広報誌 健康倶楽部/2012年2月号
高齢化社会の我が国では、老化の予防と老後の健康維持が課題となります。定年を迎えた後20年、30年以上の人生が待っています。健康でなければ長寿の喜びは得られないのですから、老化に負けない健康なからだづくりをする必要があるといえます。
老化は誰にでも必ず訪れます。加齢にともなって運動機能や感覚器官が衰え、病気への抵抗力や回復力の低下などさまざまな影響がもたらされます。規則正しい生活や栄養バランスのとれた食事、適度な運動、十分な睡眠、積極的な社会活動などを心がけることによって、老化のスピードを抑えることは可能です。
加齢とともに筋肉の量が減り、脂肪の占める割合は増えていきます。全身の筋力が弱まるため、歩行がおぼつかなくなったり、瞬間的な反応ができなくなってきます。バランスを取る能力も鈍ってくるので転倒することが多くなります。骨粗鬆症になっている人が多いために、転倒すると骨折をすることが少なくありません。
骨折をすると骨がくっつきにくくなるため長期に入院することになる可能性も出てきます。するとその間にますます筋力が衰え、寝たきりになってしまうというケースもあるのです。 普段から肥満しないように心がけることや、筋力をつけるために適度に運動することが大切です。
視力が落ち、耳が遠くなったり、味覚や嗅覚などの感覚機能が低下してきます。感覚機能の低下で注意が必要なのは、脱水症状を起こしやすくなることです。高齢になると、体に蓄える水分量が減ってくるのにくわえて、喉の渇きを感じにくくなるので、水分補給が不十分になり、脱水症状を起こしやすくなるのです。 脱水症状になると、血液の減少や脳や腎臓にも悪影響を起こす場合があるので、水分を早めに取るように心がけましょう。
大部分の内臓機能は加齢とともに低下します。肉体的に疲れやすくなり、病気に対しての抵抗力や回復力が低下します。感染症にかかりやすく、慢性の病気をいくつも抱え込むこともあります。
健康な老後を過ごすためには、生活習慣病を予防することが重要! 厚生労働省の調査では、60歳以上の日本人男性の半数以上がメタボリックシンドロームと言われています。要するに肥満しているのです。肥満は生活習慣病の原因の一つです。豊かな時代に育った世代が高齢化するとともに、生活習慣病にかかる人も増加してくるのです。生活習慣病を予防することは老後を健康に過ごすための必須条件といえます。
それと同時に、脳の機能を衰えさせないために、日頃から頭を使うことも大事です。家に閉じこもらないで積極的に社会活動に参加したり、将棋や囲碁、パソコン、料理、読書など、脳を活性するような趣味を持つのも良いでしょう。
老化によって体が衰えるに連れ、何かと不自由になり、心細くなったり、病気になった時の心配や不安が現れます。一人暮らしの高齢者は増加しており、地域で協力したり助け合ったりする活動を積極的に行う自治体もありますが、一人暮らしの場合は緊急時などの色々な場合を想定して万一に備えなければなりません。
高齢で一人暮らしですと、どうしても家の中に閉じこもりがちになります。活動範囲が極端に狭くなると、心身機能がますます低下してしまいます。散歩や地域の活動に積極的に参加し、心と体の健康を保つようにすることが健康で長生きの秘訣です。