広報誌 健康倶楽部/2011年2月号

高齢者の浴室内での事故

 外気温と湯の温度差に伴う血圧の激しい変動などがあると心筋梗塞などの危険な事故が起こりやすくなります。脱衣所や浴室の温度、湯の温度の管理に気をくばりましょう。高齢者の入浴タイムは、同居している人がいつも気にかけるようにしてあげて下さい。

 入浴時の事故は気温の低い時期に多く発生します。心筋梗塞、脳出血、脳梗塞などを引き起こし、意識障害や転倒といった事故がとても多いので注意が必要です。

 

 心筋梗塞、脳梗塞

血管が詰まったり、血流が不足することで心臓の壁の一部の細胞や脳細胞が死んでしまう病気で非常に死亡率が高く危険です。

 脳出血

脳の血管が破れて、脳の中に血液がたまり、脳の組織を圧迫し脳の障害を引き起こします。

 意識障害

入浴中に起こる意識障害とは、熱い湯に長湯をしてのぼせてしまうことです。意識が朦朧として、風呂でおぼれることもあるので特に注意が必要です。

 

 入浴時に注意するべきことに血圧の急激な変動や体温の上昇があります。外気温が低くなるにつれ、風呂の湯の温度を高くしがちです。入浴時に起こる心筋梗塞や脳梗塞などの事故は低い外気温と熱い湯という大きな温度差による血圧の変化が関係して起こると考えられます。 又、体温が上がると、血栓ができやすいということも要因の一つです。

<入浴時のひと工夫!!>

 脱衣所…寒い脱衣所で服を脱ぎ、肌を冷気にさらすと血管が収縮して血圧が上がるので、脱衣所が寒い場合は簡易的な暖房機器で温めておく。

 浴室内…風呂のふたを数分開けておいたり、シャワーの湯煙を利用し、浴室内をあらかじめ温めておく。

 湯…熱い湯に入ると熱さを感じて緊張し、血圧はさらに上昇します。ですからできるだけ39度〜40度のぬるめのお湯につかること。すると身体が温まって抹消血管が広がり、血圧は少し下がります。

 湯上り後…脱衣所で寒さを感じると血圧が少し上がります。湯上りは身体をよく拭き、すぐに衣類をつけましょう。

 ※血圧は温度差が大きいほど大きく変動するので熱いお湯に入るのは危険性が高くなります。

<高齢者が入浴するときの注意>

 1、朝風呂はやめる。一般に朝は心筋梗塞や脳梗塞などの心疾患や脳疾患が最も起こりやすい時間帯です。

 2、高齢になるほど熟めの湯を好む人が多いのですが、体温の急上昇は危険です。
   ぬるめのお湯で負担が少ない入浴をしましょう。

 3、家族に「今から入浴する」と一声かけて入浴する。何か異変があった時に気づいてもらえるようにしておきます。
   家族は浴室から音がしない時などは、声をかけます。

 4、浴室の床はせっけんかすや水あかなどがつくと滑りやすくなります。掃除をし、滑らないようにしておきましょう。

 

 

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