ビタミン講座 〜ビタミンB群〜

 私たちは毎日の食事から栄養素を摂取し、健康を維持しています。体を動かすためには、たんばく質・糖質・脂質の三大栄養素がエネルギーとなりますが、この三大栄養素が十分に力を発揮するためには、ビタミンやミネラルが欠かせません。とても重要な栄養素といっていいのがビタミンなのです。ビタミンは13種類あります。水に溶けやすい水溶性ビタミンと油に溶けやすい脂溶性ビタミンとに分けられ、水溶性ビタミンにはビタミンB群(Bl、 B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)、ビタミンCがあり、水に溶けやすく熱に弱いため水に浸して長時間置いたり加熱をしすぎるのは避ける必要があります。  

 脂溶性ビタミンlこはビタミンA、D、E、Kがあり、油と−緒に摂ることで 体内に吸収されやすくなる特徴をもっています。

 水溶性ビタミンは過剰に摂取してしまっても体外に排出されますが、脂溶性ビタミンは過剰に摂取すると体内に蓄積され、吐き気や頭痛などの副作用をおこすことがあります。通常の食事から摂取する分には問題はないのですが、サプリメントなどのビタミン剤を利用する場合は注意しましょう。

脳や神経の働きを正常に保つ ビタミンB1

 日本人の主食のご飯やパン、砂糖などの糖質が分解されエネルギーとなる過程で必要となるのがビタミンB1です。

 ビタミンB1が不足すると、いくら糖質をたくさん摂取したところで、エネルギーに変えることができず、乳酸などの疲労物質がたまり、疲れやすくなります。私たちの脳や神経機能を正常に保つためにも十分なエネルギーが必要です。エネルギーが不足すると精神が不安定になり、イライラしたり集中力が失われたりといった症状があらわれます。肝臓や腎臓の機能も低下し、胃腸障害などの原因にもなります。余分に摂取したビタミンB1は尿と一緒に排出されるので過剰摂取による副作用はありません。

ビタミンB1を多く含む食品

豚肉・うなぎ・たらこ・ナッツ類  

※ビタミンB1を効率的に摂取するには煮たり蒸したりする調理法が損失率が少なくすみます。

 

 

糖質、脂質の代謝を促進し、成長を助けるビタミンB2

 成長に必須であり、エネルギーを生みだす脂質の代謝に使われることが多いので、脂質をとる量が多くなるほど不足しがちになります。

  動脈硬化症や老化の原因となる有害物質の過酸化脂質が体内でできるのを防ぐのがビタミンB2です。 ビタミンB2の働きは生活習慣病を予防するのに欠かせない栄養素です。不足すると皮膚や粘膜が敏感になり、目の充血、肌あれ、髪の毛の悩み、脂漏性皮膚炎、口内炎、口角炎などをおこします。過剰摂取の心配はまずありませんが、相当な量をとった場合、ごくまれにかゆみやしびれ、嘔吐などの症状がでる人もいます。

ビタミンB2を多く含む食品

豚レバー・鶏レバー・牛レバー・うなぎ・牛乳

 

 

タンパク質の代謝に欠かせないビタミンB6

 食事からとるタンパク質は、いったんアミノ酸に分解されて、人体に必要なかたちで再合成されます。そこで一部のアミノ酸を体内で作るのに必要なのがビタミンB6で、タンパク質を多量に摂取する人ほどビタミンB6の必要量が増えることになります。ビタミンB6は、皮膚、髪の毛、歯を健康にし、成長を促進する作用があり、免疫機能を維持するのに必須です。不足すると、皮膚炎、口内炎、湿疹や蕁麻疹などの症状があらわれ、アレルギー症状が出やすくなります。また、月経前後にあらわれるイライラや気分の落ち込みなどの女性特有の症状はホルモンバランスの崩れ。ビタミンB6はそんな症状も緩和します。

ビタミンB6を多く含む食品

かつお・まぐろ・牛レバー・さんま・バナナ

 

 

赤血球の生成を助け、悪性貧血を予防するビタミンB12

 ビタミンB12は葉酸と協力して赤血球が正常に分化するのを助ける作用を担っています。これらの栄養素か不足すると造血がうまくいかず、異常な大きさの赤血球ができたり、赤血球の数が減少し、悪性貧血となります。治りにくいことから悪性と呼ばれていますが、現在はビタミンB12と葉酸を補給することで改善されるので、悪性の病気というわけではありません。ビタミンB12か不足して貧血が起こると、全身の倦怠感やめまい、動悸・息切れがおき、さらに神経が過敏になったりします。胃の切除手術をした人はビタミンB12を吸収させる胃からの内分子の分泌が欠乏するので薬剤補給が必要となります。

ビタミンB12を多く含む食品

牛レバー・鶏レバー・カキ・さんま・あさり・にしん

 

 

造血に働き、細胞の新生に欠かせない葉酸

 葉酸は細胞分裂に重要な役割を果たします。寿命約4ケ月の赤血球が新しく作られる際にビタミンB12とともに働いて造血を助けます。

 体の中で赤血球が新しく作られるときに葉酸が不足すると赤血球が正常に作られず、貧血の原因になります。

 また、免疫力が低下し、病気になりやすくなります。葉酸は妊娠中や授乳中に不足すると、胎児や乳児の発育不全を引き起こすことがあります。

 葉酸は野菜に多く含まれていますが、葉酸を働かすためには動物性の食品に多く含まれるビタミンB12と一緒に摂ること。バランスのとれた食事をすることが大切です。

葉酸を多く含む食品

菜の花・枝豆・ほうれん草・からし菜・レバー類

 

 

糖質・脂質・タンパク質などの代謝に必要なナイアシン

 ナイアシンはエネルギーの源である糖質や脂質、タンパク質などの代謝の補酵素として働きます。血行をよくすることから、冷え性や頭痛を改善する作用があります。また、アルコールや二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解にも欠かせない栄養素で、アルコールの摂取量が多くなるほどナイアシンが消費されるため、お酒を飲む人は不足しないようにしましょう。不足すると食欲低下、口角炎、皮膚炎、ノイローゼなどの症状が出ます。

ナイアシンを多く含む食品

たらこ・かつお・レバー類・びんながまぐろ・落花生

 

 

免疫力を強化し、抵抗力をつけるパントテン酸

 パントテン酸はエネルギーを生み出し、ストレスへの抵抗力をつけるのに欠かせない成分です。  

 私たちの体は、ストレスが起きると副腎皮質ホルモンが分泌され、ストレスに対応しようとします。パントテン酸は副腎の働きを強化して副腎皮質ホルモンの産出を促進することでストレスに対応するための体制を整えます。 ストレスが多い、疲れやすい、風邪をひきやすいなどの症状がある人はパントテン酸が不足しないようにしましょう。パントテン酸はあらゆる自然の食物の中に含まれている栄養素で、腸内細菌の働きによっても合成されるので、欠乏することはありませんが、アルコールやカフェインを多く摂る人は消耗されやすいので毎日補給しましよう。

パントテン酸を多く含む食品

レバー類・鶏もも肉・にじます・子持ちがれい・納豆

 

 

皮膚炎の予防や髪の毛を健康にするビオチン

 皮膚炎を予防し、抜け毛や白髪、脱毛などを予防するビタミンといわれています。ビオチンは他のビタミンと同様、糖質や脂質、タンパク質の代謝を助け、体内でアミノ酸からブドウ糖を作るのに必要な栄養素です。ビオチンが不足すると疲れやすくなり、無気力になります。 湿疹や脂病性皮膚炎、食欲不振、吐き気、嘔吐などの症状が出る場合もあります。脂肪の代謝が悪化することもあるので、肥満の原因になったりもします。

ビオチンを多く含む食品

レバー類・いわし・落花生・卵・にしん

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