エイズについて知っておこう の異常と病気
 鼻は呼吸や嗅覚、声の共鳴に関わる大切な器官。
 鼻の病気は、こうした機能に影響を及ぼすほか、鼻汁や鼻づまりなどのつらい症状を引き起こすために、しばしば日常生活にも影響を及ぼします。気になる症状がある方は、是非、下の項目をチェックしてみてください。

      鼻の異常チェックシート

気になる症状全てにチェックをしてください。

1  水様性の鼻汁がでる
2  粘性の鼻汁がでる
3  鼻汁が多量にでる
4  くしゃみがでる
5  鼻がつまっている
6  鼻血がでる
7  のどが乾燥している
8  鼻汁がのどに流れる
9  頭重感や頭痛がある
10 症状が長期間続いている
11 かぜをひいていた
12 決まった要因で症状がでる
13 頬など鼻の周囲に鈍痛がある
14 においに異常がある
15 発熱がある
1、2、4、5、7にチェックがついた人は、
急性鼻炎の可能性あり→1へ
5、6、8、9、14にチェックがついた人は、
慢性鼻炎の可能性あり→1へ
3、5、11、13、15にチェックがついた人は、
急性副鼻腔炎の可能性あり→2へ
3、5、8、9、10、13、15にチェックがついた
人は、慢性副鼻腔炎の可能性あり→2へ
1、3、4、5、12にチェックがついた人は、
アレルギー性鼻炎の可能性あり→3へ
6のみにチェックがついた人は、
鼻出血の可能性あり→4へ
14のみにチェックがついた人は、
嗅覚障害の可能性あり→5へ

※この診断はあくまで目安ですので、チェック項目のような気になる症状がある場合は、耳鼻咽喉科を受診してください。
1 急性・慢性 鼻炎
〈急性鼻炎〉
 ウイルスに感染することにより、鼻の粘膜に急性の炎症が起きる病気で、鼻かぜともいわれます。
症状…鼻からのどにかけての乾燥感や、多量の鼻汁(水様性からしだいに粘性・膿性に変わる)、くしゃみ、鼻づまり。
治療…室内の乾燥を避け、充分な栄養をとって安静にする。内服薬は抗ヒスタミン剤や消炎剤、抗生剤などが処方され、鼻づまりがひどい場合は、点鼻薬が処方される。

 放置すると慢性鼻炎や副鼻腔炎に移行することもありますので、早めに治すことが大切です。
〈慢性鼻炎〉 
鼻の粘膜の炎症が治まらず、長期間続いているものです。粘膜の状態により次の2つにわけられます。
単純性鼻炎・・・粘膜が赤く腫れている状態が継続しているもので、急性鼻炎を繰り返すことで移行するケースが多いといわれています。治療は、鼻から霧状にした薬を吸入したり、薬を服用して、粘膜の腫れを改善します。
肥厚性鼻炎・・・炎症が進行し粘膜が硬く厚くなった状態です。急性鼻炎、単純性鼻炎からの移行、副鼻腔炎やアデノイド(扁桃肥大)の影響、細かいほこりや化学的刺激など、さまざまな原因があります。薬物療法は効果がでにくいことがあり、手術療法も行なわれます。レーザーで粘膜を焼灼したり、下鼻甲介(かびこうかい)の骨を摘出する手術を行ないます。

2 急性・慢性 副鼻腔炎
 鼻腔(鼻の穴から気道につながる空間)に接している薄い骨で囲まれた四対の空洞を副鼻腔といいます。副鼻腔炎とは、この副鼻腔の粘膜に炎症が起こって、膿がたまる病気です。
〈急性副鼻腔炎〉
急性副鼻腔炎の多くは、急性鼻炎を起こしたあと、ウイルスの感染が副鼻腔に及んで発症します。
症状…多量の鼻汁、頭痛や鼻周辺の鈍痛、流涙、発熱など。
治療…急性の場合は、対症療法が行なわれ、鎮痛剤や消炎剤、抗生剤などが処方される。
〈慢性副鼻腔炎〉
慢性副鼻腔炎は、急性副鼻腔炎が継続もしくは繰り返しおきているものです。常に副鼻腔に膿がたまった状態を指して、「蓄膿症」ともよばれます。
症状…多量の鼻汁や、鼻汁がのどにくだる後鼻漏(こうびろう)、鼻づまり、頭痛、頭重感、集中力低下など。また、粘膜に膿がたまって垂れ下がる「鼻茸(はなたけ)」ができることもある。
治療…頭痛など各症状には対症療法が行なわれ、副鼻腔自体の治療としては、マクロライド系抗生物質を一定期間服用する。また、副鼻腔内にカテーテルを挿入して膿をだし、薬剤を注入するヤミック療法も有効。改善がみられない場合は、内視鏡などを用いた手術療法が行なわれる。

3 アレルギー性鼻炎
 アレルギー性鼻炎の三大症状は、連発するくしゃみと鼻づまり、多量の鼻汁です。こうした症状は、鼻の粘膜が特定の物質(アレルゲン)に対して過敏に反応するために起こります。
 通年型と、決まった時期に発作がでる季節型があり、後者の代表はスギなどがアレルゲンとなる花粉症です。通年型のアレルゲンで多いのはハウスダストやダニです。治療では、症状に合わせて、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤、ステロイド剤などが処方されます。また、少量ずつアレルゲンを注射しアレルゲンに慣れさせる減感作療法という方法もあります。

4 鼻出血
 いわゆる鼻血で、そのほとんどは、薄い粘膜の下に毛細血管が集まっているキーゼルバッハ部位から出血しています。原因としては、鼻を強くかんだりした際に、粘膜が傷ついたり炎症を起こして、出血することが多いようです。
 また、高血圧症や血液疾患、心臓病などが原因の場合もあるため、鼻出血を繰り返したり、出血が止まらないときは、専門医を受診しましょう。

5 嗅覚障害
 人間はにおいを鼻の嗅部にある嗅覚細胞で感じとり、その情報を脳へ伝達しています。
 嗅覚障害には、鼻づまりなどで、嗅部ににおいが届かないために嗅覚障害が起こる呼吸性嗅覚障害や、頭部外傷などで、においの情報が脳の嗅中枢に伝達される過程に障害が起こるために生じる中枢性嗅覚障害などがあります。
 こうした嗅覚障害の症状には、図3のようなものがあります。
 呼吸性嗅覚障害は、鼻づまりなどを引き起こしている元の疾患を治療することで改善されます。中枢性嗅覚障害に対しては、薬物治療が行なわれますが、回復しにくいこともあります。

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2005年8月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載
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