広報誌 健康倶楽部/2011年5月号
歯周病は、目に見えない歯肉の溝の中に起こり、初期・中期には痛みをあまり感じず、気づかないうちにどんどん進行していきます。
痛みや腫れの症状が出てきた時には末期になっています。それまではほとんど自覚症状がありません。
30代の8割が歯周病といわれ、40歳以降の抜歯の原因の9割が歯周病です。
歯周病菌は全身疾患(がん、高血圧、糖尿病、心疾患、肺疾患、動脈硬化、早産など)を引き起こす可能性があります。
最近、歯周病と深刻な健康障害の研究で、口腔細菌が血流内に入り込み、体内をめぐることが明らかになり、サイトカインの生成を含む口腔細菌に対する身体の反応は、糖尿病の悪化、心臓疾患、脳卒中、などの全身疾患を引き起こす危険因子が高いという研究結果がでています。
歯磨きしたときに血が出たり、硬い物を噛んだ時などに食べ物に血がついたりしていたら歯肉が炎症を起こしている証拠です。
特に歯周病の場合、歯周病菌の繁殖によって起こるニオイでかなり強烈なニオイがします。ただ、ニオイは自分ではなかなか気がつかないもので、他人も指摘しづらいものなので、歯周病が原因で口臭がしている場合でも気づかないまま放置してしまい、病状が進行してしまうことも。
歯周病菌が唾液の中に多く含まれていると「ネバネバ」します。特に起床時に口の中がネバネバするのは歯周病の可能性があります。
歯茎(歯肉)が腫れたり、触るとプヨプヨ柔らかくなっているのも歯周病の典型的な症状です。さらに症状が進行すると膿が溜まり、痛みを伴なうようになります。
歯周病になると歯周組織が侵され、骨、歯根膜などが溶かされていくので歯がグラグラしてきます。歯がグラグラするようならかなり症状が進行している可能性があるので、早急に歯科を受診しましょう。
歯周病になると歯周組織が侵され、歯肉が後退していくので、歯が長くなったような気がすることがあります。
糖尿病はさまざまな合併症が起こる病気ですが、糖尿病の方の多くは歯周病になっているというデータがあります。
歯垢(プラーク)は食事するたびに歯に付着します。毎食後、歯磨き、歯間ブラシ、デンタルフロスなどで丁寧に除去することでプラークコントロールすることが可能です。プラークコントロールとは、歯周病の直接の原因である歯垢(プラーク)=細菌の塊の増殖を抑え、歯周病を予防しようということです。すでに歯周病にかかっている人は歯周ポケットが深くなっているため、歯周ポケットに入り込んだ歯垢(プラーク)を自分で除去することは難しいので、歯科で除去してもらいましょう。
・正しい歯磨きをする
歯周病予防の基本は【正しい歯磨き】です。毎日歯磨きしているという入でも歯周病になっている人はたくさんいます。自分ではキレイに磨いているつもりでも、歯と歯の間や歯ブラシが届かないところなどを磨き残してしまっている場合が少なくありません。ですから、歯科医院で正しく磨けるように指導してもらうことも大切です。
・よく噛んで食べる
物を噛むことで唾液が分泌されます。唾液は口の中の細菌を洗い流す役目があるので、歯周病や虫歯の予防になります。また、よく噛んで食べれば歯周組織を強化することができるので、柔らかいものばかり食べず、硬いものをよく噛んで食べましょう。
・禁煙
たばこを吸っている入は吸わない入に比べて2倍〜7倍歯周病になるリスクが高いといわれています。たばこの煙に含まれる有害物質は歯周病の症状を悪化させますし、喫煙している限り歯周病が治ることはないと思ってください。