいいます。血液は、体に必要な酸素や栄養を全身の細胞に運んでいます。コレステロールや中性脂肪も体にとっては必要な成分なのですが、これが多すぎると 「血液がドロドロになる」と表現され、血管の壁にコレステロールが沈着して血管の内腔を狭くし、血液の流れがスムーズに行かなくなり、さらに血液の塊ができ、流れを止めてしまうこともあるのです。
 高脂血症は特に自覚症状 が無いまま徐々に進行し、動脈硬化を促し、やがて心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすとても危険な状態です。
 高脂血症の原因は生活習慣病といわれるだけに、悪い生活習慣によるものと原発性高脂血症といって、遺伝的な要因で起こるもの、別の病気やホルモン剤などの薬物によって起こることもありますが、ほとんどが生活習慣が原因となっていると考えられているのです。
 
どんな生活が高脂血症を招くの?
・食べ過ぎ
・運動不足
・喫煙
・過剰なストレス
・甘いもの、アルコールの取りすぎ  
 血液検査でLDLコレステロール値や中性脂肪の数値が基準値を上回った人は、すぐに食事療法を始めたほうが良いでしよう。  
 高脂血症の患者さんのほとんどは 食事の内容が発症の要因となってい ます。
  
 
食事を見直し改善する
 現代の日本人は肉や乳製品などを多く摂取するようになり、食事のエネルギーに占める脂肪の割合が高すぎるようです。  
 特に動物性脂肪に多く含まれている「飽和脂肪酸を摂り過ぎているのです。又、野菜や果物に含まれる「食物繊維」を摂取できないような食事内容になっている人が多いため、高脂血症の患者さんは年々増え続けています。
 
 
昔ながらの日本食「おふくろの味」
 健康嗜好の欧米人が日本料理に注目し、食事に和食をとり入れているそうです。日本料理は根菜(れんこん、ごぼう、大根など)の煮物や野菜のおひたし、具だくさんのみそ汁、焼き魚や煮魚など、油が少なく、食物繊維が豊富な料理が多く、塩分さえ抑えれば、すばらしい「健康食」です。
 
 
積極的に摂りたい食品
・食物繊維を多く含む食品
 食物繊維には水溶性と不溶性とがあり、水溶性の食物繊維は海藻類やこんにゃく、野菜類、芋類、豆類などに多く含まれ、血液中のコレステロールを減らし、便通を整えます。  
 不溶性の食物繊維は、穀物、きのこ類、野菜類、芋類、果物などに多く含まれ、血液中のコレステロールを減らす作用は無いものの、満腹感をもたらすので過食を予防します。
・不飽和脂肪酸
 コレステロールや中性脂肪を減らす働きがあります。青背魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(イコサペンタエン酸)はω-3系不飽和脂肪酸の一種で、中性脂肪を減らし、血栓をできにくくする働きがあるので魚を食べるなら新鮮なさんまやいわし、さばなどの青背魚を選ぶと良いのです。  
 又、オレイン酸はオリーブ油や菜種油に多く含まれており、善玉コレステロールを減らすことなく悪玉コレステロールを減らす働きがあるので、とり過ぎない程度に使用すると良いでしょう。
高脂血症の人は控えてほしい食品
飽和脂肪酸の多い食品
バター、ラード、生クリーム、チョコレート、チーズ、ベーコン、脂身の多い肉、ソーセージなど
※飽和脂肪酸はとり過ぎると、血液中のコレステロールを増やし動脈硬化を促進
 
コレステロールの多い食品
鶏卵、魚卵、鶏肉の皮、豚や牛の内臓など
※鶏卵はコレステロールが多いのですが、栄養価の優れた食品です。コレステロール値が高い人は毎日食べずに3日に1回にするなど、摂取する回数を少なくしましょう。
 
糖分の多い食品
砂糖、ジュース、甘いお菓子、ケーキ、果物など
※糖質はエネルギー源となる重要な栄養素ですが、必要以上にとり過ぎた分は脂肪として体内に蓄えられます。中性脂肪値や血糖値を上昇させるので、間食に甘いものは避け、糖質は芋や穀物から摂取すると良いでしょう。
 
アルコール
ビール、日本酒、ウイスキーなど
※アルコールも健康な人が適量飲む分には良いと思いますが、高脂血症の人は禁酒を心がけて下さい。
 
 
高脂血症の患者さんにとって外食は敵!
 現代の社会環境では、どうしても外食をする機会が多くなりがちですが、健康を考えるとあまりオススメできません。
 たまには外で食事を楽しみたいという気持ちも理解できます。ですから外食する時は、何をどれだけ食べるか何を残すかということがポイントとなります。
 
外食をとり入れる時のポイント
・外食のメニューのエネルギー量を覚えておく
・なるべく和食を選ぶようにする
・高エネルギーのメニューが多いので、腹7分目でやめる
・丼やラーメンはがまんしましよう
 
高脂血症の人の運動
 高脂血症の患者さんにとって食事療法とならんで重要なのは運動療法です。運動することで余分な脂肪を減らし、血液中のコレステロールや中性脂肪などをコントロールすることができます。 
 高脂血症だけでなく、生活習慣病全般が運動することで予防もできるので、食事療法と運動療法を実践すれば、効果が得られます。
  
患者さんのほとんどが「最近運動していない」 
 運動をしている人は、筋力、持久力、肺活量などが鍛えられており、普段から体力があるので病気になりにくく、病気になっても回復するのが早いといえます。又、体の中でエネルギーを消費する最大の組織といえる筋肉の量を増やすことで基礎代謝が高まり、太りにくい体質になります。生活習慣病の要因とされる肥満やストレスは運動を続けることで解消できるのです。  
 高脂血症の運動療法は「有酸素運動」が適しているといえます。  
 有酸素運動とは、酸素を十分にとり入れながら行う、ウォーキングや水泳などです。今までほとんど運動していない人がいきなり今日から運動と言って無理に体を動かしてしまうと、筋肉痛や関節を痛め、結局すぐにやめてしまうことになります。  
 そうならないために大切なのは、毎日続けることを目標とし、少しずつ体をやわらかくすることから始めます。準備運動(軽いストレッチ)をし、少し汗ばむ程度のウォーキングを20〜 30分といったところから始めましよう。(水分補給を忘れずに)通院している人などは運動するにあたり、かならずメディカルチェックを受けて下さい。体調が悪い日や、悪天候の場合は運動を休みます。
 
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