広報誌 健康倶楽部/2010年4月号

成人女性の病気「子宮筋腫」

 子宮筋腫は、成人女性の4人に1人はあるといわれるくらい多く、症状が現れるのは30代から40代ですが、20代からもっている人もいます。  

 子宮筋腫は腫瘍の一種で、子宮の筋肉の層から発生する良性の腫瘍です。この腫瘍は1個から多いときは20個近くになることもあり、大きさもまちまちです。 子宮筋腫は、子宮壁内に発生し、その後の発育の方向によって、次の三つの種類に大別されます。

奨膜下筋腫

奨膜下筋腫

 子宮の外側に突き出すようにでき、体外から手を触れてわかるまで無症状のこともあります。多くの場合は不妊にはなりませんが、筋腫が卵管を圧迫すると、不妊が起こることもあります。妊娠した場合、筋腫が大きくなれば順調に出産出来ます。

筋層内筋腫

筋層内筋腫

 子宮の筋肉の内側にできるので、内診で触れて発見されやすい筋腫です。  不妊の原因になることがあります。妊娠したら筋腫が大きくなることもあり、流産や早産の原因になることもあります。

筋層内筋腫

粘膜下筋腫

 子宮の内側の粘膜の下に突き出すようにでき、発育していくので、子宮全体が大きくなります。小さなものでも過多月経や不正出血を起こし、大きくなると激しい痛みや貧血もあります。  有茎のものが発育して子宮□の外へ出てしまうときなどは筋腫分娩といい、大出血を起こすことがあります。不妊の原因になることがあり、受精卵が着床しにくく、着床しても流産しやすくなります。

<子宮筋腫の主な症状>

過多月経、不正性器出血、貧血、下腹部痛、下腹部の不快感、腰痛、月経痛、不妊、流産、腹部がふくれる…

などの症状があります。

また、生理の期間が長くなったり、レバーのような血の塊が出たり、頻尿や排便痛が起こることもあります。

 

これらの症状があるときは婦人科を受診しましょう。子宮筋腫は良性腫癌ですが、まれに悪性の腫癌(肉種)へ移行することがあります。しかし、この頻度は子宮がんの発生よりはるかに少ないものです。ただ、筋腫のある子宮にがんが合併して発生する場合もあるので、子宮がん検診など、定期的に検査をすることが大切です。

〔治療法〕

 筋腫が小さく症状も軽く、日常生活に支障がないときは様子を見て、3か月に一度くらいは受診したほうが良いでしょう。筋腫は放っておけば、大きくなることはあっても、小さくなったり消えてしまうことは更年期以降でない限りありません。基本的には、筋腫が新生児の頭の大きさよりも大きくなった時や、不妊や流産の原因になるときや、過多月経・貧血などで日常生活に支障がある時などは手術を行います。

 手術は子宮全体を摘出する場合と筋腫の部分だけを切り取る場合があり、筋腫の数や大きさ、妊娠を希望するかなどで手術の方法も変わります。

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