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外傷センター

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あいさつ

このたび、当法人では、福島県立医科大学に寄附講座「外傷学講座」を設置し、本邦外傷治療分野の権威の一人で前帝京大学医学部整形外科 主任教授の松下隆先生をセンター長に7人の専門医を迎え、臨床・教育の場として当総合南東北病院に「外傷センター」を開設致しました。

救急医療を中心に外傷治療に特化し、診療体制の充実を目指す県内初の専門センターとなります。

医師不足で救急医療崩壊が懸念されている中、外傷専門医による集中的な治療及び臨床研究を当院で行い、救急医療、地域医療に寄与していく所存でございますので、引き続き、今後共一層のご厚情を賜りますようお願い申し上げます。

平成27年4月1日 理事長 渡邉 一夫

外傷センターとは

病気ではなく、外傷(怪我)を治療するセンターで、外傷の救急医療からリハビリテーション、骨折後遺障害の機能再建までを含みます。救急医療については、治療の遅れが死に繋がる危険性の高い重傷外傷や脊髄損傷から単純な骨折まで、すべての外傷患者さんを対象としています。外傷は、怪我をした直後は意識もはっきりして大した怪我ではなさそうに見えても、1時間ぐらい経つと急にショック状態になり死亡することがあります。そのような事態を避けるにはなるべく早く適切な治療を開始しなければなりません。また、骨折は適切な時期に適切な治療をしなければ、骨が繋がらなかったり変形して繋がったりします。骨が曲がって繋がったり、短くなって繋がったり、繋がらなかったりしたら、運動機能に障害が残ります。外傷センターでは、このような機能障害や死亡を最少にすることを目指して治療します。また、このような後遺障害が起こってしまった患者さんを広く受け入れ、イリザロフ法など様々な治療法を駆使して元どおりに機能再建します。もし皆様の周りに骨折が元どおりに治らずに困っている患者さんがおられましたら、どうぞご紹介ください。

当初は二次救急外傷(命に関わらない怪我)の治療から始めますが、なるべく早くヘリコプター搬送を用いた広域かつ24時間受入れ可能な態勢にしていく予定です。

外傷センター特集 (SOUTHERN CROSS Vol.93)

外傷センター長 松下 隆

紹介動画

受診方法

総合南東北病院の「外傷センター」にて診療を行っておりますので、当院電話予約センター0120-14-5420(フリーダイヤル)を通じてご予約下さい。

また、かかりつけの主治医の先生にご相談の上、紹介状をご持参下さいますようお願い致します。

スタッフ

センター長 松下 隆 (福島県立医科大学 外傷学講座 主任教授)
副センター長 寺本 司 (福島県立医科大学 外傷学講座 教授)
科長 竹中 信之(福島県立医科大学 外傷学講座 教授)
科長 小川 和彦
医長 加藤 成隆(福島県立医科大学 外傷学講座 講師)
医長 髙木 基行(福島県立医科大学 外傷学講座 助教)
医長 石倉 哲仁
医長 原田 将太(福島県立医科大学 外傷学講座 助教)
医長 鹿島 康弘
医長 森本 麻美

私たちの取り組んでいる疾患

多くの骨折は、適切な治療を行えば順調に治癒しますが、開放骨折や粉砕骨折など治療が難しい骨折や、不適切な治療が行われた骨折ではさまざまな局所合併症が発生します。遷延癒合・偽関節・変形治癒(脚短縮を含む)・骨髄炎などが対象となります。

遷延癒合・偽関節

骨折治癒の目標は、関節・体幹の支持機能を再獲得することで、損傷前の骨の力学的機能の回復です。骨折治癒が順調に進まないと、骨折部はいつまでたっても元の力学的強度が獲得できないため、元通りの日常生活に復帰できなくなります。骨癒合が順調に進まない状態が遷延癒合であり、全く癒合しなくなった状態が偽関節です。

変形治癒(脚短縮を含む)

骨が曲がって癒合してしまうことがあり、変形治癒と呼ばれます。少しくらいの変形治癒は、機能的には問題がありませんが、許容範囲を超える変形治癒を残すと、正常な日常生活を送れなくなります。また、骨が真っ直ぐに癒合しても短縮してしまっている場合も同様です。

急性化膿性骨髄炎

開放骨折や軟部組織損傷の強い閉鎖骨折などでは、手術後に骨折部に細菌感染が生じると、感染のために骨折は癒合せず感染性偽関節の状態となり変形も生じます。感染の鎮静化と骨癒合と変形矯正という3つの問題を克服しなくてはならず大変な状態です。

このような合併症を生じた骨折は難治性骨折で、治療はきわめて困難です。ほとんどの患者さんは、他院で何年も治療を受けたり、多数の手術(10回以上の場合もあります)を受けた後に、私たちのチームへ紹介されてきます。

行っている治療

難治性骨折の治療には、新鮮骨折の治療で用いる整形外科的テクニック(創外固定法、プレート固定法、髄内釘固定法)に加えて特別な技術と経験が必要です。私たちのチームでは、イリザロフ法による組織延長術(Distraction Histogenesis)を応用した手術やいろいろな骨切り術などを用いて、外傷後の四肢と関節の再建を行っています。

感染性偽関節(骨髄炎)に対するイリザロフ法による手術

感染性偽関節や骨髄炎は、悪性腫瘍と同様に、感染した骨組織を十分に切除する必要があります。しかし、十分に切除すると巨大な骨欠損が生じてしまいます。この巨大な骨欠損を再建するためにイリザロフ法による組織再生技術を用いています。

脚長不等や変形治癒に対するイリザロフ法を用いた変形矯正術

イリザロフ法は、自分の骨を再生させる手術方法であるため、短縮した脚の長さを元通りにすることも可能です。また、延長した骨を曲げることで変形した脚を元通りの形に矯正することも可能です。

大腿骨顆部・顆上骨折に対する矯正骨切り術

脚長差がない少ない場合や、変形矯正術と脚延長術を同時に行わない場合には、通常の矯正骨切術を用いることもあります。変形が関節内におよび複雑な場合には、3次元CTから骨造形モデルを実際に作成して術前に手術シミュレーションを行いより正確な変形矯正をめざします。

偽関節粉砕術による大腿骨偽関節の治療

長管骨骨折後の偽関節には、髄内釘の入れ替えと骨移植術が多用されています。骨移植のためには自分の健常な骨盤から骨を採取する必要がありますが、私たちが用いている偽関節粉砕術では、採骨により新たな自己組織に損傷を与えることなく偽関節を治癒させることが可能です。すべての症例に適用できる訳ではありませんがとても良い手術法です。

私たちが目指すもの

私たちの治療は、いつもそれぞれの患者さんにとってもっとも良いことは何か?です。

残念ながら現在の医学では、世界中のどんな立派な医療施設でどんな最先端技術を駆使しても、骨折後に合併症を起こした四肢・関節を完全に元通りにすることはできません。

しかし、私たちは、ゆがんだ関節の機能を戻したり、骨癒合しない骨をひっつけたり、感染を鎮静化させたり、曲がった四肢を真っ直ぐにしたり、短くなった四肢を長くしたりすることにかけては世界で一番でありたいと常に努力しています。