広報誌 健康倶楽部/2011年2月号

予防接種のあれこれ

<子供の予防接種の受け方>

 予防接種には重要な意味があります。ひとつは、子ども自身を病気から守るため、もう一つは社会全体の病気の流行を防ぐためなのです。

  病気が流行すると抵抗力の低い子供は危険な目にあわせかねません。予防接種には「勧奨接種」と「任意接種」の2種類があり、勧奨接種は予防接種をしたほうが良いと国や自治体がすすめているものです。

 勧奨接種にはポリオ、三種混合(ジフテリア、百日ぜき、破傷風)、はしか、風疹、日本脳炎、BCG(結核)があり、決められた場所ですすめられている時期に接種すれば、公費負担があり、自己費用がかからない自治体がほとんどです。

 任意接種は受けるかどうかは親の判断に任されているもので、みずぼうそう、おたふくかぜ、インフルエンザなどで費用は個人負担となります。予防接種は、かつては法律で義務付けられていましたが、1995年の法改正で親の判断に任せられるようになったのです。

 責任は親にあるということです。ですから予防接種のメリットとデメリットをよく理解し判断しなければなりません。

 予防接種の対象になっている病気は、かかると死亡者が出たり、後遺症が残ったり、体力を消耗し、他の病気を起こす可能性も考えられます。

 赤ちゃんがかかると命に関わる百日ぜきや、大人になってかかると重症になるおたふくかぜやみずぼうそうなどは予防接種を受け、予防することが賢明といえます。基本的に予防接種は生後3ヶ月過ぎから受け始め、ほとんどが1歳までに受けておくことがすすめられています。

 生後3ヶ月までの赤ちゃんは、母親からもらった免疫に守られていますが、それを過ぎると、病気にかかる危険性が高まりますし、母親が持っていない免疫もあるので、子供の健康を守るには予防接種を受けることば望ましいといえます。

<予防接種を受けるときの注意>

 予防接種を受ける時期になると、ほとんどの自治体からお知らせがくると思います。その日程に合わせて予定をたてていきましょう。しかし、当日になって子供の体調が悪かったり、熱がある場合は見送り、体調が良くなったら個人的に病院で受けるようにします。(自費)

 予防接種を受けたあと30分ぐらいは医師の目の届くところで待機し、何も起こらなければ帰宅します。予防接種によっては発熱したり、接種した部分が腫れたりなどの副反応がひどい場合がありますが、かかりつけの医師に受診して適切な処置を受けて下さい。

 

 

 

 

 

<予防接種をする前に相談したほうがいい子供>

 次のような子どもは受ける前に医師に相談してください。

・未熟児で生まれ、その後の成長が良くない

・薬や卵、抗生物質などにアレルギーがある

・けいれんやひきつけを起こしたことがある

・持病があり、治療をうけている

・今までに接種して発熱、発疹などの症状がでたことがある

・免疫状態の異常を指摘されたことがある

 

 小さな子どもの健康を守ってあげれるのは親の役目です。集団接種を受け損ねたらかかりつけの医師に相談したり、受け忘れを防ぐには母子手帳などに記録し、管理してください。

<海外旅行に行くときの予防接種>

 子どもを海外旅行に連れて行くときは、予防接種を受けてから出かけたほうが良いでしょう。日本ではあまり聞かなくなったポリオやジフテリアも東欧などは年間約6000人が発症するなど、世界的には根絶したとはいえません。

 国によっては予防接種を受けないと入国できない国もありますし、予防接種の証明書がいらないにしても、自主的に受けておいたほうが良いものもあります。子どもをつれて海外へ行く場合は必要な予防接種について自治体に問い合わせるか、かかりつけの医師に相談すると良いでしょう。

 

 海外旅行で気をつけたい感染症

 海外旅行者の3割〜8割の人が下痢をするといわれており、コレラや赤痢など、細菌による下痢が問題になります。

 東南アジアなどでは異常気象の影響もあり、蚊が多く発生し、デング熱を発症する場合があります。

気をつけたい地域   注 意 点 予防接種
東南アジア
インド
アフリカ
欧米
飲食物 生の魚介類や不衛生な屋台料理などに注意
生水・ジュースなどの中の氷に注意
サラダやカットフルーツに注意
できるだけ加熱調理してあるものを食べる
A型肝炎
コレラ
東南アジア
アフリカ
南米
防虫スプレー、蚊取り線香
長袖、長ズボンの着用など、
蚊に刺されないように対策する
黄熱
日本脳炎
東南アジア
欧米
動物 野生の犬、ネコ、コウモリなどに近寄らない 狂犬病
世界各地 外傷 土壌に生息している破傷風菌が傷口から
体内に侵入するので注意
破傷風

 

 

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