広報誌 健康倶楽部/2010年8月号

油断大敵隠れ肥満

 脂肪が内臓を中心に蓄積するタイプを「内臓脂肪型肥満」といい、主に内臓周辺に脂肪がつくため、腹部がぽってり出ています。−見スリムに見えてもお腹だけが出ているタイプで、男女を問わず幅広い世代に見られます。

 この内臓脂肪型肥満は痛みや不快症状がなく、糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病を引き起こす可能性が高くなります。

 

 食事で取り入れたエネルギーが消費するエネルギーより多すぎると余分なエネルギーが中性脂肪となって体内に蓄積されて肥満となります。本来、中性脂肪は身体にとって必要不可欠な脂質で、たんばく質や糖質よりも熱効率がよく、体内で燃焼すると1gあたり約9キロカロリーものエネルギーにかわります。また、悪玉コレステロールを除去する善玉コレステロールを作り出す働きがあります。  

 しかし、中性脂肪は増えすぎると恐ろしい病気をもたらすのです。増えすぎた中性脂肪は血管の内側に沈着し、血管を傷つけ動脈硬化を引き起こします。

 動脈硬化は心臓病、脳血管障害、糖尿病、高血圧、腎臓病など恐ろしい生活習慣病の引き金になります。

 

 

生活習慣の改善ポイント

1日の生活習慣を改めるだけで内臓脂肪はかなり燃焼されます。

 

1.朝食を抜かない。時間に余裕をもって朝食をとるようにしましょう。

2.歩くことを習慣づける。エレベ−ターなどを使わず階段を使う。

3.甘いお菓子や缶コーヒーなど 砂糖の多く入ったものを控える。

4.揚げ物や油を使った料理を控える。

5.アルコールは適量を守って。

6.禁煙

温野菜を食べて代謝を高め、内臓脂肪を減らす

 旬の野菜を食べることは、美容にも健康にも良いと言われていま す。特に、温野菜でとることによって体があたたまり、代謝が活発になります。内臓脂肪が燃焼されやすくなるのです。

 スープ仕立てにしたり、野菜を蒸して食べるのがオススメ。野菜に含まれるビタミンがこわれにくく、たくさん食べられます。色とりどりの野菜を毎日とりましょう。

L−カルニチンを上手にとり、脂肪を燃やす

 最近注目されているL−カルニチンという成分は、体内の脂肪を効率良く燃やすことができます。カルニチンは人の肝臓の中で合成 されるアミノ酸です。特に筋肉中に多く存在し、心臓と骨格の脂肪の代謝に重要な調節作用があります。脂肪の代謝を刺激して、中性 脂肪と脂肪酸の燃焼を促進するため、最近ではダイエット用のサプリメントにも使用されています。牛肉、豚肉、羊肉、鯨肉の赤身の肉や、ぶり、かつお、さばなどにも含まれています。

内臓脂肪と関係の深い血液検査の基準値

中性脂肪…47〜149mg/dL

総コレステロール…130〜219mg/dL

HDLコレステロール 男性…37〜63mg/dL、女性…47〜69mg/dL

LDLコレステロール…70〜159mg/dL

 

肥満度を示すBMI値の算出方

BMI値=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

BMI<18.5 低体重(やせ)

18.5≦BMI<25 普通体重(正常)

25≦BMI 肥満

子どものメタボリックシンドローム

 脂肪の多い食事、不規則な生活、運動不足、おやつの食べ過ぎなどが原因で肥満している子どもが増えています。子どもの肥満の約70%は成人肥満に移行するといわれています。小児期からでも糖尿病や高脂血症、高血圧などの生活習慣病を合併する可能性もあります。子どもが肥満している場合は食生活を見直し、運動をさせる必要があります。

 無理なダイエットを強制するのではなく、栄養バランスの良い食事をさせ親子で楽しみながら体を動かすことを日常的に行うなど生活習慣を改善していきましょう。

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