ホームクリニック
パーキンソン病を
知っていますか?
手足がふるえたり、動作が不自由になる病気、パーキンソン病。治療は難しいとされていますが、近年は薬物療法などが進歩して、病気の進行を抑えることが可能になってきました。
 

パーキンソン病はどんな病気?

 パーキンソン病は、運動をつかさどる神経系統に異常が生じて、運動機能に障害が現われる病気。60歳代で発症することが多いようです。  
 パーキンソン病には、4つの特徴的な症状があります。病気の初期には「ふるえ」がみられることが多いのですが、進行すると、他にもさまざまな症状が現われるようになります。
●ふるえ(振戦)
片方の手にふるえがみられ、少し進行すると両手、足、ときにはあごにも現われる。安静時に起こり、何か動作をしようとすると止まる。病気の初期にもっとも多くみられる症状。
●こわばり
筋肉が固くなり(固縮)、特有の前かがみ姿勢になる。顔の筋肉も固くなるため表情が乏しくなる。話がしにくくなったり、食べ物を飲み込みにくくなることもある。
●動作が遅くなる
動きが少なく、また遅くなる。歩こうとしても最初の一歩がなかなか踏みだせず、小刻みな歩き方をする。また、一度歩きだすと今度は止まらなくなることがある。
●姿勢反射障害
身体が傾いたときに姿勢を立て直すことができないため、転びやすくなる。
 
そのほかにも、自律神経バランスの乱れなどにより、便秘・体温調節ができなくなる・発汗・立ちくらみ・うつ症状などがみられます。これらの症状の現われ方は、病気の進行の程度や個人差によってさまざまです。
 
 
検査と治療
検査
まず問診で症状を確認し、それから歩行や動作の状態、筋肉の固縮を調べます。パーキンソン病と似た症状が現われる他の病気(脳梗塞など)が隠れていないか調べるため、画像検査を行なうこともあります。
薬物療法
 パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質「ドパミン」が不足することによって起こります。ですから、このドパミンを薬で補なうことが治療の基本となります。また、補助的にそれ以外の薬を用いることもあります(図1)。  
 パーキンソン病の薬は、「病気を治す」というより、「症状を長期的にコントロールして、生活の質を維持する」ことが目的です。早期に治療を始めれば、病気の進行を遅らせることができ、健康に近い状態で日常生活を送ることが可能です。  
 薬は医師の指示に従い、きちんと服用することが大切です。副作用など気になることがあれば主治医に相談してください。
 
手術療法
 薬物療法で症状をうまくコントロールできない場合などは、手術が検討されます。  
 手術で脳の深部に電極を、胸部に刺激装置を植え込み、電線でつなぎます(図2)。脳に弱い電流を流すことで、運動機能を改善することができます。刺激装置の電池交換のため、3〜5年に1度、手術が必要です。
 
 
自分でできるセルフケア
 治療の基本は薬物療法ですが、健康維持のために自分でもできることはたくさんあります。  
 ふだんから身体を動かしておけば、運動機能を維持できます。無理のない範囲で積極的に身体を動かしましょう。ストレッチなどなら、いつでも簡単に行なうことができます。筋肉を伸ばすためにうつぶせ寝をするのもいいでしょう。パーキンソン病ではとくに身体をひねることが難しくなるので、ひねりを取り入れた体操も効果的です。  
 また、しゃべりにくいと感じても、積極的に話をするようにしましょう。仲間をつくり、積極的に外へでて、生活の場を広げることもたいへん重要です。旅行へ行くのもいいでしょう。
 
 
誤解しないで!パーキンソン病
 パーキンソン病の症状は特異であり、また症状の程度も変動が大きく、ときに周囲の人から誤解を受けることがあります。周囲の人は病気を正しく理解し、ぜひ快く介助を行なってください。
誤解1 
自分でできるはずなのに介助を求める
解答 
1日のなかでも、症状が急に変わることがあります。午前中は1人で歩いていたのに、午後にはまったく動けなくなるということも起こり得るのです。  
 また、歩いたり階段を上ることはできたとしても、寝返りがうてないことがあります。これは、身体をひねる動きが難しくなるためです。介助を求められたら、快く応じるようにしてください。
誤解2 
誰もいないところでは、ちゃんと自分で動いているようだ
解答 
誰かがいる、見られているという緊張感のため、身体が動かなくなることがあります。
誤解3 
表情がほとんど変わらない。感情が乏しい人だ
解答 
顔の筋肉が固くなっているため動きがなくなり、表情が乏しいようにみえてしまうのです。
 
早期治療が大切な理由!
 どのような病気でも早期発見・早期治療はたいへん重要ですが、パーキンソン病も例外ではありません。
 パーキンソン病の症状は、多くの場合、ふるえから始まります。軽いふるえは日常生活にそれほど影響がありません。しかし病気が進むと、筋肉が固くなって動作がしにくくなり、ついには寝たきりで全面的な介助が必要となってきます。  
 この病気は進行性であり、悪化すると元には戻りません。しかし進行を食い止めることは可能です。早期のうちに治療を開始すれば、より健康に近い状態を維持することができるのです。  
 おかしいなと思ったら、早めに専門医に相談しましょう!
 
−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2008年10月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載
トップページへ戻る