災害に備える

 地震や津波、豪雨に台風…。近年、自然災害が多く発生しています。そこで今回の知るほどトピックスは、災害への備えについてご紹介します。


自然災害は油断大敵!
 自然災害は、いつ、どこで発生するかわかりません。
 例えば地震。予知の研究も進められていますが、数日後や数週間後に起こる大地震を、確実に予測できる段階には到っていません。
 また水害や土砂災害は、近年、今まで予期していなかった地域でも発生しています。ですから、自然災害には備えが非常に重要なのです。
 では、自然災害に対してどのような「備え」をすればよいのでしょう。
 
身を守るための「知識・情報」の備え
 最初に重要なのが、知識や情報の備え(表1参照)です。
 この、知識や情報には、ふた通りあります。ひとつ目は、災害を事前に知るための知識や情報です。災害が起こる前兆や、国や自治体、気象庁などが発表する予報や警報などがこれにあたります。
 もうひとつは、いざ災害に見舞われた、あるいは見舞われそうになった際に必要な知識や情報です。地震が起きたときの行動、避難所への道筋、災害用伝言ダイヤル「171」の使い方など、いざというときの知識や情報がこれにあたります。


                      知識・情報の備え(一例)                   (表1)
災害を事前に知る知識・情報 被災時に必要な知識・情報
〈地震・津波〉
・津波は引き潮のように海水が引いて発生する。
 (ただし、海岸線にいて地震が起きたら、揺れが
 小さかったり、津波の兆候がなくてもすぐに避難)
〈豪雨・水害〉
・気象庁が発表する気象情報だけでなく、
国土
 交通省や自治体が発信している河川や海の情報
 にも注意が必要。
〈土砂災害〉
・土砂災害には、それぞれ発生する兆候がある。
 兆候が現われたら、すぐに避難し、絶対に近づか
 ない。
 (がけ崩れ)
 がけから小石が落ちてきたり、水や泥水が湧き
 でる。また、割れ目ができ、異音がする。
 (土石流)
 雨が降り続いているのに川の水位が下がる。
 また、木の枝が流れてきたり、水が濁り、異臭も
 する。水源の山から異音がする。
 (地滑り)
 井戸や沢などの水が濁り、水量が急激に変化
 する。また、斜面にひび割れ、段差などが現われ、
 水が噴きでてくる。
〈地震・津波〉
・揺れを感じたらすぐに火を消し、玄関や窓を開け
 避難経路を確保する。ただし、大きな地震の場合、
 まずは身の安全を確保し、揺れが収まってから火
 の始末をする。また、すぐに屋外にはでず、室内か
 ら様子を確認した上で避難する。
・自宅や勤め先から避難所へのルートを確認して
 おく。また、海岸線に長時間いるときは、高台など
 の避難場所を確認しておく。なお、地震や津波で避
 難する際、車は使用しない。
〈豪雨・水害〉
・家屋に浸水の危機が追ったら、貴重品や防災
 用品、電気製品を高いところへ移動。土嚢や板
 などで玄関や窓からの水の浸入を防ぐ。
・下水から水が逆流してくる場合もある。風呂場や
 洗濯機などの排水溝は重いもので厳重に蓋を
 する。
・水位が70cm以上になると成人男性でも歩行が
 困難に。また、外開きのドアは水位が26cmになる
 と開かなくなる。そうなる前に早めの自主避難を。
   知識、情報の備えになるホームページ
    ・災害用伝言ダイヤルについて NTTグループホームページ(http://www.ntt.co.jp/saitai/171.html
    ・河川や海の防災情報 国土交通省防災情報提供センター(http://www.bosaijoho.go.jp



使う人・使う場所にあわせた「物」の備え
 次に、防災用品の備えが必要不可欠です。しかし、ひとことで防災用品といっても、その種類はさまざま。また、お子さんやお年寄りがいる家庭では、必要なものも違ってきます。各家庭や個人に合った防災用品を揃えることが重要です。
 また、意外と忘れてしまうのが、勤務先やでかけているときの防災用品の備え。とくに勤務先は数時間、人によっては家庭にいる時間よりも長く過ごす場所です。ロッカーや机のなかに、最低限の防災用品を備えておきましょう。同様に、でかけたときや通勤、通学時に被災することも考えられます。充分な準備は難しいですが、カバンやバックの片隅に入るものは、備えておきたいものです。


                   準備しておきたい防災用品(一例)           (表2)
 避難時に大きく、重たい荷物を持って行動するのはよくありませんので、防災用品はなるべく軽く、コンパクトなものを選びましょう。また、防災用品は、条件を満たしていれば、防災専用のものでなくてもよいようです。それよりも、使用する人や家族構成にあったものを揃えてみてください。
@食料
長期保存ができ、手間をかけずに食べられるものを3日分は準備。また、粉ミルクや離乳食、流動食など、家族構成にあわせた準備を。
A水
可能ならば、入浴後、バスタブにその日の残り湯を残しておくとよい。市販のミネラルウォーターでもよいのだが、長期保存に不向きな場合も。また、避難時の荷物としてはかさばることも考慮しておく。
Bラジオ・懐中電灯
最近では一体型、超小型のものが市販されているので活用する。予備の電池も忘れずに。
C衣服
ジャージのような動きやすいものを。また、保温力の高いものがあると安心。下着は数日分準備。家族構成によってはおむつも必要。
D雑貨類
ビニル袋(ポリ袋)、タオル、ティッシュ、ライター、軍手、ロープ、ホイッスル、使い捨てカイロ、簡易トイレ、歯ブラシなど。
E医薬品・衛生用品
医師から処方された常用薬は必ず準備。また、かぜ薬や頭痛薬などの常備薬、ばんそうこう、消毒液、包帯なども用意。女性は生理用品を数日分用意しておくと安心。
Fその他
写真など、思い出の品がひとつあるだけで避難中のストレスが和らぐこともある。また、貴重品(権利証書のコピー、通帳など)も準備。
勤務先に用意したい防災用品
徒歩で帰宅することを想定し、運動靴と自宅までの地図を用意(複数の帰宅経路を事前に確認しておく)。また@〜Eを揃え、リュックなどに入れ、すぐ取りだせる場所で保管しておく。
外出時に用意したい防災用品
飴やキャラメルももっていれば非常食に。また、小型の携帯ラジオ、ペンライトなどをもっておくとよい。


そして何より、「心がまえ」の備え
 そして何よりも、心がまえが肝心です。「自分だけは助かる」と過信せず、客観的にその場の状況を判断できるよう、自治体で行われる防災訓練や、防災センターの疑似体験などを活用することも大切です。
 もちろん、過度な不安や心配をする必要はありません。しかし心がまえができていれば、いざというとき、落ち着いた行動がとれるはずです。

 これからの季節、台風や秋雨前線による豪雨が警戒されます。最新の情報をキャッチして、早めの「備え」を心がけてください。
 


−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2006年9月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載
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