サプリメント
〜正しい知識で使っていますか?〜
 
A子 「サプリ博士、買い物に行ってきました」
サプリ博士 「おお、ありがとう。それにしても、ずい分大荷物じゃのう。そんなに頼んだ覚えはないが……。なんじゃあ!?その大量のビンは!」
A子 「私、最近肌の調子が悪いのでちょっと寄り道をして色々なサプリメントを買ってみたんです。ほら、これは美容にいいサプリメント。あと、肌にはビタミンB2とB6がいいと聞いたので、ビタミンB群が入ったサプリメント。それから、1日に必要なビタミンが配合されたもの。あとは最近注目されている成分のサプリメントをいくつか……」
博士 「ふむ。A子君は、『サプリメント』というものが何なのか、ちゃんとわかっているのかね?」
A子 「えーと、健康維持に役立つ薬……かしら?」
博士 「むむぅ。まずサプリメントについて知る必要があるようじゃな」
サプリメントとは
博士 「日本では、サプリメントに関する明確な定義はないが、一般に、『食生活のなかで不足しがちな栄養成分や健康維持などに役立つ成分を補う食品』といわれておるよ」
A子 「えっ、薬ではないのですか?」
博士 「錠剤やカプセルの形をとっていても、サプリメントは食品なんじゃよ。表1にあるように、保健機能食品や健康食品がサプリメントとよばれておるものじゃ」
薬と食品 (表1)
 
医薬品
 病気の治療や予防に用いられるもの。有効性、安全性に関して調査が行われ、厚生労働大臣によって認可されている。
医薬部外品
 医薬品よりも作用が緩やかなもの。厚生労働大臣が指定。
  ↓ここからは食品





特定保健用食品
 身体に有効な成分が加えられていたり、コレステロール値や血糖値などを抑える働きのある食品のこと。
 厚生労働省の審査を受け、その安全性、有効性が認められたものだけが販売を許可される。その効果や成分を、食品に明記することができる。
栄養機能食品
 身体に必要な栄養成分の補給を目的としたもの。成分としてビタミン12種類、ミネラル5種類が認定されている。
 個別審査はなく、厚生労働省の定めた規格基準に適合していれば、販売が許可される。
 
一般食品
 いわゆる「健康食品」も含まれる。
博士 「今や、サプリメントは市場に溢れている。平成16年に東京都が20歳以上の男女2103人に行った調査によると、男性では28.4%、女性では46.9%がサプリメントを利用していると回答したそうじゃ。
しかし、評判ばかりが先にたって、実は有効性や安全性に対するデータがきちんととれていないサプリメントも少なくない。悪質なものや、高額なものもあるから、購入時にはよく検討する必要があるんじゃよ」
A子 「何をよりどころにして選べばいいのかしら」
博士 「やはり、国から認可されている保健機能食品を中心に選ぶといいじゃろう(図)。また、一般食品に該当するサプリメントであれば、独自の規格基準を設けて審査を行う一般財団法人日本健康・栄養食品協会の認定マークが表示されているものを選ぶといいかもしれんな」
東京都生活文化局「平成17年2月健康に関する調査」より
サプリメントの注意点
博士 「食品に属しているとはいえ、サプリメントの利用には、注意が必要じゃ。摂り方によっては、身体に悪影響を及ぼすこともある」
A子 「えっ、どうしてですか?」
博士 「例えば、ビタミンには脂溶性と水溶性がある。水溶性は、多くとっても排泄されてしまうが、脂容性は、過剰に摂取すると、身体に蓄積して障害を及ぼすことがあるんじゃよ。A子君のように何種類もサプリメントを購入すると、同じビタミンを重複して服用することにもなりかねん。栄養成分には、1日の摂取量の上限値が定められている(表2)。だから、サプリメントを購入するときは、成分表示をよく見て、自分に本当に必要なものだけを買うことが大切なんじゃ」
A子 「気をつけます」
博士 「それから、病医院で薬の処方を受けている人も、サプリメントの成分が影響することもあるから、必ずかかりつけ医や薬剤師に相談する必要があるぞ」

ビタミン・ミネラル1日あたりの摂取量の上・下限値の例 (表2)
  栄養成分 上限値 下限値
脂溶性ビタミン ビタミンA 600µg 180µg
ビタミンD 5µg 0.9µg
ビタミンE 150mg 3mg
水溶性ビタミン ビタミンB1 25mg 0.3mg
ビタミンB2 12mg 0.4mg
ビタミンB6 10mg 0.5mg
ビタミンB12 60µg 0.8µg
ビオチン 500µg 10µg
葉酸 200µg 70µg
ビタミンC 1000mg 35mg
ミネラル カルシウム 600mg 250mg
10mg 4mg
ナイアシン 15mg 5mg
パントテン酸 30mg 2mg
最後に
博士 「サプリメントを利用している人は多いが、本来は、食事のなかで栄養素を摂取することが一番いいんじゃ。それには、食事を抜かず、1日30食品摂るのが理想とされている。そうした生活がどうしても難しい人が補助的に用いるのがサプリメントであって、安易な利用はお勧めできん。食事の代わりにはならんのじゃ」
A子 「私、安易に考えていたかも」
博士 「ときに、A子君。最近、便秘がちだといっていなかったかね?」
A子 「そうですけど。なぜですか?」
博士 「夜更かしをしたり、朝食を抜いたり、不規則な生活をしていると、便秘になることがあるんじゃよ。そして、便秘は肌荒れの原因となる」
A子 「あっ……!」
博士 「A子君の場合のように、サプリメントを飲む前に、生活習慣の見直しをすれば、解決しうるケースもある。サプリメントは正しい知識をもって、賢く利用したいものじゃ」
A子 「本当ですね」

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2006年10月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載
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