こつそしょうしょう
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骨量の減少が骨粗鬆症の原因
 骨粗髭症は、骨(骨質)に含まれるカルシウムの量(骨量)が、極端に減少して起こる疾患です(図参照)。
 骨量は、20〜30代をピークにして、次第に減っていきます。ですから、ある程度の骨量減少は、生理的な減少といえます。しかし、骨量が減少し過ぎると、骨はもろくなり、骨折もしやすくなってしまいます。
 この、骨量の異常な減少には、骨代謝と骨の役割が深く関わっています。
 

・骨代謝/骨も代謝する
 骨も、他の器官と同じように、常に新しい組織へと生まれ変わっています。これを骨代謝といいます。
 骨代謝は、古い骨を溶かして壊す破骨細胞と、カルシウムを使って新しい骨を作る骨芽細胞によって行なわれます。この骨代謝のバランスが何らかの事情で崩れ、骨を壊すペースが作るペースを大幅に上回ることがあります。そうなると、骨量は減り、骨質のなかがスカスカになってしまいます。
 
・骨の役割/カルシウムの貯蔵
 体内には無数の細胞があり、それら細胞にはカルシウムが欠かせません。そのため、血液中には一定のカルシウムが含まれており、全身にカルシウムを届けています。
 この、血液中のカルシウム量が低下すると、骨のカルシウムが溶けだし、カルシウム量を補います。こうして、血液中のカルシウム量は一定に保たれます。
 つまり、骨にはカルシウムを貯蔵し、必要に応じて体内に提供するという役割があるのですが、骨のカルシウムが溶ければ、当然、骨量は減ってしまいます。ですから、体内のカルシウム不足が続くと、骨は弱くなってしまうのです。
 
骨粗鬆症は女性に多い
 骨粗鬆症は女性に多く、患者の約8割をしめています。これは、女性のほうが、骨量の減少する要因が多いためです。その代表的な要因としてあげられるのが、閉経後のホルモン分泌の減少です。
 女性ホルモンであるエストロゲンには、骨代謝のバランスを保つという働きがあります。このエストロゲンの分泌が、閉経後、急激に減少してしまいます。すると、それまで保たれていた骨代謝のバランスが崩れ、骨がもろくなってしまうのです。
 また、女性は妊娠や出産で、カルシウムを大量に消費してしまいます。このことも、女性の骨がもろくなりやすい一因です。
 
若いうちから対策を!
 骨量が急激に減少する年代は、女性が50代、男性が70代といわれています。しかし、この年代になってから生活を改善しても、骨量はなかなか増えません。前記したように、骨量は年齢とともに減ってしまう傾向があるためです。また、女性は閉経後、骨量が急激に減少する場合が多いといえます。
 ですから、若いうちに骨量を蓄えておき、歳をとってからの骨量の減少に備えることが、一番の予防法といえます。
 では、具体的にはどうすればよいのか、ご紹介しましょう。
  
1.カルシウムを摂取しよう
 骨粗鬆症は、骨量が不足して起きる疾患ですから、カルシウムを摂ることがもっとも重要です。
 1日の理想摂取量とされる600mgを目指して、カルシウムを豊富に含む食材(表参照)を、毎日の食卓に取り入れてみましょう。
 ただし、閉経後や妊娠中、出産後の女性は、1日800mgぐらいを摂取するように心がけてみましょう。
2.カルシウム以外の栄養素も大事
 カルシウム以外の栄養素も、しっかり摂りましょう。
 とくにビタミンDやKは、体内に取り込まれたカルシウムの吸収を助けたり、骨芽細胞の働きを促進しますから、カルシウム同様、骨を丈夫にする栄養素といえます。
 また、骨は元来、たんぱく質(コラーゲン)にカルシウムなどが付着して作られています。ですから、たんぱく質の摂取も、骨粗鬆症予防には大切です。
3.リンやアルコールには要注意
 リンは、体内のカルシウムを排出してしまいます。リンを多く含むインスタント食品や清涼飲料水は、なるべく控えるようにしましょう。アルコールも、飲み過ぎるとカルシウムの吸収率が下がってしまいますから、注意しましょう。
4.タバコは骨にも悪い
 喫煙は、カルシウムの吸収を妨げますし、女性の場合、エストロゲンを減少させてしまいます。
5.運動不足を解消しよう
 運動は、骨に適度な刺激をあたえ、骨代謝を促進します。また、筋力が鍛えられると、骨をガードする役割も果たしてくれます。
 何かスポーツを始めるのもよいですし、階段を昇る、近い距離なら歩くなど、日頃のちょっとした運動も骨粗髭症予防に有効です。
6.無理なダイエットはしない
 食事制限をして行なうダイエットは、骨量を減らしかねません。
 また、女性が無理なダイエットをするとエストロゲンの分泌が低下してしまう恐れがあります。
 極端な食事制限などはせず、必要な栄養素は充分に摂り、身体を動かして体重を減らすダイエットをしましょう。
7.日光にあたろう
 適度な日光浴は、骨粗鬆症の予防にもなります。これは、日光にあたると、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが、体内(主に皮膚)で合成されるからです。
8.定期検診を受けよう
 自分の骨の状態を知るために、骨の定期検診を受けましょう。とくに女性は、骨量が減る要因が多いので、年齢に関係なく、医療機関で骨量の検診を受けることをお勧めします。また最近では、検診を行なっている自治体もありますから、利用するのもよいでしょう。
 
 
 骨粗鬆症は、若いうちからの対策・予防が肝要です。しかし、年齢を重ねてからでも、骨量の減少を最小限に食い止めることは、もちろん可能です。生活習慣の改善を行ない、骨量を維持するように努めましょう。
 


−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2005年11月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載
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