性同一性障害とは、心の性別と身体的な性別が一致していないために、苦悩する病的な状態です。自分自身が身体的、社会的にどちらの性別であるか認識していながら精神的には性別に違和感を抱き、または反対の性別に属していると感じ、それにより強い精神的な葛藤を覚え、精神の性別と実際の身体的な性別との間に生ずる適応の障害といえます。
 

治療
 治療は精神科的治療、内分泌的治療、外科的治療となり、精神科的治療は、精神科医やカウンセラーが性同一性障害である人の状態を診断し、その状態にあわせて悩みを解決する方向を見つけられるように手助けをすることです。
 
 内分泌的治療は、精神の性別と自体の性別の食い違いから生じる葛藤の強さに合わせて精神の性別に身体の性別をあわせるための治療で、例えば性ホルモン剤の投与などで外見の変化を促し、望みの性別で社会参加をしやすくすることです。さらに外科的治療では性別適合手術というものがありますが、特に慎重に検討されます。そこへ至るまでの流れはまず体の性別を認識する検査や複数の精神科医の診察により判断されます。そして、精神的サポートをうけながら実生活体験、周囲への告白を行います。それでもなお、自分の性別や肉体に関する違和感による苦しみが続く場合に医師や法曹関係者などによる専門家チームが適応判定をし、初めて手術が行われます。 乳房切除は18歳以上、性器手術は20歳以上です。 からだの形は望む性別に近づけることは可能ですが、生殖能力は失われます。月経、妊娠、射精といった別の性の機能まで得ることはできません。また、性行為が可能になることもありますが、性感が損なれれることもあります。
 2003年以降は性別適合手術後に一定の条件を満たした場合には、家庭裁判所の審判を経ることによって、法令上の性別の取り扱いを性自認(こころの性別)に合致するように 、戸籍上の性別記載を変更できるようになりました。
 
 
トップページへ