広報誌 健康倶楽部/2011年1月号

かぜをひいたら飲む薬

 かぜはとてもありふれた病気で、誰もがかぜ薬を使用したことがあると思います。しかし、かぜ薬も副作用があるので、用法・用量を守ることが大切です。長引くかぜは医療機関を受診して下さい。

 かぜの原因はウイルスによるものが全体の80%〜90%を占め、残りを連鎖球菌などの細菌やマイコプラズマ、クラミジアが占めています。種類によって感染部位や炎症部位が異なるので、かぜはさまざまな症状がみられます。

 一般的には1〜2週間で軽快しますが、呼吸器やその他の基礎疾患をもっている人では、それが悪化する場合があるので、注意が必要です。

 かぜ症候群は普通感冒(かぜ)とインフルエンザに大きくわけられます。普通感冒は比較的軽症で、くしゃみ、鼻水、鼻づまりを主症状とし、ときにのどの痛みをともないますが、ふつう高熱はなく、頭痛、倦怠感、寒気、食欲不振などの全身症状も軽いといえます。

 一方、インフルエンザは流行性に発症し、全身症状が強く現れ、重症化することも少なくありません。特に持病のある人や高齢者、子どもは注意が必要です。

 かぜをひいたら、解熱鎮痛薬や抗ヒスタミン薬などを使用しますが、かぜは自然治癒する病気で、かぜの症状はウイルスを排除するための防衛反応です。ウイルスを撃退するために熱を出したり、ウイルスと闘って壊れた白血球などを痰として体の外へ排出するためにせきが出たりします。このような症状をむやみに薬で抑えてしまうと、病気の治癒を遅らせる場合もあります。

 ただし、薬を使用したほうが良い場合もあります。高熱が続いたり、咳がひどいと体力を消耗しきってしまいます。高齢者や小さな子どもは脱水症状も起こしやすくなりますので、体力を消耗するような症状があれば、薬を使用して症状を軽くすることが望ましいでしょう。

 

  作用・効果 副作用 一般名(有効成分)の例
解熱鎮痛薬 熱を下げ、痛みを抑える作用があり、発熱、頭痛、のどの痛み、関節痛、筋肉痛などを緩和する 胸やけ、胃痛などの胃腸障害、アスピリンぜんそく、ピリン系ではピリン疹(特有の皮疹) アセトアミノフェン
アスピリン
イブプロフェン
メフェナム酸
イソプロピルアンチピリン
抗ヒスタミン薬 くしゃみ、鼻水、鼻づまりを抑える 眠気・口の渇き、緑内障、前立腺肥大症の増悪 ジフェンヒドラミン塩酸塩
(塩酸ジフェンヒドラミン)
クロルフェニラミンマレイン酸塩
(マレイン酸クロルフェニラミン)
クレマスチンフマル酸塩
(フマル酸クレマスチン)
鎮咳薬 せき中枢の興奮を抑えてせきを鎮める 便秘などの胃腸障害 コデインリン酸塩水和物
(リン酸ジヒドロコデイン)
デキストロメトルファン臭化水素
酸塩水和物
(臭化水素酸デキストロメトルファン)
去痰薬 痰を出しやすくする 食欲不振・吐き気などの胃腸障害 ブロムヘキシン塩酸塩
(塩酸ブロムヘキシン)
アンブロキソール塩酸塩
(塩酸アンブロキソール)

※うがい薬…のどの痛みがあるときなどはポピドンヨードなどのうがい薬でうがいをします。

 

 かぜの治療で使う薬の副作用で頻度が高いのは、胃腸症状、眠気、口の乾きなどです。アレルギーのある人や高血圧や糖尿病などの持病で薬を飲んでいる人は、医師に必ず伝えて下さい。

 また、妊娠している人や胃腸が弱い人、かぜ薬を使って具合が悪くなったことのある人も医師に伝えて下さい。

市販のかぜ薬を安全に使うために

 市販のかぜ薬は、解熱鎮痛薬、抗ヒスタミン剤、鎮咳薬、去痰薬、カフェイン、ビタミン剤などを配合した総合感冒薬が中心になります。

 重い副作用はめったにありませんが、持病のある人、他の薬を服用中の人、妊娠している人などは薬剤師またはかかりつけの医師に相談して下さい。

 薬を2〜3日使用しても症状が改善しない、あるいは悪化している場合などは受診して下さい。 

 

かぜの漢方療法

【葛根湯】…比較的体力のある人に用います。かぜの急性期の症状で頭痛、扁桃炎、咽頭炎などに有効です。

【桂枝湯】…体が弱い人に用います。頭痛、発熱、寒気など初期のかぜの症状に用いると有効です。

【小紫胡湯】…かぜ、気管支炎、気管支ぜんそくなどに有効です。

 

 漢方薬がはじめての方は漢方専門薬局を選ぶとよいでしょう。専門の知識を持った薬剤師やカウンセラーが常駐しているので、自分の体質や症状に合った漢方薬をさがしてくれます。

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