現在、日本の高血圧疾患者は三千万人以上といわれており、日本人の4人に1人の割合です。
高血圧になる主な要因は「加齢」「遺伝的な体質」「生活習慣」ですが、最も大きな原因として「加齢」があげられます。
日本人の場合、高齢になると8割〜9割の人が高血圧になるといわれています。
高血圧が続くと、血管が徐々に傷つき、血管の壁が厚くなったり硬くなったりします。動脈硬化といわれるものです。
動脈硬化は、血管の内膜の中に悪玉コレステロールをはじめとする過剰な脂質がこびり付き、それが進むと血液の通り道が狭くなり、血流が悪くなります。そうなると心臓は、より高い圧力をかけて血液を送り出さなくてはならず、心臓の負担は増します。
高血圧と動脈硬化は互いに促進し合い、合併症を起こします。
脳卒中・心疾患・腎不全など、命に関わるものも少なくありません。
高血圧と診断されたらすぐに生活習慣を見直し、治療が必要となれば医師の指示に従い、血圧を正常値にもっていくよう努めなければなりません。
高血圧と聞くと「減塩食」「適度な運動」などと言われます。もちろん、この2つは高血圧の治療の上で基本になります。
ここでは、その他に高血圧の人にオススメの生活術をみていきましょう。
普段、ストレスを強く感じていると、呼吸が浅くなり血圧が上昇します。
血圧が高い人は、腹式呼吸を習慣づけて朝晩、深呼吸をしてみて下さい。
布団の上で全身の力を抜き、仰向けになります。次にお腹の上に両手を当てて、ゆっくりと息を吸ってお腹が膨らんだら今度はゆっくりと息を吐き出します。これを3分〜5分間繰り返します。
朝、いきなり起き上がらず、手足を伸ばして体を目覚めさせ、ゆっくり深呼吸をしてから起き上がるようにしましょう。
高齢者に多いのですが、軽い掛け布団を嫌がって重い布団で寝ていると、体を圧迫して血圧を上昇させ心臓に負担をかけます。また、枕が高すぎると首の曲がりが大きくなり、脳への血液循環が悪くなるので、首のカーブに合った枕を選ぶようにしましょう。
血圧が高いと脳梗塞や脳出血の危険が高まります。
睡眠中、私たちの体から汗や呼吸で水分が失われます。血液中の水分も減るので、通常よりも流れにくくなってしまいます。脳梗塞や脳出血の発作が明け方に多発するのは、このためだと考えられています。
就寝前と朝にコップ1杯の水を飲み、日中も水分不足にならないようにしましょう。
Q,血圧の正常値をみると、上の血圧が130mmHg未満、下の血圧が85mmHg未満とありますが、私は大体上が135mmHg、下が87mmHgくらいあります。以前病院で高血圧気味と言われましたが、薬を飲まなくても良いのでしょうか?(A子さん57歳)
A.高血圧治療のガイドラインでは、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。A子さんの値は正常高値といって高血圧予備軍とされており、これから年を重ねるごとに高くなる可能性もあります。 降圧薬を飲むほどでもないのですが、生活習慣を見直し、改善することが必要と思われます。減塩や適度な運動を心がけて下さい。 毎日、血圧を測定し、これ以上高くなるようなら受診しましょう。
Q.血圧の測定値が、毎回違うので判断しにくいのですが、どれが本当の値なのでしょうか?(B男さん67歳)
A.血圧は変動するので毎回異なるのは自然なのですが、あまりにも大幅に違うときは、次のようなことが考えられます。
血圧を測る時は、起床後1時間以内、排尿後、食事前などに測り、測る前30分以内のカフェインやタバコを禁止し、少なくとも2〜3分間は安静にします。
測定器の前に座ってカフ(測定する上腕の部分)の位置を心臓の高さと同じにします。1日に1〜2回測定し、一週間のデータをつけましょう。 測定条件を一定にすることが大切です。
Q.「降圧薬を2種類服用していますが、飲み始めてから血圧は正常値に戻っています。先日、病院に行った時にも降圧薬を処方されましたが、いつ頃まで薬を飲まなければいけないのか不安になります。(C子さん60歳)
A.薬を服用している間に、生活習慣の改善が必要です。今血圧が下がっているのは薬が効いているから血圧が下がっているだけの場合があります。生活習慣が以前と変わっていないのであれば、薬の服用をやめると血圧は高くなってしまいます。不安があれば、かかりつけの医師に相談して下さい。
Q.高血圧で降圧薬を飲んでいます。飲みはじめてからそろそろ一年になりますが少しの間、薬を飲むのをやめていたら、また血圧が高くなりました。 高血圧は治らないのでしょうか?(D夫さん73歳)
A.高血圧の治療は基本的に一生続けますが、薬を途中でやめてしまうと、脳卒中や心疾患などの命に関わる病気になってしまうことが多いのです。 薬を途中でやめるのはそういった危険を回避できなくなると考えて下さい。 降圧薬を服用しているからこそ、合併症を防ぐことに役立っていることを理解し、医師の指示に従うことをオススメします。