今年も予防を徹底!
インフルエンザ
 寒い季節にかかりやすい感染症といえば、インフルエンザ。毎年、多くの方が感染・発症しています。そこで今回は、予防接種などの予防法を中心に、インフルエンザについてご紹介します。
1.インフルエンザって何?
 インフルエンザは、インフル工ンザウイルスというウイルスに感染して発症する感染症。かぜの一種ですが、症状の重さなどにおいて、一般的なかぜとは大きく異なります(表1参照)。
 また、冬季(12〜3月)に流行するのも特徴ですが、近年では5〜6月になってから発症するケースが報告されています。
インフルエンザとかぜの症状の違い  (表1)
インフルエンザ   かぜ
発熱
急激に上がり、高熱
(38〜39度。40度台になることもある)
発熱
発熱しないか、高くても38度程度
症状
筋肉痛や関節痛、頭痛、倦怠感などの
全身症状の後、鼻やのどの症状がでる
症状
くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった鼻の症状や、
のどの痛み、せきなどの、のどの症状
合併症
脳炎や脳症、肺炎、筋炎など
合併症
肺炎、中耳炎、副鼻腔炎など
2.予防接種をしよう!
 インフルエンザの最も有効な予防法は、やはり予防接種。発症しにくくなり、重症化する確率も低下します(表2参照)。とくに子どもやお年寄り、ハイリスクグループの方などは受けておくとよいでしょう(表3参照)。
 予防接種を受けると、およそ5か月間は効果があります。
しかし、ワクチンを接種してから体内に抗体ができるのは2週間程度たってからなので、12月上旬までには予防接種を受けておきましょう。また、13歳未満のお子さんは通常2回、1〜4週間の間隔をあけて接種を行ないますので、1回目を11月中旬頃までにすませ、2回目を12月上旬までに終えられるようにしましょう。
予防接種の効果  (表2)
成人と乳幼児の発病防止効果
成人(65歳未満)…70〜90%
乳幼児(1〜6歳)…20〜40%
高齢者(65歳以上)の発病・入院・死亡防止効果
発病防止効果…30〜50%
入院防止効果…30〜70%
死亡防止効果…約80%
予防接種を受けたほうがよい方  (表3)
子ども 高齢者
 かかりやすい。
 また、乳幼児は重篤な状態になりやすい


 かかりにくいものの、重症化しやすい

ハイリスク・グループ 人が多く集まる施設に勤務している方
 感染しやすくなっていたり、重症化しやすくなっている
 (心臓、腎臓、呼吸器に疾患のある方、
 糖尿病の方、疾患の治療中などのため
 極端に免疫力が低下している方など)
 発症すると、集団感染の原因になる
 (学校や幼稚園、保育園の先生、
 介護施設のスタッフ、公共交通機関の勤務者、
 接客業従事者など)
 
該当する方と一緒に暮らしている方も、うつさないために予防接種を受けましょう。
3.予防接種以外の予防法
 まずは抵抗力を維持、向上させること。睡眠をしっかりとり、栄養バランスのとれた食生活を心がけましょう。また、インフルエンザウイルスは乾燥した空気を好みますから、部屋のなかの湿度管理とこまめな換気を忘れずに行ないましょう。
 外出する際にも注意が必要です。本来なら、大勢の人がいる場所への外出は避けたほうがよいのですが、生活していく上でそれは難しい、という方も多いでしょう。そういった方は、表4にある予防法を実践してください。また、無用な外出はなるべく避けるようにしましょう。
インフルエンザの予防法 (表4)
生活習慣
 1.バランスのよい食事を摂る
 2.充分な睡眠と休養を心がける

室内環境
 1.加湿器などを使い、乾燥を防ぐ
 2.こまめに換気する


外出時
 1.無用な外出は避ける
 2.人が大勢いる場所へ行かない
 3.マスクを着用する
帰宅後
 必ず手洗い、うがいをする!
4.もしかかってしまったら…
 どんなに予防を行なっていても、インフルエンザにかかってしまうことはあります。少しでも症状が現われたら、無理をしないで安静にし、かかりつけ医を受診してください。また、家族などにうつさないよう気をつけましょう(表5参照)。
 なお、熱が下がっても体内にはウイルスが残っています。解熱後、2日くらいは安静にすごしましょう。とくに子どもの場合、熱が下がった後、原則として2日は通園・通学を控えるように法律で定められています(学校保健法)。
インフルエンザにかかったときの対応  (表5)
●まずは安静に
 無理をせず、しっかりと身体を休めてください。
●こまめに水分補給
 高熱がでるため、脱水症状を起こす危険性があります。
●湿度管理と換気
 部屋の湿度を保ちましょう。また、換気も忘れずに。
●マスクをする
 室内・室外を問わずマスクを着用し、周囲の人にうつさないようにしましょう。
 のどの保湿にもなります。
●医師の診察を受ける
 早めに受診しましょう!
〈コラム・予防接種を受けるときに確認しておきたいこと〉
 インフルエンザの予防接種は「任意接種」という種類の予防接種。基本的にはほとんどの医療機関で接種が可能ですが、自治体によっては接種の受けられる医療機関が決められていたり、接種できる期間が決まっている場合があります。
 また、費用は原則として実費、金額は医療機関によって異なります。ただ、65歳以上の高齢者や、60〜64歳で心臓、腎臓、呼吸器に重い障害がある方は、費用の一部を自治体が負担してくれます。
 詳しくは、お住まいの自治体や、接種を受ける医療機関までお問い合わせください。
 なお、接種する当日に熱がある方や6か月未満の乳児、医師が接種しないほうがよいと判断した場合などは接種が受けられません。また、卵アレルギーがある方や慢性的な疾患で医療機関を受診している方、妊娠中の方で接種を希望される方は、接種前に医師とよく相談してださい。
 インフルエンザの予防接種で強い副反応はほとんどありませんが、接種箇所の異常(はれる、痛む、赤くなるなど)や、まれに発熱などの症状がでる場合があります。不安な方は、医師にご質問ください。
−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2007年11月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載
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