昨夏は、予想以上に暑さが厳しく、体調を崩したり、熱帯夜で寝不足になった方も多かったのではないでしょうか。
地球温暖化の影響で、世界各地で異常気象や気温の変化が起こり始めています。
今後も、暑さが厳しくなる可能性はあり、夏を安全に過ごす方法を知っておきたいものです。
●日本の夏は暑くなり続ける?
 現在、地球温暖化の影響が徐々にではじめ、世界各地で気温の上昇が確認されています。昨夏の猛暑の一因とされるラニーニャ現象も温暖化が関わっているといわれていますが、ヒートアイランド現象も気温の上昇に深刻な影響を与えています。
 
【ラニーニャ現象とは】   
赤道近辺の太平洋の海水温が低下し、その状態が1年程度続く現象。 この影響で日本では、夏に気温が 平年より高くなり、また冬の気温が低くなる傾向がある。エルニーニョ現象とは逆の状態となる。
 
【ヒートアイランド現象とは】
ビルや工場などから排出される熱が増えたり、緑地の減少により、都市部の気温が周辺部より上昇してしま うこと。また、昼間アスファルトなどに蓄えられた熱が夜間に放出されるため、夜間の気温も下がりにくく なる。
 
気をつけたい熱中症!
 気温が高くなる夏、とくに気をつけたいのが熱中症です。  
 熱中症とは、暑さや熱で過剰に汗をかいたために、体内の水分や塩分が減少し、体温調節ができなくなってしまう状態です。熱中症は、症状により 熱けいれん、熱疲労、熱射病の3種類にわけられます。重篤化すると死に至ることもあり(表1参照)、予防策をとること、兆候がみられた場合は早めに対処することが重要です(図1参照)。  
 熱中症は、気温が高い日の屋外で発生すると思われがちですが、風通しの悪い室内でも起こります。昨夏は、室内でお年寄りが亡くなられたというニュースも何件か報じられました。  
 熱中症を予防するため、次のようなことに気をつけましょう。
 
<夏の外出、要注意ポイント>
・でかけるときは、帽子や日傘で日差しをさえぎろう。
・長時間、野外にいる場合は、と きどき日陰などの涼しい場所で休憩し、水分と塩分の補給をしよう(スポーツドリンクなどが便利)。
・気温や湿度が高いとき、体調が少しでも不調なときは、運動を控えよう。
 
 
 
熱中症の応急手当  図1
筋肉が突っ張るなどの症状がでる熱けいれん、頭痛や吐き気、めまいなどの症状が出る熱疲労が疑われたら…
風通しのよい日陰に移動させ、服を緩め、足を高くする。スポーツドリンクなどで、水分と塩分の補給をこまめに行なう。
 
41℃以上の高熱や、意識不明 呼吸停止などの症状がでて、熱射病が疑われたら…  
すぐに救急車をよぶ!
 風通しのよい日陰に移動させ、服をぬがし、頭を高くする。首筋や脇の下、脚のつけ根などを冷やす。意識があれば水分補給を行なう(ない場合はしない)。
  
 
●室内で涼しく過ごすための工夫
 室内を涼しくするには、空気の流れをよくするのが効果的です。部屋のなかで対角の歪や扉を開けていくと、空気の通り道ができます。
 それから、昔ながらのよしず(A)や、すだれ(B)をかけると、外からの風が入り、また日影ができるので、室内ので、室内の温度を下げることができます。
 
 
●就寝時も涼しく…
 条件がそろえば、就寝中にも熱中症になる可能性があります。また、暑さは体力を消耗させたり、睡眠不足を招きますので、就寝時にできるだけ涼しく過ごせるように工夫したいものです。

〈寝室の環境〉
 部屋を閉め切りにすると、熱がこもるので、扉などを開けて通気性をよくしましょう。防犯上、窓を明け放せない場合は、雨戸を閉めて、網戸にすれば、多少空気の流れが生まれます。  

〈水分〉
 寝る前に一杯の水を飲んだり、いつでも水分補給ができるよう枕元に水を置いておくとよいでしょう。

〈寝具その他〉
 寝苦しいときは、保冷枕や水枕を枕代わりに利用するのもひとつの方法です。冷え過ぎないよう必ずタオルを巻いて、調節しましょう。また、小さな保冷剤をタオルにくるんで、手や額を冷やしても気持ちがよいでしょう。冷感のあるジェルを使用した枕や、敷布なども市販されていて、人気があるようです。  
 なるべく就寝前に入浴をすると、身体の熱を冷ますことができ、寝つきやすくなります。
 
 
●暑さに要注意!乳幼児と高齢者
 まだ発汗機能が未熟な乳幼児や、発汗機能が低下している高齢者は、身体に熱がこもりやすいため、注意が必要です。

・乳幼児…大人よりも背が低いため、地表の熱の影響を受けやすい。ベビーカーも同様であるため、気温の高くなる時間帯の外出は避ける。
・高齢者…高齢者は喉の渇きを感じにくいため、脱水症になりやすい。定期的に水分摂取するよう気をつける。また、暑い時間帯を冷房の効いた公的施設(公民館、図書館)などで過ごすということも提案されている。
 
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