気になる尿失禁

 尿漏れとは、排尿の意思がないのにトイレ以外の場所で尿が出てしまうことをいい、中高年の女性に多く見られる症状です。尿漏れにはお腹に力が加わったときに漏れてしまう 「腹圧性尿失禁」と、突然尿意が起こって漏れてしまう「切迫性尿失禁」と両者を併せ持つ「混合性尿失禁」があります。  

 尿漏れで悩んでいる人は意外に多く、日常生活に支障をきたしたり、外出するのが億劫になり、家に閉じこもってしまうこともあります。恥ずかしいという理由でなかなか医療機関を受診することをしないでいる人がほとんどですが、尿漏れは様々な方法で改善することができるので、一人で悩んでいないで受診し、医師に相談して下さい。

腹圧性尿失禁

 くしゃみや咳をした時や、重い荷物を持ち上げたときなど、お腹に力が加わったときに尿が漏れます。女性の場合、骨盤内に、膀胱、尿道、子宮、腸などの臓器があり、骨盤の底の部分にはいくつもの筋肉や靭帯、筋膜などの組織があります。これらが骨盤内の臓器を支えるようにあり、腹圧がかかっても尿が漏れないようになっています。

 しかし、骨盤底が緩むと、膀胱や尿道はお尻のほうへ下がり気味になります。その結果、尿道の締りが悪くなり、尿が漏れやすくなるのです。骨盤底筋群は、お産や肥満によって、また加齢で緩む傾向があります。

 

骨盤底筋体操で改善する

 初期の腹圧性尿失禁で絶大な効果が期待できます。早い人では1ケ月くらいで、遅い人でも3ケ月くらいで効果が出てきます。骨盤底筋肉を体操で強化しましょう。

体操の方法

 余分な力を抜き、膣から肛門付近を締め、5秒間くらい締めたら次は緩めます。これを5分〜10分くらい続けます。いすに座りながらでも、立って家事をしているときでもできますので、毎日続けましょう。

 

切迫性尿失禁

 切迫性尿失禁とは、「突然」我慢できないほどの強い尿意が起こり、その高まりが急なためにトイレに間に合わず尿が出てしまいます。尿の量が腹圧性尿失禁より多く、寒さや水などの刺激、排尿に関連した動作などがきっかけになることが多いのが特徴です。男女を問わず高齢者に多く見られます。  

 原因として考えられるのは、神経障害によるものや高齢になるにつれて尿をコントロールするのがうまくいかないことによるものだといわれています。神経障害は脳や脊髄などの神経回路がダメージを受けると、膀胱が脳の指示通りに動かなくなります。例えば脳卒中や痴呆症などの脳の病気、脊髄を痛める病気などが原因で尿失禁が起こる場合が見られます。

 

行動療法

 体が冷えると切迫性尿失禁が起こりやすくなるので暖かい下着をつけたり、靴下を履くなどして、下半身を冷やさないようにします。水分の取り過ぎも尿漏れにつながる人もいるので注意します。成人の場合1日に1500〜2000mlが水分摂取の目安です。尿漏れを心配しすぎるあまり、水分を極端に減らす人がいますが、それは良くありません。水分摂取を適量に調節して尿量が適切な範囲に収まるようにします。

 尿漏れを経験すると早め早めにトイレに行く習慣が付いてしまいます。このような習慣は、本来の膀胱に尿をためておく機能に悪影響を及ぼす恐れがあると考えられています。尿意切迫感が起こっても実際にはそれほど尿が溜まっていないことを理解し、排尿の間隔をあけ、15分、20分と徐々に我慢する時間をのばしていく訓練をすると良いでしょう。並行して骨盤底筋体操も行うこともお勧めします。

 

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