特定健康診査と特定保健指導(後編)
 前回に引き続き、今回も「特定健康診査と特定保健指導」を特集します。 今回は、特定健康診査の受診者全員が受ける、「特定保健指導」とは、どんなものなのかを解説します。
※対象外その他
●65〜74歳の前期高齢者は、積極的支援の対象となった場合でも、動機づけ支援となる。       
●服薬中の方は、医療保険者による特定保健指導の対象とはならない。
 
特定保健指導とは…
A氏 「先生、前回は特定健康診査(以下、特定健診)についてうかがいましたが、今回は、特定保健指導 について教えてください」

医師 「わかりました。特定保健指導 は、特定健診の受診者全員が受けるものです。健診の結果により、その人のメタボリックシンドロームのリスク(危険因子)数などを調べてグル ープ分けし、それぞれのレベル(段階)に合った保健指導を行なうんですよ (図1参照)」

A氏妻 「特定健診の際に記入する、質問票(図2参照)の内容も関係するんですね」

医師 「そうです。追加リスクの判定には、喫煙習慣があるかなどが関わってきます」
 
 
特定保健指導のグループ分け
A氏 「情報提供、動機づけ支援、積極的支援…? それぞれどんな保健指導が行なわれるんですか?」

医師 「まず、特定健診で問題のなかった方を含めて『情報提供』レベルと判定された方は、年1回の保健指導が行なわれます。現在の健診結果を維持するため、個々人の検査結果に合わせて、生活習慣の改善に関する情報が提供されます」

A氏妻 「なるほど」

医師 「次は、『動機づけ支援』ですが、メタボリックシンドロームの予備軍に該当する人や、生活習慣を改善することが望ましい人がこのグループに入ります。支援策としては、原則1回の面接が行なわれます。面接では、腹囲の減少や健診結果を改善するために、医師や保健師、栄養士の指導を受けながら、生活改善のための行動計画を立てることになります」

A氏 「計画を立てても、続けられるか、自信がないなぁ…」

医師 「大丈夫。6か月後、目標が達成されているか、指導した人によって評価され、また本人も評価を行なうんですよ」

A氏妻 「それなら、頑張って続けられそう」

医師 「さて、一番追加リスク数の多い『積極的支援』ですが、ここのグループに入るのは、メタボリックシンドロームに該当する人です。『動機づけ支援』同様、専門家の指導を受けながら、腹囲や体重の減少、健診結果の改善を目標に、生活改善のための行動計画をたてます。この行動計画は、3〜6か月間の継続的な支援(個人あるいは集団面談、電話やインターネットでの支援など)を受けながら行なっていくことになります」
 
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医師 「メタボリックシンドロームは、様々な生活習慣病の引き金となるものです。皆さんの健康維持のため、特定健診と特定保健指導を受けて、 毎日の生活に活かして欲しいと思います。また、6か月後の評価を目的にするのではなく、よい生活習慣を維持し続けていくことが大切なのです」

A氏妻 「今までの生活習慣を見直すよい機会にしたいわ」

A氏 「今からでも遅くない。メタボリックシンドロームにならないよう頑張るぞ!」
 
 
参考資料(図含む)/厚生労働省 健康局「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」
−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2008年5月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載
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