広報誌 健康倶楽部/2012年10月号

腎臓病を予防する

近年、腎臓病が急増しています。その背景には高血圧や糖尿病などの生活習慣病の増加などがあげられますが、腎臓病は遺伝性の腎炎から、感染などで後天的に起こるものまでさまざまです。腎臓病も他の病気と同じく早期に発見し、治療と症状を悪化させない生活を心がけることで健康な人と同じように生活することが可能です。

腎臓のもっとも重要な働きは血液の濾過です。体内の老廃物を取り除き、きれいになった血液は再び心臓へ戻り、取り除いた老廃物は尿として排出します。尿を作って体液の成分や量を調節する働きやホルモンやビタミンを作ったり活性化する働きもします。

腎臓病の自覚症状

自覚症状は腎臓病の種類によって異なりますが、「急性症状タイプ」と「無症状タイプ」の2つに分けられます。

■急性タイプ

むくみ(浮腫)が出たり、尿の量が少なくなるなど尿に異常が現れる。高血圧になる。

■無症状タイプ

自覚症状に乏しく、採取した尿を詳しく調べることにより異常が判明するもので、大部分の腎臓病は無症状タイプでかなり進行しないと症状が出ません。

<自分で尿のチェックをしましょう>

健康な尿の色は淡黄色から淡黄褐色といわれています。尿は体内の水分量の影響で色が薄くなったり、濃くなったりします。朝一番の尿は濃い尿が出ますし、寒い冬や水をたくさん飲んだ時は無色に近い薄い尿が出ます。

赤褐色や茶褐色の尿は赤血球が混じっている血尿と考えられます。白濁している尿、泡が立つ尿も要注意です。

また、健康な尿はほとんど臭いがありません。用を足したばかりの尿はわずかな臭いがあるのみです。鼻をつくような臭いや甘酸っぱい臭いなどは病気の可能性があります。

普段と違う尿が出た場合は、医療機関を受診しましょう。

<むくみ(浮腫)はありませんか?>

むくみは、皮下に水がたまることにより腫れる状態をいいます。腎臓病になると体内の水分や塩分の調整をする働きがうまくいかなくなり、水分がたまりむくみを生じるのです。また腎臓病のために血液中のたんぱく質が失われると、血管内の水分を保持できなくなり、血液の水分が漏れ出てむくみになります。

特に脚と顔がむくみやすく、下肢がむくむと、足の甲が腫れて靴がきつくなったり、すねや足の甲を指で押すと、くぼんでなかなか元に戻りません。顔のむくみは朝、目覚めたときにでやすいのが特徴です。まぶたなど目の周りが腫れぼったくなり、小じわが目立たなくなったりします。

その他、腰、背中、陰部もむくむ場合があります。さらに、体液が過剰になると胸水が現れ、呼吸困難を引き起こしたり、腹水で腹部が張る場合もあります。

<痛みや発熱>

腎臓病の症状で、まれに「痛み」や「発熱」が起こる場合があります。普段は痛みがないのみ、背中をたたくと激痛が起きる「叩打痛」や腰に鈍い痛みがある場合があります。腰の鈍い痛みは、腎臓結石や尿路結石、腎盂腎炎など、急性腎盂腎炎では、急に高熱が出る場合もあります。

腎臓病が進むと血液中に老廃物がたまり、さまざまな症状が現れるようになります。尿毒症といって、吐き気、下痢、食欲不振、麻痺、けいれん、昏睡などの症状が現れ、放置しておくと危険な状態に陥ります。

<年に一度は尿検査を>

腎臓病は自覚症状を見逃しやすく、慢性腎炎はほとんど症状がありません。ですから早期に発見するには職場や地域の健康診断などを受け、尿検査や血液検査を行いましょう。

腎臓をいたわる生活

■体重と血圧の管理

日頃から高血圧や肥満を防止するために、有酸素運動を行いましょう。

■腎臓に負担がかからない食事

塩分とたんぱく質を制限し、摂取エネルギーが過不足のないように注意します。

かまぼこや干物などの塩分の多い加工食品はできるだけ控えるようにしましょう。

■十分な休息

一日の疲れの回復はとても重要です。睡眠を十分とり、翌日に疲れを残さないようにしましょう。

■タバコは吸わない

タバコのニコチンは血管を縮小し血流を悪くします。血液を汚すタバコはやめましょう。

 

 

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