広報誌 健康倶楽部/2010年10月号

〜眼精疲労〜パソコン作業による疲れ目

 眼精疲労は多くの人が感じるいわゆる「疲れ目」と呼ばれるものです。眼精疲労が引き起こされるしくみは、大きく二つのタイプに分けられます。ひとつは、「筋肉疲労タイプ」、もうひとつは最近特に増加している「ドライアイタイプ」です。

眼精疲労タイプ

 眼精疲労タイプは、物を見るときに、目の中の「水晶体」というカメラのレンズにあたる部分が厚みを増減させてピントを合わせているのですが、ピントを合わせる機能をコントロールしている「毛様体筋」と呼ばれる部分が疲労することで起こります。

 パソコンや携帯電話の画面などを長時間見続けたりすることで、毛様体筋がこり固まって、その結果、目が重く感じたり、視力が低下したり、日の奥が痛んだりします。

 また、40歳を過ぎた頃から始まる老眼は、水晶体の弾力性が低下して、調節能力に負担がかかるため、近くの物が見えにくくなるもので、老眼鏡をかけずに無理やり近くにピントを合わせようとすると、筋肉疲労をおこし、疲れ目になります。そのままにしておくと、疲れ目の症状が重くなり、頭痛や肩こりを伴うようになります。

ドライアイタイプ

 ドライアイタイプは、パソコンや携帯電話の画面を凝視していると、まばたきの回数が減り、涙が十分に行き渡らなくなってしまいます。そうなると眼の表面が乾燥して、角膜が傷つきやすくなります。角膜が傷つくと涙の蒸発量がいっそう増え、さらに目が乾燥します。ドライアイはどの年代の人でもパソコンや丁∨ゲーム、携帯メールなどの目を酷使するようなことをする人に急増しています。目がショボショボしたり、目が乾く、逆に涙が止まらないなどの症状を感じるときは、ドライアイの可能性が高いです。

 

パソコンの使用が原因の疲れ目

 パソコンの作業は目を酷使します。眼科を訪れる患者さんの多くは長時間パソコンに向かう生活をしているようです。パソコン作業中は集中してモニタを見ているので、瞬きが減るのです。瞬きをせず、目を開けている時間が長いと、涙が蒸発してしまいます。ドライアイになりやすく、目の奥が重い、光がまぶしい、肩が凝る、頭痛などの症状も起きてきます。


パソコン作業をする上で、なるべく目が疲れないようにするには…

@パソコンの連続作業を1時間以内にする

 パソコン作業を1時間以内にして、15分程度の目を休ませる休憩をとるようにしましょう。

Aモニタの明るさと室内の明るさを合わせる

暗い部屋でパソコン作業をすると、モニタが明るすぎて目の筋肉が収縮し、筋肉疲労が起きます。部屋の明るさを調節して目の負担を減らしましょう。

Bパソコンのモニタに出る文字を適切な大きさに合わせる

小さい文字は筋肉疲労を招くので、パソコンに向かって正しい姿勢をし、読みやすいと感じる大きさや、書体を選ぶことで疲れ目を軽減できます。

Cパソコン作業に適した眼鏡を使用する

普段使用している眼鏡が必ずしもパソコン作業に向いているとは言えません。レンズに少しカラー入ったもので、モニタが見やすいレンズなどを選ぶのも良いでしよう。

市販の点眼薬を使う時の注意

 さまざまな症状に対応した点眼薬が市販されていますが、使用上の注意や保存方法を守って正しく使用することが大切です。

※点眼薬は必ず自分だけが使用するものにしましよう。他の人が使用したものを使わないこと。

※点眼薬を点すとき、容器がまぶたやまつげに触れないように差しましょう。細菌などが逆流して容器の中の点眼液が汚染されないようにするためです。

※ドライアイの人は、防腐剤がはいっていないものを選ぶほうが良い。細菌を増殖させないために防腐剤入りの点眼薬が市販のものには多くあります。ドライアイの人は目の細胞の表面がむき出しの状態になっているので防腐剤がはいっていないものを選ぶほうが良いでしょう。

「疲れ目」と決め付ける前に眼科を検診しましょう

 40代になったら自覚症状がない場合でも眼科で一度診察してもらうようにしましょう。加齢にともない緑内障や加齢黄斑変性症などの眼病が増えていきます。疲れ目や老眼のせいと決めつけずに検査をしてもらいましょう。

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