救急救命科
部門の紹介
救急救命科 所属長
菅野 弘明
『学び』そして『挑戦』できる南東北
当院救急救命科では「地域救急医療貢献」のため、「救急救命士として出来ること・救急救命士だから出来ること」を考えられる職員の育成に力を入れています。
2021年(令和3年)の救急救命士法改正を機に全国的に医療機関で働く救急救命士が増加する中で、当院においても「マンパワー不足の改善」のため2023年(令和5年度)から救急外来にて救急救命士が雇用されました。医師・看護師の補助として業務を開始しましたが、現在では数々のタスクシフトを得て、当科職員全員が主体性を持ち、「すべては患者さま・利用者さまのために」私たちに出来ることを日々行なっています。
私たち救急救命科は、診療技術部門における独立部署として存在します。独立部署による機動力と救急救命士の専門性を活かし、変化し続ける救急医療のニーズに応え「誰かのために手を差し伸べる救急救命士」として機能します。
当院は充実した教育・研修体制があります。
また、「断らない病院」として県内トップクラスの救急搬送患者数から多種多様な症例を経験でき、救急救命士として成長できる環境となっております。
救急救命士という可能性のある国家資格を存分に活用し、地域救急医療への貢献、そして医療を支える他職種も助ける存在として、これからも私たちは単なる「Hub(ハブ)」の機能だけなく、「軸・歯車」として躍進していきます。
業務環境と組織体制の紹介
総合南東北病院では郡山市をはじめとした県中県南地域の医療圏に携わっており、県内トップクラスである年間約7,000件以上もの救急車の受け入れを行い、独歩来院(ウォークイン)に関しては年間約18,000人もの患者様が当院救急外来を受診しております。そんな中で救急救命科は地域医療に貢献するために日々精進し、消防機関、他医療機関と当院を繋ぐ歯車の様な存在を目標とし、業務を遂行しています。
基本的な院内教育の他に院外活動教育(施設間搬送・ドクターカー等)や各種学会参加、災害派遣や訓練(DMAT)、各種コース研修受講・運営(JPTEC・PEMEC・MCLS・ICLS)など個人のキャリアアップに沿った活動もしており、成長しながら働ける環境を整えています。
当科は診療技術部の独立部署として存在し、現在12名(男性9名・女性3名)の職員が勤務しております。(2026年10月現在)
私たちが「入口から出口まで統制する」ことで、地域や多職種を繋ぎ、円滑にする存在として機能します。
入口から出口まで統制するー
地域・多職種を繋ぎ、円滑にする存在
救急隊からの患者情報を元に該当診療科へコンサルティングを行います。
救急救命士直通の専用ダイヤルを創設。他院より救急車搬送が対象と判断された患者様の紹介を救急救命士が窓口となり対応します。患者様の主訴や病態、診断名に合わせて該当診療科へコンサルティングをし、受け入れ可否の返答をします。
紹介を受けた患者様のもとへ救急救命士が病院救急車でお迎えにあがります。重症や緊急の場合は必要に応じて医師が同乗し、ドクターカーとしても出動します。お迎えにあがることで、紹介元医療機関の医師・看護師の同乗削減や行政救急車の使用削減にも寄与し、情報を一元化することによるシームレスな活動に繋げます。


診療の補助として、医師や看護師などの多職種と連携し診察や検査対応を行います。必要に応じて救急救命処置を実施します。患者様の情報を取得次第、必要に応じて対象医療機関より診療情報の取り寄せを行うことで、診療に役立てます。
患者様の病態や社会的背景を考慮し、医師の指示のもと他医療機関の連携室職員や看護師、時には医師へ転院調整行います。
医師・看護師と共に現場へ医療を提供します。
救急救命士養成校より病院実習の受け入れを行い、知識・技術取得の一部をお手伝いさせて頂いています。


上り搬送・下り搬送。転院が決定次第、救急救命士が病院救急車を活用して搬送を行います。消防機関に依頼する件数削減することで、救急車の適正利用に繋げます。


日本DMAT隊員の資格を取得し、災害派遣や災害訓練等において救急救命士の専門性を活かすことで、業務調整員としてコーディネートします。
OHCAレジストリをはじめとするレジストリの集計や医師事務作業補助者として、カルテ代行入力やオーダーの代行を行います。


活動実績
搬送業務実績
2024年より病院救急車を活用した転院搬送を救急救命科が実施しており、今まで消防機関を利用していた救急車の削減と当院の収益化に寄与。
2024年
転院搬送患者調整件数
362件
4月〜3月(年度累計)
2025年
転院搬送患者調整件数
348件
4月〜3月(年度累計)
2024年
病院救急車活用件数
413件
転院搬送・ヘリピックアップを含む
2025年
病院救急車活用件数
574件
転院搬送・お迎え搬送・ヘリピックアップを含む
病院救急車活用件数
前年比増加率
40%
2024年 413件→
2025年 578件
2024年・2025年 転院搬送患者調整件数
2024年・2025年 病院救急車活用件数
| 区分 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 累計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年 転院搬送患者調整件数 | 16 | 8 | 13 | 19 | 31 | 28 | 22 | 33 | 48 | 66 | 48 | 30 | 362 |
| 2025年 転院搬送患者調整件数 | 25 | 26 | 22 | 35 | 28 | 27 | 14 | 27 | 36 | 42 | 33 | 33 | 348 |
| 2024年 病院救急車活用件数 | 16 | 13 | 23 | 32 | 37 | 30 | 32 | 39 | 52 | 57 | 48 | 34 | 413 |
| 2025年 病院救急車活用件数 | 37 | 43 | 40 | 45 | 57 | 47 | 27 | 48 | 54 | 58 | 63 | 59 | 578 |
当院のヘリポートは南東北医療クリニックに所在しており、施設間搬送が必要
※南東北医療クリニックから本院までの カテーテル対応患者等の搬送対応を救急救命科が実施
タスクシフト実績
看護師リーダーホットライン対応業務削減と患者対応時間増加
ホットライン平均応需時間の比較
救急救命士がホットラインを応需していない2023年の11.8分という応需時間と比べて、2026年4月現在は7.6分まで短縮している(※ 郡山地方広域消防本部情報提供)。救急救命士が応需していなかった時代と比較して看護師リーダーが本来行うべきリーダー業務や患者対応に活かすことができる時間が、約82,600分(11.8分×7,000件)還元できている。これは、1人の患者初期対応を30分とすると年間で約2,753人に値し、対応患者数の増加と救急外来業務の円滑化に寄与している。
応需時間短縮の要因
- 救急救命士が専属で対応することによる効率化
- 受け入れ医師の受け入れ判断の迅速化
- 病院機能として救急外来⼊院待機時間の短縮とベッドコントロールによる円滑化(救急救命科も転院搬送にて寄与)
- 消防ICT活用による患者情報の明確化
※ 郡山地方広域消防本部情報提供
看護師リーダーへ還元された
年間時間(11.8分×7,000件)
患者初期対応(30分/人換算)に
相当する時間を創出
救急救命⼠が応需していなかった時代と比較して、看護師リーダーが本来行うべきリーダー業務や患者対応に活かすことができる時間が大幅に増加し、救急外来業務の円滑化に寄与しています。これらのタスクシフト実績は、救急救命⼠が単独で⾏えたものではなく、各部署の協⼒のもと残せた結果です。
地域連携室からの業務タスクシフト
2024年5月に救急救命士専用ダイヤルを開設し、他医療機関からの緊急患者紹介受け対応を救急救命士が実施している。以前は、地域連携室が多数の業務と並行して対応していたため、対応完了までに時間を要していた。回線数の問題からNTT応需率も低い現状にあった。救急救命士ダイヤル開設に伴う、NTT応需率の向上と臨床を継続し、普段から医師へコンサルティングを行うことによる対応時間の削減を図ることができた。
また、救急外来からの即日転院調整業務を救急救命科が対応することにより、転院調整の円滑化や地域連携室対応時間の削減、救急救命士が転院搬送まで一元化できる情報のシームレス化に寄与している。付帯効果として、地域と顔の見える関係を築くことによる転院調整円滑化及び患者紹介件数の増加にもつながっている。
改善した内容
- NTT応需率の向上による取りこぼし防止(電話が繋がらない現象を削減)
- 臨床を継続する救急救命士が医師へ直接コンサルティングすることによる対応時間の大幅短縮。診療情報提供書到着前の早期対応が可能。
- 救急外来からの即日転院調整を救急救命科が担当し、受け入れから転院搬送まで情報を一元化(シームレス化)
- 地域連携室の対応時間削減による本来業務への集中
付帯効果の創出
地域の医療機関と「顔の見える関係」を構築することで、転院調整の円滑化及び患者紹介件数の増加にもつながっています。
救急救命科(救急救命⼠)が搬送業務・タスクシフト・地域連携の三軸を担うことで、消防機関の救急車適正利用、看護師の患者対応時間創出、地域連携室の業務効率化を同時に実現しています。
今後も「入口から出口まで統制する」存在として、地域医療の円滑化に貢献してまいります。
教育体制
救急救命科では基本的な教育(院内・院外)の他に個人の目標にあった学会参加や研修、コース参加を推奨しております。医療人としても勿論ですが社会人としても成長できる科を目指して日々研鑽を積んでいます。
新人教育
- プリセプター制度導入による基本的業務のマンツーマン指導
- 年間ラダーを用いた「段階的教育」と「定期面談」によるフォローアップ
継続教育
- 定期勉強会・シミュレーション訓練・他職種合同ミニレクチャー
- 他病棟合同勉強会
キャリアアップ支援
- 院外研修
- 学会発表と参加
- 各種資格取得(DMAT、ICLS、JPTEC、MCLS、PEMEC 等)
学術活動・参加学会
- 日本臨床救急医学会総会・学術集会
- 東北救急医学会総会・学術集会(日本臨床救急医学会東北地方会)
- 日本救急救命学会・学術集会
- 日本病院救急救命士研究会
- 日本病院前救急診療医学会総会・学術集会
- 日本災害医学会総会・学術集会
- 日本外傷学会総会・学術集会
- 日本救急医学会総会・学術集会
- 日本集中治療医学会総会・学術集会

救急救命科 理念・目標
⇒ 私たちはチームです。支え合って業務遂行しましょう!
⇒ 本質を捉えた行動をしましょう!
⇒ 自らの存在意義を考えて行動しましょう!
⇒ 同じ救急救命士として、連携することが地域医療貢献へ繋がります。