乳幼児の「熱」

 乳幼児はよく「熱」を出します。高熱の場合はついあわててしまいがちですが、落ち着いて対処することが大切です。

 赤ちゃんの発熱で注意が必要なのは生後3ケ月末満の場合です。

 生後3ケ月未満の場合はすぐに病院へ連れていきましょう。 生後3ケ月以上でも、呼吸困難におちいっている場合や顔色が悪くぐったりしていたり、泣き方がおかしい場合、けいれんを起こしている場合は夜間でもすぐに病院へ連れていきます。

 赤ちゃんがはじめて熱を出す病気として最も多いのは「突発性発疹」で、生後6ケ月から1歳までの赤ちゃんがかかりやすく、高熱が下がった後に発疹が出るのが特徴です。

 水分補給を十分に行い、赤ちゃんの機嫌や食欲などの症状をよく観察することが大切です。

熱が出た時のケア

(1)水分補給

熱で失われるからだの水分を補給しなければなりません。脱水症状を起こすと危険なので、ベビー用のイオン飲料や湯ざましを飲ませます。

(2)こまめに下着をとりかえる

発熱時は大量の汗をかくのでタオルで汗を拭き、下着を取り替えてあげましょう。汗をかきっぱなしにしていると、あせもやおむつかぶれの原因になります。

(3)食事は欲しがる分だけでOK 

母乳やミルクは赤ちゃんが欲しがる分だけあげる。離乳食や食事は1回分の量を少なめにしてこまめに食べさせましょう。食欲の無い場合は無理に食べさせず、水分補給だけはきっちりと。

(4)むやみやたらに解熱剤を使わない 

高熱で母乳やミルクが飲めない時や眠れない時は解熱剤を使いますが、むやみに使うのはやめましょう。医師の指示に従い、用量・用法を守りましょう。

 

熱が出る主な病気

発疹が出ていない場合

かぜ症候群

 熱がある場合の多くはかぜ症候群です。ウイルス感染が原因で、発熱、咳、くしゃみ、鼻水、食欲不振などの症状があります。

インフルエンザ

 インフルエンザウイルスに感染して起こります。症状はかぜ症候群と似ていて高熱がでます。

おたふくかぜ

 耳の下から頬、あごのあたりが腫れ、痛みを伴います。

扁桃炎

 のどの奥にある扇桃が細菌やウイルスに感染し、炎症が起こります。のどの痛みがひどく、高熱がでることもあります。

溶連菌感染症

 溶血性連鎖球菌が感染して起こります。急に高熱がでて、扁桃腺が腫れたり、舌が赤くくなってブツブツができたりします。

プール熱

 アデノウイルスの感染で起こり、急に寒気がして高熱が出ます。喉の痛みや首のリンパ節が痛みます。また、結膜炎で目が赤くなり、目やになどの症状もでます。学校のプールでの集団発生が目立ちます。

尿路感染症

 男の子に多い病気で、発熱、嘔吐、食欲不振、下痢などの症状があり、尿がにごります。

髄膜炎

 脳や脊髄を覆う髄膜がウイルスや細菌に感染して起こります。発熱、嘔吐、頭痛などの症状や首から後頭部が硬くなるのが特徴です。

中耳炎

 かぜをひいた時に、細菌やウイルスが中耳に入り、炎症を起こします。熱が出て耳を触ると痛がります。

 

発疹が出ている場合

水ぼうそう

 水痘、帯状疱疹ウイルスの感染で起こります。急に38度〜39度の熱が出て、赤い小豆疹の水疱が全身にまばらに現れ、小豆大の水疱となってやがて膿疱になります。2〜3日で膿疱はかわいてしぼみ、かさぶたになります。

はしか(麻疹)

 麻疹ウイルスの感染で、発熱、咳、鼻水、目やになどの症状が出て、口の中をみると頬の内側にコプリック班という白い斑点が見られます。一度熱が下がり、再び上昇し始め、全身に発疹がでます。

風疹(3日はしか)

 風疹ウイルスの感染で起こります。発熱と同時に赤く小さな発疹が全身に出て、耳の後ろのリンパ節が腫れます。風疹は年少では軽く、年長になるほど重い傾向があります。

突発性発疹

 急に高熱が出て、昼夜を通して3日前後続きます。時に、嘔吐や熱性けいれんを起こすこともあります。熱が下がるのとほぼ同時期に顔に、胸腹部から全身に広がる発疹が現れます。

ヘルパンギーナ

 コクサッキーウイルスA群の感染でおこる代表的な夏かぜの一つです。急に高熱が出て、嘔吐や食欲不振、のどの痛みなどの症状があります。のどに小水疱状の口内疹ができるので水が飲みにくくなります。脱水症状にならないように注意が必要です。

手足口病

 コクサツキーウイルスA群の16型、エンテロウイルスの71型などの腸内ウイルスの感染により起こります。手、足、口に水疱性の発疹が現れます。周囲が赤く緑取られた米粒大から小豆大の楕円形の水ぶくれがまばらにできます。気づかない程度の微熱の場合もありますが、約20%くらいの子どもは38度前後の発熱を認めます。

川崎病

 原因は不明ですが、全身の血管に炎症性の変化が見られるのが特徴で、高熱が5日以上続き、熱が出て2〜3日すると全身に発疹がでて、日が充血し、手足がしもやけのように赤く腫れます。また、くちびるも腫れ、舌がイチゴのように赤くブツブツになります。

 

 乳幼児は体の不調をうまく伝えることができません。毎日の健康観察はとても重要になります。いつもと違う異変を早く気づいてあげれば、すばやく対処することができます。日頃の状態を把握できていると、医師に的確な情報を伝えることができ、診察もスムーズになります。

 

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