広報誌 健康倶楽部/2012年11月号

定期的な検診が命を救う〜女性のがん〜

<子宮がんは定期健診で早期発見>

子宮がんは発生する部位によって二種類に分けられます。子宮の入り口(頸部)に発生するがんを子宮頸がん、子宮体部に発生するがんを子宮体がんといいます。

子宮頸がん

子宮頸がんは、定期健診の普及によって早期発見が可能となり、死亡率は年々減少してきました。子宮頸がんは治癒率の高いがんで進行期0期であればほとんど治るといってよいでしょう。

がんが進行すればするほど治る率は低くなりますが、定期的に検診を受けていれば早期に発見することができるので、30歳以上の女性は定期健診を受けることが重要です。

なぜ子宮頸がんになるのかというと、原因は色々考えられていますが、子宮頸がんの組織の95%以上からHPV(ヒトパピローマウイルス)が検出されていることからHPVの感染であると注目されています。

このHPV(ヒトパピローマウイルス)とは、性器に多く存在するウイルスでその種類は百種類にもなり、性感染症の原因にもなりますが、そのうち子宮頸がんに関係があるとされているのは数種類です。

このウイルスはセックスで感染しますが、大半の人が免疫力によってウイルスを排除します。しかし、何らかの原因でHPVの持続感染をおこし、そこに喫煙、ピルの服用、多産、中絶などの因子が加わると徐々にがん化していくこともあるのです。

症状としては、早期の子宮頸がんはゆっくり進行するので自覚症状がほとんどありません。ですから、定期健診で見つけることが必要です。がんが進行すると、性交時の出血、不正性器出血、おりものの増加や血性のおりものなどがみられるようになります。

子宮体がん

子宮体部に発生したがんを子宮体がんといいます。最近、日本でも子宮体がんが増えてきているのは、食生活の欧米化にともなって動物性脂肪の摂取量が増えたことや、過去に妊娠・出産経験の無い人、あるいはその回数が少ない人がかかりやすいので女性ホルモンの分泌と関係があるといわれていますが、女性ホルモンと全く関係なく発生するタイプのがんもあります。

子宮体がんになる人は、比較的年齢層が高いのが特徴で、50歳代にもっとも多く発見されます。最近では若い人にもみられるようになり、30歳代の子宮体がんもまれではありません。

症状は、無症状のものもありますが、子宮体がんは少量の出血や血性のおりものなどの出血症状が現れる場合があります。

特に閉経以降の不正出血は子宮体がんを疑ってかかる必要があります。すぐに婦人科で検診を受けましょう。

あてはまる項目がある場合は婦人科を受診しましょう。

生理が不順
血性のおりもの、悪臭のするおりものがある
不正出血がある
下腹部痛がある
性交痛がある
子宮がん検診

30歳以上の女性は子宮がん検診を受けましょう。検査は生理が終わってからが良いでしょう。検査前日は入浴して清潔にし、検査前夜は性交渉をしないで下さい。

<乳がんは早期発見がポイント>

乳がんは、体の表面近くに発生する腫瘍で自分でもしこりを発見することができ、直径2cm以下のしこりならほとんどの人が治るといわれています。早期に発見するためには、時々自分でチェックし、40歳以上の女性は乳がん検診を受けましょう。

乳がんになりやすい人
  1. 40歳以上の女性
  2. 独身の女性(30歳以上)
  3. 初産年齢の高い人(30歳以上)
  4. 初潮が早く、閉経が遅い人
  5. 出産回数が少なく、授乳をしない人
  6. ストレスの多い人
  7. 肥満女性
  8. 高脂肪・高たんぱく質の肉をよく摂取している人
  9. 乳がんの家族歴(母、姉妹)がある人
  10. 一側の乳がんや良性乳腺疾患の既往がある人

乳がんのしこりは乳房の外側上部にできることが多く、全体の48%を占めます。しこりは楕円形や不整形ででこぼこしていてかたくふれます。しこりを押したときの痛みはほとんどなく、あってもあまり強くはありません。

しこり以外の特徴としては、乳頭の血性分泌といって、がんからの出血が乳管を通って乳頭に出てくるものや、乳頭の変形やひきつれなどがみられます。

また、親指と人差し指でしこりをつまむと、しこりの真上の皮膚がへこみ、えくぼのようになることがあります。これは乳がんにみられる特徴的な現象でえくぼ現象といわれています。

乳房にしこりを見つけたら

乳房のしこりに気づいたら、すぐに受診しましょう。乳がんの疑いがある時は、乳腺診断用のエコー検査やX線(マンモグラフィ)装置のある病院を受診したほうがよいでしょう。

問診に次いで視触診、マンモグラフィやエコー検査を行い、場合によっては穿刺吸引細胞診を行うこともあります。以上の検査で診断が確定されない場合には腫瘤の一部をとる生検で病理検査を行います。

乳がんの自己触診法
  1. 入浴時などに、乳房の上に4本の指(調べる乳房と反対の手)をそろえて当て、指の腹を押さえつけるようにすべらせてしこりがないか調べる。乳頭を中心に、同心円を描くように指をすべらせていき、両方のわきの下にもしこりがないか調べる。
  2. 鏡の前で両手を同時に上げたり下げたりしながら乳房の形に左右の違いがないか、皮膚のひきつれやえくぼ現象がないか、左右のわきの下のリンパ節が腫れていないか調べる。
  3. あお向けに寝て背の下に薄いタオルか枕を入れ、調べる乳房と同じ側の腕を頭の後方に上げ、反対側の手の指の腹でまんべんなく乳房を調べる。
  4. 乳頭を軽くつまみ、何か分泌物が出ないかどうかを調べる。

※女性の乳腺は、ホルモンの関係上、月経直前や直後、月経中は全体に張っているため、月経後4〜7日頃に自己検診するとよいでしょう。

<婦人科を受診する時のポイント>

婦人科の受診をスムーズにするために次のことを知っておきましょう。

・受診時の服装

内診しやすい服装にします。

ズボンやタイトスカートではなく、着脱しやすいフレアスカートや前あきの上着が便利です。

・生理中の場合

基本的には生理中でも受診出来ますが、緊急でない場合は生理が終わってから受診しましょう。

不正出血の場合はすぐに受診しましょう。

・前日の入浴

受診の前日には入浴してからだを清潔にしておきましょう。

分泌物やおりものなどの状態がわからなくなるので、受診前に膣の中を洗浄するのは避けて下さい。

・問診の準備

病院によって多少質間が異なりますが、一般的には次のような質問を受けます。

スムーズに答えられるように準備しておきましょう。

メモしておこう

・気になる症状について、具体的にいつ頃から症状がでてきたか

・月経について(前回の生理開始日、期間、周期、初経年齢など)

・今までかかった病気

・妊娠、出産、人工中絶の有無

・現在服用している薬の有無

・アレルギーの有無

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